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幻灯機でわくわく

スライド映写機というものをご存じでしょうか?今風の言葉なら「スライド・プロジェクター」と呼ぶのでしょうか。私の家にあった古いスライド映写機を私たちは古風な呼び方で「幻灯機」と言っていました。

家にあった幻灯機は、リバーサルフィルム (ポジフィルム) をマウント仕上したものを、光源の前のフォルダーに一枚一枚差し込んでは横にずらして光源の前に動かし、フィルムを通過した光をレンズで拡大して壁や白いスクリーンに大きく映し出すものです。

こんな感じの映写機です

私の父は私が幼稚園の頃から海外に長期で仕事に行くことがありました。私の覚えている限り、父が初めて海外に行ったのは確かネパールだったと思います。

ネパールから戻った父は、大量の写真を持ち帰り、それをポジフィルムに焼いてプラスチックのマウントに一枚一枚収めたスライドにしてもらい、家で幻灯大会を開いてくれました。

暗くした部屋の中で壁に大きく映し出されるネパールの「目 (ブッダ・アイ)」の描かれた不思議な寺院の写真や、ヒマラヤ山脈の風景にワクワクしたものです。たまに家族で撮った写真も混ぜてくれて、大笑いをしながら楽しみました。

家にお客さんが来れば、幻灯大会を開いてくれるので、スライドを入れ替える「映写係」に立候補するのも楽しみの一つでした。

私が大学生の頃は、学会や卒論発表などでも、まだスライド映写機が使われていました。ただし、こちらは「幻灯機」といった感じではなく、ドーナッツ状のカートリッジにあらかじめスライドを並べておいて、リモコンボタンを押すと自動的にスライドを入れ替えてくれる、まさに「スライド映写機」といった感じでした。

それでも部屋をかなり暗くしないと、スクリーンに映し出される画像が見えにくくなってしまうので、スライドを使った発表は暗い部屋で行われ、手元の原稿が見えにくくて困りました。

それにしても、「幻灯機」。良い響きです。英語の呼び名は “magic lantern”。どちらの呼び名もワクワク感がありますね。


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