化石マークのゴム印を作ったらなんだかかわいかった
私が赴任している南国の石油の多くは、中生代のジュラ紀および白亜紀の石灰岩の地層から生産されています。
ジュラ紀、白亜紀というと恐竜化石やアンモナイトの化石で有名です。しかし、残念ながら、私は南国の油層から恐竜の化石もアンモナイトの化石も見つけたことはありません。
そのかわり、南国の油層からはジュラ紀・白亜紀に栄えた厚歯二枚貝 (こうしにまいがい・あつばにまいがい、Rudist: ルディスト) と呼ばれる二枚貝の化石や、古生代のシルル紀やデボン紀、中生代のジュラ紀に特に栄えた層孔虫 (そうこうちゅう、Stromatoporoid: ストロマトポロイド)、有孔虫、ウニ、サンゴなど様々な化石を見ることができます。
化石は時代の指標になることもありますし (示準化石)、地層が堆積した環境を知る手がかり (示相化石) になることもあります。
そのため、石油井を掘削した際に地下からとってきた柱状の岩石サンプル (コア・サンプル)にどのような化石が含まれているか調べ、記載します。
昔はコア記載の清書は、今のようにコンピュータ・ソフトを使って作成するのではなく、手書きで下書きを作り、後で、ロットリングと呼ばれるペンやスクリーントーンなどを使ってフィルムの上に清書していました。
その際、化石が入っている地層には化石のマークを入れて、どこにどんな化石がどのくらい入っていたか視覚的にわかるように頑張って表現していました。下の図は、清書する際に用いられる化石マークの一例と、柱状図に表現された一例です。
しかし、南国の広域地質スタディをやっていたころ、コア記載の図面を何枚も何枚も清書しなければならず、だんだんこの化石マークをいくつもいくつも手で描くのが苦痛になってきました。
[広域スタディの思い出は以下の記事に]
そこでついに音を上げた若者 (私) が、「化石マークのゴム印を作ってください」と上司にお願いして、業者に頼んで特製の化石ゴム印を何種類か作成してもらいました。
化石ゴム印はインクを付けてポンポン押すだけでどんどん図面上に化石を増やせるので、先輩社員にも好評でした。そして意外にかわいくて、ノートの片隅にもこっそりポンポン押させてもらいました。
その後、コンピュータ・ソフトを使ってのコア記載の清書が当たり前となり、化石ゴム印の活躍の場はなくなってしまいましたが、会社のどこか片隅で、化石ゴム印が化石となって眠っているのではないかと思うとちょっとワクワクします。
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