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日本学術会議が政府に対して勧告

日本学術会議が2010年以来13年ぶりに勧告を出しました。前回2010年の勧告は幹事会による決定でしたが、今回は学術会議総会での決定で、総会決定による勧告は2005年以来、18年ぶりとなります。

私は、学術会議は海外の科学アカデミーに当たる機関だと理解していますので、たとえ税金が投入され、国からの資金援助を受けているとしても、忖度なしで科学者の目を通して科学的な視野に立って政府や国会に対して政策提言や助言をもっともっと積極的に行ってほしいと思っています。

イギリスの学術機関「王立協会」やアメリカの「アメリカ科学アカデミー」は「王立」と名がついたり、リンカーン大統領が法律に署名して設立されたりした経緯があるようですが、政府から独立した組織という位置づけだそうです。先進国の学術機関はほとんどが民間団体で、「日本学術会議」のように政府機関として設置され、全額国費でまかなわれ、運営されているのは珍しいということです。

[NHK政治マガジン2020年10月12日]

[内閣府 主要国のアカデミーの比較資料]

https://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/gakujutsu/haihu02/siryo1-1.pdf

一方で内閣府の資料を見ると、多くの国の科学アカデミーが100%ではないにしろ政府のグラントをかなりの額受けていることがわかります。

なぜ、各国政府は口出しの出来ない独立機関である科学アカデミーに対して補助金までだして、提言や助言を受けているのでしょうか?科学者の意見を聞く価値をどのようにとらえているのでしょうか?

私はこのあたりが各国政府と日本政府の科学に対する考え方や異論に対する考え方の大きな違いではないかと思っています。

学術会議の民主的運営や透明性確保は、提言や助言の説得力にもかかわる問題ですので、国民からの批判や疑問には学術会議は真摯に向き合っていく必要があると思います。しかし、政府が口出しをしたり法律で制限をかけたりする必要性・必然性とはまったく次元の違う話だと思っています。

私たちは、学術会議に国民の立場に立って公正で科学的な立場で提言を出してもらうために政府の力に頼る必要は全くなく、ただ純粋に科学的立場・国民の立場に立った提言を出すように様々な機会に学術会議に対して世論をぶつけていけば良いのではないでしょうか?科学アカデミーに対する制限や圧力や介入は、独立した機関から提言を受け取るべき政府の役割ではないと思います。

学術会議に対して政府自らが介入しようとするならば、各国政府の立場と比較すると、それは日本政府の思い上がりであり科学に対する軽視にもつながるものだと思います。

下記NHKの報道によると、海外のノーベル賞受賞者61人により声明が発表されているそうで、政府が提出しようとしている日本学術会議の会員の選び方などを見直す法改正について、「日本政府による法律の改正は、『学問の独立』の根本的かつ重大な問題になりかねない」と指摘したうえで、政府に再考を求めた日本のノーベル賞受賞者ら8人の声明を全面的に支持するとしています。

[NHK 2023年4月17日 22時58分]

私は、これが世界の科学アカデミーに対する考え方のスタンダードであり、政府も学術会議も、学術会議の独立性を維持し、なおかつ科学的立場・国民の立場で提言や助言が出されているということを国民誰もが納得できるような関係性、運営方法を示してほしいと思います。


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