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「議事堂の石」

私が社会人となり、東京に住んでいたころ、衆議院選挙の東京7区では日本共産党から工藤 晃さんという方が立候補され当選されていました。

この方は東京大学理学部地質学科を卒業され、1976年の衆院選に東京7区から出馬し初当選、その後1990年に落選するまで衆議院議員を4期務められました。

大学では地質学を学ばれましたが、共産党では経済政策委員会責任者や社会経済研究所の副所長などを務められ、経済の専門家という印象があります。国会質問やテレビなどの討論会に出られているのを見ましたが、非常に論理的で、科学的な議論をされる方だなと思いました。

しかし、根っこには地学魂?があったらしく、議員時代の1982年には「議事堂の石」という本を出版されています。

国会議事堂には化石などを含む珍しい石や貴重な石材が多く使用されています。それらの石材にまつわる秘話や写真がふんだんに掲載されたこの本は、石材や議事堂の歴史に興味がある方には必見の書籍だと思います。

私もたまに街の石材に目を止め、ボーっと見ていることがあるらしく、家族や友人たちに「何してるの?」と怪訝な顔をされるときがありますが、もしかしたら、工藤さんも国会期間中の議事堂内で、普段は与党に対して共産党の論客として切れのある質問を繰り出しているのに、たまに議事堂の壁をじーっと見ながら石材の歴史に思いを馳せていらっしゃったのかと思うと、なんだかほっこりした気持ちになります。

また、「これは珍しい石だ」などと写真などを撮られていたのかもしれません。もしかしたら他の議員の方々に石材の説明などもされていたりしたのかな、などと想像してしまいます。

工藤さんは国会や委員会の質問でも極めて冷静に論理的に質問される方でしたので、質問を受ける方々は大変だったのではないかと思います。

そういえば11月17日は国際学生の日 (International Students’ day) です。この日かどうかは忘れましたが、この時期、大学の学生会から抽選で選ばれた私は、数人の代表者とともに学費の値下げなどの請願のため、議事堂近くの議員会館まで派遣されたことを思い出します。お金がなかったので夜行列車でとんぼ返りでした。

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