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日米首脳会談に思うこと。

岸田首相は2023年1月13日、アメリカのバイデン大統領と会談を行い、その成果として共同声明を発表しました。

この共同声明を読んでまず私が感じたことは、先に日本政府がまともな国会審議もなく決めた「反撃能力 (敵基地攻撃能力)」の保有を含めた防衛力の抜本的な強化と防衛予算の大幅な増額を国家安全保障戦略などに盛り込んだ「成果」を、岸田首相はなんとしても手土産として今回の会談でアメリカに示したかったのだなということです。

そしてまるで茶番劇のようにアメリカは声明の中でそれを手放しで賞賛しています。

国内の世論調査にも示されているように、多くの日本国民が「反撃能力」を持つことに対する懸念や国会での議論の必要性を表明する中で、それを無視して、国民の方ではなくアメリカ政府の方を見た一連の決定と会談だったのだなということを強く感じます。

アメリカにとっては、日米同盟の枠組みの中にある限り日本の今回の手土産は、アメリカの武器産業に頼る防衛力増強も、「敵対国」側からみた敵基地攻撃対象となりうる日本国内基地の役割強化 (日本の最前線化) も、「軍事費と危険」の日本への押し付けも、どれをとってもアメリカの利になることばかりで反対する要素はないのでしょう。

しかも、日本政府は自ら手を挙げて、「日本を守るためだから日本がそれなりの危険と負担を負うのは当たりまえだ」と「敵対国」との摩擦をさらに増やしたうえで最前線に立とうとし、危険を増やし、対話への道を狭くしていっているのですから。

冷静に考えればアメリカの利害が日本の利害と必ずしも一致する保証はどこにもないのに、また、アメリカ政府の方針も大統領や政権が変わればどのように変わるかわからず、今後どのような国になるかもわからない不安定さを持ち合わせているのに、日本政府の「アメリカの方だけを見た外交」は危険極まりないとしか言いようがありません。

胸をはって日米会談の成果を報告できる首相に、わたしは赤面してしまいます。

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