たんぽぽのような人

やたらと魅力的な人がいる。

サラリーマンから最も遠い自由人。定職にはつかず、アルバイトを転々としている。そのコミュニケーション能力によって次々と頼れる人を作っていく。
いざとなったら、お金なんかなくても、きっと周りが助けたくなる。とにかく愛嬌がある。

月から金まで、9時から5時の生活をしていないから、いつ働いてもいいし、いつ休んだっていい。
ハレの日は居心地よく寝転べるスペースを作った軽バンで、コーヒーを飲みながら好きな小説を読む。
気が向いたら釣りに行って、食料を確保してくる。
雨の日はショッピングモールのテーマソングを耳コピしてかき鳴らす。

気づいたらいなくなっていて、また次の地でひょうひょうと暮らしているんだろう。そよ風にふかれたたんぽぽかよ。