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ソーラーシェアリング (営農型太陽光発電) について学ぶ

ソーラーシェアリングあるいは営農型太陽発電とも言うようですが、農業と太陽光発電を両立させる事業に取り組む方のお話を聞く機会がありました。

営農型太陽光発電とは農林水産省のホームページによると、農地に簡易な構造でかつ容易に撤去できる支柱を立てて、上部空間に太陽光発電設備を設置し、営農を継続しながら発電を行う取組と説明されています。

現在、全国で約4,000件以上の導入例があり、水田、畑、果樹園、牧草地などで、設置が行われているとのことです。

利点として考えられるのは、売電収入による農家の所得向上ももちろんですが、農業における自家電力の活用、地域の電源としての活用、気候変動への適応などが考えられるそうです。

一方で、私自身も感じましたが、懸念事項もあります。たとえば、

  1. 太陽光パネルを隙間なく敷き詰めるわけではないにしろ、太陽光パネルによる遮光による農業生産性の減少。その他太陽光パネル設置による農業生産環境の変化による生産性の減少 (風通し、湿度など遮光以外の変化による、害虫の発生、病気、品質の低下など)。

  2. 台風、暴風雨などへの耐性

  3. 太陽光パネルのメインテナンスや、寿命による廃棄、リサイクルコスト

遮光に関しては、農作物によって遮光率 (太陽光パネルによって太陽光が遮られる比率) の適正値、あるいは限界値に違いがあるようで、50%ぐらいの遮光率でも問題なく生産できる作物もあれば、30%程度の遮光で影響が出始める作物もあるとのことでした。

再生可能エネルギーの供給、農家の収入の向上も大切な要素ですが、多様な国内農産物生産確保も重要なことなので、発電量、売電収入を増やそうとするあまり、高遮光率に耐えられる農産物生産に偏ることのないように、バランスをとっていくことも重要だと感じました。

今後もいろいろと試行錯誤が必要だと思いますが、懸念事項も解決可能だと思いますし、非常に可能性のひろがる取り組みだとも感じました。

自家発電の電力を利用することによって、あるいは太陽光パネル設置用の枠組みを利用して、温度調整や送風、水や肥料の散布、害虫の駆除の自動化などいろいろできることが増えると思います。遮光によるデメリット以上に農業生産におけるメリットも生み出せる可能性があります。

これらは、温暖化により生産が難しくなった農作物の生産性向上につなげられる可能性もあります。

そして営農型太陽光発電に適した品種改良も今後進んでくるかもしれません。農業による収入向上や自動化による農家の負担削減が実現できれば、農業人口の増加や休耕地の復活にもつながるかも知れません。

わたしはとても期待の持てるシステムだと感じました。

農業生産や食料生産を守り向上させることと、再生可能エネルギーの供給源の役割の両面をバランス良く進めながら、最適解を探して行って欲しいと思いました。

営農型太陽光発電による経営のハードルが下がるように、太陽光発電システムやその電気を夜間にも利用できるための蓄電池のさらなる低コスト化、パネルや蓄電池の生産、廃棄・リサイクルも含めた環境負荷の低減化が進むことを期待したいです。

再生可能エネルギーは地域に根差した分散型がふさわしいと感じます。大規模集中発電所や送電網を抱える電力大企業の抵抗は続くかもしれませんが、私たちはいずれ方向転換を迫られると思います。

地域にあったいろいろなアイディアが実現していくことを願います。


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