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行田の古代蓮

私が小学生の頃、埼玉県行田市の母の実家に家族で遊びに行ったとき、「近くで『古代蓮』が咲いたらしいから見に行こう」と誘われ、近くの池まで見に行ったことがあります。

その時は「『古代蓮』とは大昔の蓮の種が、建設現場で掘り返された土の中から発見されて、その種が何千年もの時を経て発芽して成長して花を咲かせたものらしい」と聞いて、化石のような種から現代では見たこともないような奇妙な花が咲いたのかと思い、ワクワクしながら見に行ったものです。

咲いていた花は薄いピンクの可憐な花でした。実は現代のものも含めて蓮の花を生で見たのはその時が初めてだったので、正直現在の花との違いも分からなかったのですが、大昔の人もこれと同じ花を見ていたんだなと、なんだか不思議な気がしていました。

実際には1400年~3000年前の蓮の種が建設現場で土を掘り返した際に地表に出て、池の周辺で自然発芽したものと考えられているようです。一緒に採取された木片などの年代測定を行い時代を推定したそうです。

現代の蓮よりも花弁の数が少なく原始的な形態を持つとのことで、1000年以上も地下でじっと発芽の時期を待っていたのかと思うと、生命の不思議とロマンを感じずにはいられません。

現在ではこの古代蓮が発見された池を「古代蓮自生地」として市の天然記念物に指定し、近くに「古代蓮の里」をつくり、自生地から古代蓮を移植して保護しているそうです。

行田市には埼玉古墳群もあり、なんだか「古代」を感じる場所です。また近年、和田竜さんの小説「のぼうの城」やそれを原作とする映画でも有名になった忍城址もあります。行田は私にとってもいろいろと思い出のある場所です。最近訪ねていませんが、また訪ねてみたくなりました。


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