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石灰岩層の埋没による厚さの変化

地層は堆積した後、埋没の過程でどのぐらい厚さが変化するのでしょうか?

一度堆積して埋没した後、構造運動で地層が地表に顔をだして、削られたりする場合 、浸食作用 (erosion) が起これば地層の厚さが劇的に変わる可能性があることは理解できます。

しかし、浸食を考慮しない場合、地層は堆積時から埋没することによってどの程度厚さが変化するのでしょうか。例えば砂岩などの場合、粒子がまったく溶けたり変形したりすることなく、ただ、粒子間の孔隙だけが圧密によって変化するだけであれば、孔隙率の変化を求めることによって、ある程度、地層の厚さの変化を推定できそうです。

粒子の配列が変わって、充填度が変わっても、孔隙率の変化に表れるので、やはりある程度、孔隙率の変化で地層の厚さの変化は予想できそうです。

一方で、岩石の粒子自体が溶けたり変形したりする場合はどうでしょうか?

石灰岩は主に方解石 (Calcite: カルサイト) と呼ばれる炭酸塩鉱物からなる岩石です。この方解石は砂岩などを構成する珪酸塩鉱物 (石英、長石、雲母、角閃石、輝石、かんらん石など) に比べ、一般に不安定で、地下で地層水によって溶けたり、圧密により粒子同士の接触面が溶けて食い込んだりします。粒子自体も破壊・変形を受けます。

これらの作用全体の結果として、石灰岩層の厚さが埋没後どの程度変化するのか、大変興味があります。

石灰岩に見られるスタイロライト

石材に使われている石灰岩をよく観察すると、波状にギザギザした溶解接触面が観察されることがあります。溶解が進むと数十cmもお互いに食い込んで見える場合もあり、圧力溶解で溶け残った残渣が、黒く溶解面に沿って残る場合もあります。このような現象をスタイロライト (Stylolite) と呼んでいます。

この食い込みを見る限り、石灰岩の体積がかなり失われていることが予想されます。もちろん、溶けだした成分はどこかでセメントとして再沈殿している可能性もありますが、石灰岩を観察するたびに、私は石灰岩の埋没後の体積変化、厚さの変化に思いを馳せています。

石灰岩を相手にしている人以外にはあまりなじみがないと思いますが、スタイロライトについて以下のような記事があります (石油の開発と備蓄 ‘87・12)。

https://oilgas-info.jogmec.go.jp/_res/projects/default_project/_project_/pdf/2/2865/198712_030a.pdf


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