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ベトナム南端のカマウの村には伝統的な手法のエビの養殖方法と現代的な方法の両方があった。そこから感じとるリゾートホテルの設計

4日間ベトナム南端のカマウの古くから残る村にお邪魔して、友人の家に住まわせてもらった。そこでの体験を紹介します。

テーマは「伝統的、現代的の2つのエビの養殖方法が混在しているこの村で感じた、こんなリゾートホテルがあったらいいのに」。

カマウの紹介からすると、海産物の養殖が盛んの地域で特にカニが有名な地方です。村中に川が流れていて、その川を引いて個人の池を作り、そこで海産物を養殖している。池はとても広く、最初いくつもの川が流れていると錯覚したほど。

そこには2つの養殖場。があった

1.伝統的な養殖場の「池」

友人の家には彼の母が一人で生活している。彼女は一つの大きな池をもっていて、伝統的な手法でエビと魚と蟹を育てている。

それぞれの海産物は同じ池に生息しいて罠の種類を変えることで、捕まえるものを変えている。

それを体験させてもらった。船は木造の小舟でオールを使って操作する。これがかなり難しくて、何度も壁にぶつかりながら罠を取り付けたり引き上げたりをした。

この経験はとても楽しいもので現地の人にとっては毎日の作業でも、私にとっては船に乗ってから降りるまでが貴重な体験だった。ただ蟹をとるのではない、何かそこの文化に触れたような感覚と全身で自然を体験した。そんな感覚だった。

体験に大きな価値のある養殖場だと感じたが、どれだけ海産物がとれるかが最も大事なこの村では非効率かもしれません。

2.現代的な「養殖場」

伝統的な方法で養殖をする彼女とは対照的に、現代的な方法で行っている家も少なくない。友人の親戚にお邪魔したときにその池を見ることができた。

この池ではエビだけの養殖を行っている。大量のエビを育てていて、伝統的な方法に見られた肉体労働とは対照的に定期的に管理をしなければいけない大変さがあった。

1日中管理する必要があり近代的とは言っても楽ではないようだった。

伝統的な漁と比べると、そこには「体験」という部分は排除されて、養殖場そのものって感じだった。

伝統的な養殖の「池」はこれからこのような「養殖場」にとって代わっていくのだろう。そんな印象を受けた。

3.伝統的な「池」にリゾートホテルを感じる

一つ目に紹介した伝統的な手法を使っている養殖の仕方に、リゾートホテル内に設けられる「経験」を感じた。

少しわかりにくいかもしれないが、できるだけ分かりやすく今から説明する。

リゾートというと世界的に有名な場所は「バリ」だ。ここは国を挙げてリゾートを推進してきた。多くのリゾートホテルが立ち並ぶ島だが、ここのリゾートホテルが革新的だといわれた所以を話す。

バリには人々が形成してきたその島の文化が存在する。そんな地元の生活を観光客やホテルが損なわないようにホテルには様々な制約があります。

そして、地元民と観光客を分離するのではなく、その文化も観光の一部として体験してもらおうというところからリゾートホテルは独自の発展を遂げた。

よくあるリゾートホテルは観光客と地元の人々との生活区域を分離し、高層のリゾートホテルは美しい海や自然の「壁」の役割を果たし、地元民から自然の景観を引き離している。

バリではそうではない。

ヤシの木以上の高さのホテル建設を禁止していて、観光客は農作物に従事する人々を見たり、そこの棚田はかなり美しい。

地元の人々にとってはその棚田は作業場かもしれないが、外の人からしたらその美しさは大きな価値を持つ。そこに目を付けたのがバリの観光事業なのではないか。バリでは観光客が文化を触れられることをリゾートの価値としている。

そこの貴重な文化に触れられて、なおかつ自然に寄り添った経験が本当に高級なリゾートだと思っている。

伝統的な漁を経験したあの時間はまさにそうだった。

小舟の上で感じる風と波による揺れ。池に反射する夕日。池の中の様々な生き物の姿。木々の音。漁が成功したときの喜び。

僕はあの時かけがえのない経験をした。

観光客ファーストではなくお邪魔させてもらっているようなリゾートホテルが高級なリゾートホテルなのではないだろうか。

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