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煮干しが美味い。

セブンイレブンのフルーツゼリーは、蓋が開け辛い。
蓋のビニールののりが強いのか、シマウマみたいに裂けていく。
手がベタベタにもなるしどうにかしてほしいものだ。
とりあえず私はシマウマの白の部分を少しだけ食べて、もう一度果敢に剥いて見せた。

夜中に喉が乾いて、お茶もないし水道水を飲みたく無いな、なんて思ってしまったので小腹満たしと一緒に買おうと最寄りのセブンに行った。

ここには優しいおじさんがいる。
私は仕事柄、この大通り沿いにあるコンビニで待ち合わせをして、車に乗って仕事に向かう事が多かった。
ここには駐車場もあるし、環八にも、環七にも甲州街道にも出やすい最高のポジションである。
朝、夏場は大量の氷と朝ごはんをここで買う。朝と言っても早朝、5時や4時が基本的な時間になる。
その時間帯にいつもレジにいるののが優しいおじさんなのだ。

その人は私が2年目の途中くらいにいきなり話しかけてきた。
レジを打つ数秒のその時間に、いつも朝早いね、体大丈夫?頑張ってねと優しく話しかけてくれたのだ。
ありがとうございます、と返すだけだがその言葉がとても嬉しかった。柔らかいな、と思った。
買った朝ごはんを広げると、一人分なのにお箸やスプーン、お手拭きが多めに入っていた。
こんなに要らないよーなんて思いつつも、なんだかくすぐったい気持ちになっていつも仕事に向かっていた。

仕事柄、終わるのはいつも深夜で、車でまた同じセブンに送ってくれる。帰りに飲み物を買おうとはいると、優しいおじさんはレジに立っている。
1日いたわけではなく、深夜から早朝までのシフトなのだろう。
レジに並ぶと、またあの数秒の時間話しかけてくれるのだ。
大丈夫?お疲れ様、体無理いないでね。
ありがとうございます、と答えてでいく。
袋の中には紙パックのオレンジジュース1つとストローが3本入っていた。

休みの日に、化粧をして行った日がある。
朝と言っても、恐らく7時くらいであろうか。
普段の格好とは違いちゃんと綺麗な服を着て身嗜みもばっちりのつもりではあったので、気がつかれるかな?と思っていたが、おじさんは私に声をかけてくれた。
今日はいつもよりゆっくりだね、しばらくゆっくりできるの?
はい、しばらくは
そうなんだ、よかったね、頑張ってね。
ありがとうございます。
確かそんな会話だった気がする。いままでで一番長い会話だろう。
袋にはまた多めにお箸が入ってて、くすぐったくなって家に帰った。
その後も何度か話しかけてくれて、でも、私が何をしている人間なのかとか、詳しい話をしたことはない。
大丈夫?頑張ってねと、ありがとうございますだけの関係性。
正直、おじさんの名札をみようと思っていても、なんとなく見忘れてしまったりして名前もわからない。
でも、この関係性がなんだか嬉しかった。

仕事を続けてきて、しばらくは自分で運転する事が増えた。
そのこともあって優しいおじさんのセブンイレブンではなく、パーキングに一番近いセブンイレブンにいく様になっていた。
体感で、半年はおじさんにあってなかった気がする。
正確には会ってたのだか、友達と寄ったりする時は声をかけてきたりはしてくれなかったので、話をしなくなって半年、みたいなニュアンスである。

今日、久々におじさんにあった。
髪型も短く切ってしまったし、気がつかれないだろうと思って入った。
レジの数秒、やはり会話は無い。気がついてない様子だ。
まぁ、そうだろうと思った。向こうはよく来てたあの子、仕事を辞めたかなとか、そんな事も思ってないぐらいだろう。
ただの店員さんと客の関係性である。でもそれはしょうがないし、そういう事なのだ。
私は濃茶とフルーツゼリーを買って家に戻った。

袋を開けると、濃茶とフルーツゼリー、小さいスプーン1つと大きいスプーン2つにお手拭きが三枚入っていた。
やっぱり私は、少しくすぐったくなった。

#ひとりごと

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