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国立大学法人法改正案のゆくえ

現在開かれている臨時国会で国立大学法人法改正案が審議されています。11月17日には衆院文部科学委員会で採決され、賛成多数で可決されています。

[Yahoo ニュース 11/17(金) 11:02配信 朝日新聞]

改正案については文部科学省の以下のページに掲載されています。

この改正案は、一定以上の規模の国立大学法人に、運営方針の決定などを行う合議体「運営方針会議」の設置を義務づけるとしています。また、「運営方針会議」は学長と、外部の有識者も想定している3人以上の委員で構成され、中期目標や予算について決定するとしています。

「運営方針会議」の委員の選任については、文科相が承認した上で学長が任命するとしています。

これは、現在あまり大きなニュースになっていない印象ですが、「大学の自治」に関して言えばずいぶん大きな後退だと感じます。

これまでの一連の「大学改革」は日本の大学にとってどのような影響があったのか、きちんと総括する必要があると思います。

政府や一部の財界が短期的に望む「先進的な」研究を、一部の大学に特化して推し進めるようなやり方が、必ずしも日本全体の研究レベルを押し上げることにはならないと思います。

研究・教育の裾野を広げること、数多くの研究者が参加する自由で活発な議論の場における切磋琢磨と、規模の大小に関わらずあらゆる企業との交流の促進、様々な分野の基礎的な研究も含めた研究費の公的支援。研究のレベルアップや底上げにはそんなことが必要なのだと感じます。

学術会議の問題もそうですが、大学の研究活動や運営方法や予算配分に関して政府が強くコントロールできるような仕組みづくりを進めてきたことによって、日本の大学の研究活動は、ずいぶん閉塞感が出てきてしまったのではないかと感じます。

一部の力ある研究者による権威主義的な研究体制などがあるのだとしたら、もちろんそれは大学内で改善されなければなりません。しかし、それは学内で解決されるべきものであって、外部の権力の手に委ねるものであってはならないと思います。

大学の研究が広い分野で花開くためには、大学の民主的な運営と、大学の自治と、研究者どうしの自由で活発の議論や切磋琢磨と、十分な研究費の保障が必要だと思います。大学は自分たちで改革できる気概を持つべきですし、私は政府の大学や研究に対する介入の方向性には賛成できません。

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