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みんなに必要な新しい仕事

読書用メモ61

▼タイトル:みんなに必要な新しい仕事(2015年11月発行)
▼著者:吉岡マコ

マドレボニータ創業者の吉岡さんから頂いた本。すでに絶版になっているとのことなのだが、私的には相当良書で、母子手帳と一緒に区から配布してほしいくらい!

・・・とはいっても、この本は、シングルマザーのための本でも、産褥期に苦しむ女性のための本でも、無い。タイトルにもそんな文言が含まれていない通り、1つのソーシャルイノベーションの誕生から成長、そしてさらに邁進していこうとする決意の本。

もう少し具体的な内容としては、吉岡さんがどのような子供時代を過ごし価値観が形成されたかから始まり、シングルマザーになった経緯と、産後のセルフケアの場、「お母さん」ではなく一人の大人として存在し磨きをかける場、美しい母を取り戻す場としてマドレボニータがどのように変化していったかがつづられている。

▽ソーシャルイノベーション
これまで社会起業家とかソーシャルビジネスとか言葉はよく聞いてたけど、そのミッション・事業内容に心から共感したり必要性を感じたりする企業はなかった、どちらかというと怪しいと思っていた苦笑。
でも今回は違う。マドレボニータのレッスンにも参加したこともありその有効性・必要性もわかるし、一人で教室を立ち上げ始めたの吉岡さんの試行錯誤を読んでいくと、これはもっと当たり前の社会のインフラとなってほしい!と激しく納得できるものであった。

プログラムの内容、ビジョン、インストラクター認定制度の必要性、NPOである意味、組織と仕組み作り。すべて綿密に考え尽くされていて中身が存在している。上から言葉をかぶせただけの薄っぺらいそれとは異なる。

今まさに私が同じ状況(産後)だから共感も強いのかもしれない。ただそれだけではなく、吉岡さんの悩み考え試行錯誤して整理された言葉たちが、読む人に納得感をもたらすのが大きい。

▽産後とシングルのモヤモヤの言語化
今産後育休中の私が抱えるモヤモヤを見事に言語化していて(どちらかというとしすぎていて(良い意味で))、もっと自分自身で考えさせてほしかった・・・と残念というか悔しく思うほどもう吉岡さんには見えすぎている。

出産後1か月で通った乳房外来で先生から「お母さん」と呼びかけられた驚き・違和感。私はお母さんではなく「〇〇さん(苗字)」だと思ったあの時。区の催しで助産師さんから「お母さんたち」「ママ友を作っていただいて・・・」と言われたときにひとくくりにされたような微妙な感じ。なるほどこのモヤモヤはそういうことだったのね、と答えを教えてもらった。

吉岡さんと自分との違いを見せつけられているというか、彼女は(当時)20代半ばで悩み苦しみ既にこの境地に達しているのに、アラフォーの自分はこのコロナ禍でのほほんと育休を過ごしていて、彼女が逃さず気づいていた違和感を見逃そうとしていた。もちろんそれなりに私も悩んでいるし相対的に比べるものでもないけれど、焦りを感じたというか、自分の小ささを感じたというか。特に社会的役割について書かれている本なので、自分の(社会的な)無力さを見せつけられているというか。

「私は『何も持っていない』というコンプレックスを持ち、心もとない産後を過ごしていましたが、その時『持っている』ように見えていた人も、それぞれ葛藤や悩みがあって奮闘していた。」

吉岡さん自身も上記のように記載されているが、まさに今吉岡さんが眩しく見える!劣等感を感じている!!そのことを吉岡さんは「ごまかさずに自分らしさを発揮する」ことが大事だと述べているが、まだそこまでポジティブに受け取れない苦笑。

▽質実剛健
本の中に4~5回は登場した、「質実剛健」という言葉。あ、また出てきた(笑)とほほ笑みながら読み進めたが、恐らく吉岡さんが好きな、目指している言葉なのだろうなぁと思った。私も素敵な言葉だなと思ったので、質実剛健(=充実して飾り気がなく、心身ともに強くたくましいさま)を目指そうと決めた。

それくらい、吉岡さんが素敵だな、と私が思ったということ。

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