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メモリーアスリートと円周率

こんばんは。今日は3月14日、そう、円周率の日です。
メモリースポーツをやっている者としてよく円周率との関係を聞かれます。

Q. メモリーアスリートは円周率を大量に覚えているんですよね?
A. いいえ。

終わりです。
これで終わってしまっては元も子も無いので色々考えてみます。

まず、正確に言うと「円周率の道に行く人もごくわずかにいるが、基本的にはみんな意図的に覚えていない」となります。

メモリースポーツでは短時間に大量の物を記憶します。その中には当然数字の記憶もあるので、数字記憶はできます。でも、長期記憶を問われることが無いので、基本的に長期記憶で覚えるモチベーションが無いです。
逆に、場所法という記憶術を使っている以上、長期的な記憶は「新たに覚えるものの邪魔」になってしまうので、むしろ覚えない方が良いのです。キャパシティを邪魔してしまう、とも言えるでしょう。

メモリースポーツは「その場で出たランダムな数字の並びを、1分間や長くても1時間などの短い時間で、いかに多く覚えられるか」を競っています。覚え終わった直後に回答時間があり、それが終われば継続して覚えている必要はありません。
またすぐ次のテストに取り掛かり、別の数字の羅列を覚えていく作業に入ります。

というわけで円周率などの長期記憶を覚えてしまうと、普段の大会で使える記憶の容量が減ってしまう(=専門的に言うと場所を消費してしまう)ので、原則円周率は覚えていません。

そんな中でもいくつか例外があり、メモリースポーツの大会に出場するのをしばらく辞め、円周率や資格試験など長期記憶のために場所を全振りするパターンと、長期記憶のために場所は使うが、覚え終わったら場所から離すという方法があります。

前者を選択する選手もわずかですがいます。有名な選手だとスウェーデンのヨナスですね。メモリースポーツの世界トップの選手でしたが、ある時を境に円周率への挑戦を始めて、メモリースポーツの大会には姿を現さなくなりました。円周率の世界記録に挑戦しているようです。

後者の場所から切り離すことも理論上は可能ですが、口が覚えるまでにかなりの時間がかかってしまうのと、確実性に欠けるのでやる場合は専念しないと厳しい気がします。

という訳でメモリースポーツの大会にしばらく出場するのはあきらめて、その持っているスキルと場所を使って円周率専属選手になる、という選択肢があります。これを選択できる選手はほとんどいませんね。メモリースポーツでも世界記録には挑戦できるし、賞金もあるし、ライバルも多いし、っていう感じだと思います。もちろん円周率にも魅力はたくさんありますが。


で、もし専属になった場合にどのくらい円周率を覚えられるのか?という話。

Hour Numbersという1時間で初見の数字を何桁覚えられるかという種目があります。世界記録は3238桁です。
なので、超トップの場合、1時間準備時間をもらえたら円周率3000桁は覚えられるということになります。
じゃあ2時間もらえたら6000桁、10時間あれば3万桁覚えられるのかと言われればそこまで単純ではありません。
スタミナや精度はもちろん、「場所が無い」問題に直面します。

場所法で数字を覚えていくので、自分が持っている場所のキャパシティを超えた場合、新たに場所を作る部分からやらないといけないのです。

正直、準備時間さえあれば、かなりの桁数は覚えられると思います。
僕も数日あれば5000桁は覚えられる自信があります。今ぱっと思い出して使えるプレイスが600ほどなので、8桁ずつ置いて約5000ってことですね。

でもそれ以上は場所を増やして、定着させないといけないので、結構時間がかかりそうです。
何とか3000プレイスの場所を作っても、1プレイスに8桁で24000桁。ここらへんが僕の上限だと思います。めちゃくちゃ頑張ったらプレイスを増やし続けられるとは思いますが、労力に合わなさそうです…。
覚えれば覚えるほどイメージも被ってくると思うので2桁ワンイメージや2桁PAOだと厳しくもなってきそうですね。


いつかは挑戦したい円周率。
専用の場所を作って保存しておくのが現実的な所でしょうか。

ちなみにメモアカでは円周率の覚え方のコースやトレーニングモードがあるので、100桁くらいは覚えてみたい!という人は是非。


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