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探鉱経験の蓄積。新しい探鉱コンセプトで勝負する

石油会社は新しく石油を見つけ開発していかなければ成長できません。

したがって新しく石油を発見するための探鉱活動は大変重要です。実際に資金をつぎ込んで探鉱活動に参入するかどうかを決定する前には、様々な形で技術評価が行われ、投資に見合った見返りが得られそうか検討が行われます。

複数の地域で複数の探鉱案件がある場合、どこが最も有望で、投資に対する見返りが大きそうか、技術的に比較検討し、有望な地域を優先して限りある資金を充てたいと考えます。

そのために技術評価基準をスタンダード化して、なるべく同一条件で比較 (英語ではよく”Apple to Apple” の比較と呼びます) したいと考えます。どこの会社でも技術評価のスタンダード化がすすめられているように感じます。評価基準がバラバラでは社内でも優先順位が決められませんから当然の流れと言えるかもしれません。

しかし、どこの会社も当たり前のような評価基準で当たり前のような評価を行うと、当然、どこの会社も同じような評価結果になり、だれにでも有望に見える値の張る鉱区でたくさんの競争相手と入札を戦わなければならなくなるでしょう。

ここで他社にはない、ある会社独自の突出した探鉱知見や探鉱コンセプトなどを持っていると、評価ランキングが他社と違ってくる可能性があります。

本来力を入れるべきところはこういうところなのだと思います。評価のスタンダード化が利益をもたらすのではなく、標準的な評価ではひっかからない知見や探鉱コンセプトが他社との利益の差を生むのだと思います。

ただし、石油探鉱の新しい知見やコンセプトは考えているだけではなかなか生まれてきません。

かつて、私の先輩方は、いろいろなタイプの油田が存在する、比較的安く参入できる北米大陸の陸上油田などで、大きな儲けを狙わずに、比較的少額の投資で数多く探鉱を経験するべきだと考え、実践しようとしたことがありました。将来のことも考えて会社としての技術力の底上げも意識してのことでした。

しかし、このような地道な探鉱活動は、日本の石油会社ではなかなか根付かなかったようです。小さな儲けでは魅力が感じられなかったのかもしれません。資金集めも難しかったのではないかと思われます。

資金が潤沢にある会社ではないほど、大物狙いではなく小物狙いで、まずは探鉱経験や探鉱コンセプトに磨きをかけるという発想。おもしろいと思いました。


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