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いつになったら宙に浮くキックボードが手に入るのですか。

先生
新しい年がきました。
想定内の中の想定外に年始からどこか暗くなってしまった2024、お元気にしてますでしょうか。
私はどこか心から心身の健康に自信を持てないでいます。
なぜ、今先生に手紙を描きたくなったのでしょうか。
無性にあなたに聞いて欲しいのです。
私は幼稚園から高校を卒業するまで、先生の元でピアノを教わりました。でも、私はピアノが弾けません。
私はあんなに長く通ったのに、ブルグミュラーを全部終わらせることは出来ませんでした。
週に一回、あんなに沢山通ったのに和音を読むのが最後まで苦手でした。
早くに私が興味のある事しか出来ないと見極めてくれた先生は、ブルグミュラーから私の好きなスピッツの曲に切り替えて教えてくれました。
それでもろくに練習もしてこない、中学高校は部活に明け暮れてピアノよりも部活の相談ばかりしてレッスンの時間の30分をおしゃべり、延長5分でピアノを弾いて帰る。
こんな正しく劣等生の私を見捨てずに最後まで優しく教えてくれたのは、今考えても先生の愛でしかありません。
私が高校生の頃、部活のバンドで発表するカマキリをモチーフにしたオリジナル曲を作って相談しに行った時、先生は真っ直ぐに褒めてくれました。
私はそれが、今でも深く残るくらい嬉しかったのです。
小さい頃からの夢が小説家でした。
それは、私が何か自分の中にあるものを表に出して表現したいという漠然とした心のモヤがあって、そのモヤを落ち着かせたくてソワソワしてて、そうする為に私は小説家にならなくちゃいけないと思ってました。
小説家になって何かを書きたいというよりは、自分の消化しきれないモヤをどうにかしたいという方が近いのだと思います。
だからそうやって自分の表現が形になったその曲を先生が褒めてくれて、真っ直ぐに才能があると思うよなんて言ってくれて。先生は忘れててもいいんです。私の中に残ってるから、
先生はピアノ以外のことを沢山教えてくれました。
CLAMPの漫画だって夏目友人帳だって貸してくれました。
私と一緒の頃に通い始めた友人がめちゃめちゃ上手なっていて、私はいつしか部活を言い訳に発表会にも出なくなって。
でも私はピアノの時間が好きでした。
あの頃気がつけなかった事が沢山あって、私はあなたみたいな大人になっていきたいと心から思っています。
先生
私は今、好きでこの仕事をしています。
でも、好きだけど限界なのかもしれません。
先生は知ってると思いますが、私は本当に飽き性です。
ピアノより頑張ってたサックスとギターも、今はもう全然弾けません。家族は私は音楽の仕事をすると思ってたらしいです。
もしかしたら、私もなんとなくそう思った時期もあったかもしれません。でも、私はこちらを選びました。
好きだけじゃやりきれないし、好きは慣れていくものなんですね。慣れた時に周りが見えるようになって、本当にやりたい事がわからなくなります。
なんで好きなんだっけ、
私はもっとシンプルに、カマキリの曲を褒めてくれた時みたいな、あの感覚だったのかなって。
私は、まだ間に合うでしょうか。
私の奥の生業の部分が端の方からカチカチと固まっていくんです。こんなにクリエイティブだと思ってたのに、私の行く末が見えてきてる気がして怖いんです。
本当にこれでいいのか。怖いんです。
それを考えるとどんどん今の仕事に対する気持ちが離れていって、頭も働かなくなって、今までできていた事もできなくなっています。
飽きてしまったんでしょうか。
先生、お元気ですか?
会わなくなってからもうすぐで8年程になってしまいます。
あんなに毎週通っていたのが嘘のようです。当たり前が思い出になるとはなぜこんなにもセンチメンタルなのでしょうか。
実は私は感傷を他人に見せないのが昔からの特技なので、今もそう乗り越えています。
私は今人生に行き詰っていて、そんな時に先生を思い出しました。先生、本当にありがとうございます。
私の忘れっぽさが悪さをしたせいで、私はあなたにちゃんと感謝を伝えてお別れしたか少し不安です。
こんな時に先生を思い出すくらい、正真正銘あなたは私の恩師です。
今がきっと選択の時なのだと思います。
私の世界にブラウン博士が居ないから、進むしか出来ないとわかりました。進むために変わろうと踠いていて、その先に変わらないものなんて無い思ってたけど、思い出と事実は変わらないんですね。
私は進む先に何を見つけられるでしょうか。

季節だけではない厳しい寒さの中、いつまでもお元気で。くれぐれもご自愛申し上げます。

#手紙

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