原子力規制委員会の審査チーム、敦賀原発2号機を不適合と判断
日本原子力発電 (日本原電) が再稼働を目指している福井県にある敦賀原子力発電所2号機について、原子力規制委員会の審査チームは2024年7月26日に開いた審査会合で、原発の規制基準に適合しているとは認められないとする結論をまとめました。
[NHK NEWS WEB 2024年7月26日 21時23分]
[東京新聞 2024年7月26日 22時06分]
敦賀原発の近くで見つかった断層が、活断層であり、2号機原子炉建屋の方向に連続している「可能性は否定できない」として、「新規制基準に適合していると認められない」と結論づけました。
日本国内の原発の危険性を端的に表していると思います。
日本には2000以上の活断層が見つかっていると言われています。
[国土交通省国土地理院 「活断層とはなにか」]
活断層は第四紀(260万年前以後)に入ってから、特に第四紀後期(約13万年以降)の地質時代としては比較的最近に活動したと考えられる断層です。とは言っても、私たちが認識できる活断層の多くは、私たちの普段の生活の感覚からすると非常に長い時間地殻変動による継続的な力の作用を受けながら、繰り返しの活動によって形成されてきたと考えられています。
新たな調査や探査技術によって今まで発見されていなかった活断層が見つかるケースもあります。また、大きな地震などの後に、既存の断層が活動を再開したことによって活断層の存在が認識されるケースや既存の断層が新たな地域にまで延長したと考えられるケースもあります。
今現在活断層が見つかっていない、あるいは断層に明確に最近活動した証拠が見られないといっても、地震が多く、活動帯に位置する日本に原発や核のゴミの最終処分場として適地はないといっても過言ではないと思います。
いずれにしろ、活断層の研究は日々進展しているとはいえ、活断層の形成過程や活動予測については、まだまだ多くの謎が残されており、既存の断層の活動史や新たな活断層の発見は今後も起こり得ることで、活断層に関する地道な研究の積み重ねが重要と言えると思います。
今回の原子力規制員会審査チームの結論は、そんな活断層に対する慎重な判断が現れたものと感じられます。
原子力発電所の重大事故を二度と起こさないためにも、今後も原子力規制員会は科学的で慎重な判断を下すよう期待したいと思います。
それにしても日本原電はNHKのニュースにもあるように、原発の建設や運営などを行う民間企業で、東京電力ホールディングスや関西電力といった大手電力9社などが株主となっていますが、保有するすべての原発が稼働を停止しているため、電力の販売をしていません。
それにもかかわらず電力大手各社から、原発の維持・管理費用として「基本料金」を受け取っていて、ことし3月期の決算では、最終的な利益として24億円の黒字を確保しているといいます。
これらは各社の電気料金に含まれ、消費者が負担していると考えると、大手電力会社は原発の危険性とムダを抱え込んで消費者に負担を強いていることになり、なんとも納得のいかない話だと思います。
[毎日新聞 2024年5月25日]