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かん味処vol.6「情報は、使ってなんぼ」情報分析、市場調査のやり方


 第一回目のかん味処のレポートの最後に、今後どんなテーマを学びたいかについてこんな事を書いていた。

 ”改めて菅さんの引き出しの多さに恐れおののいた。いったい、どんなアンテナを立てているんだろう。菅さんの情報収集力、情報の分析、情報の使い方について、いつか「かん味処」のテーマになったら嬉しい。”

 今回それが叶い、テーマは情報分析と市場調査だ。菅さんの底なしの知識と分析力の秘密が、ほんの少しでもわかるかもしれないと、かなり期待して臨んだ。
 受講後、今回もとても勉強になったと思うと同時に、毎度同じみの頭痛に悩まされた。菅さん曰く、「情報を持っているだけなら、何も意味がない。情報を使って行動することに意味がある」と。私は、得た情報をもってどう行動するのか。どう生かすのか。そもそものところで考え込んでいる・・・レポートを書くことも行動のうち、だよね?

1.主観と客観をわける

 情報収集をするには、そもそも正しい情報かどうかを吟味できないといけない。巷にあふれる情報は、主観と客観が入り混じっている。人は主観から逃れることはできない。だからこそデータというのは、「主観/客観」「感情/事実」を切り分けるために必要なもの。データや数字、事実をもとに考える=FACTベースで考えることが大切なのだ。
 今は何事もルールや原則にしたがる風潮があるが、それは誰か特定の人間による主観ではないか?誰かが大きな声で断言することも「それは事実か?その人の主観か?」を考えながら聴くことで、情報が整理され、惑わされなくなると思う。
 これは自分自身についてもそうだ。いま自分が発している言葉は、事実か主観か。前回のモチベーション講座でも「事実と感情を分ける」とあったが、それによって自分自身の思考も整理されると思う(これは主観)。

2.信頼できる情報~国は無料の情報源~

 信頼できる情報を無料で得ることができるのが、国が公表している各種統計データだ。国民や生活、経済など基礎的な情報が定期的に公表されている。自治体や省庁は、国民からの質問に答える義務があるので、積極的に活用するといいそうだ。

【e-Stat 政府統計ポータルサイト】
https://www.e-stat.go.jp/
 政府統計で押さえるべきは「家計調査」。全国の世帯が、毎月何にどれくらいお金をかけているかを追うことができる。

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 例えば、上にある「消費支出の内訳(2021年2月-二人以上の世帯)」を見ると、コロナ直前である1年前と今年の2月を比べて唯一支出額が伸びたのが「教育」であるとわかる。備考には「5か月連続の実質増加」とあり、オンライン学習が進んだことによる支出ではないか、と菅さんは分析していた。しかし、「教育」以外の項目は支出額が下がっている。コロナ前後で、家計の支出の構成比が変わっているということかもしれない。
 このように、表やグラフの増減と世の中の流れを照らし合わせてみると、数字やグラフを読み解くことができて、発見がある。こうやって情報を分析していくのだ。

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 この表では、より細かい支出の内訳を見ることができる。
勤労世帯(現役世代)と無職世帯(リタイア世代)の違いも確認できて、販売のターゲットをどの層に定めるかのヒントにもなる。(統計データには都道府県別やより細かな世帯別、収入別などのデータもある)
 例えば、肉類と魚介類で比較してみる。魚介類については、勤労世帯より無職世帯の方が毎月の支出金額が高い。一方、勤労世帯は無職世帯に比べ、肉類に2,000円近く高い金額を支出していることがわかる。(さらに、勤労世帯は肉も魚も対前年で支出が増加しているのが面白い)

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 生鮮野菜について見てみると、勤労世帯も無職世帯も1か月で支払う額はだいたい5,500円前後。産直ECで野菜を購入した場合、送料も含めると1回でいくら払うだろうか。上の表から読み解くと、産直ECで購入される食べ物は、日々の食費というカテゴリーではなく、むしろ娯楽費として認識されているのではないだろうかということ。そうすると、日常使いというより、特別感を意識した訴求方法の方が実情に合っているのかもしれない。
 ちなみに、「油脂」の支出額は家庭でどれくらい料理をするかの指標になるという。外食なのか、家で食事をするのか、そういうトレンドも読み解ける。

3.信頼できる情報~マーケティング編〜

 マーケティングにノウハウなどない。今回の講座の冒頭で、菅さんが強く訴えていた部分だ。情報を地道に収集してデータを分析し、なぜ売れたのか(過去の検証)と何が売れるのか(未来の予測)を積み重ねていくことで、お客さまにきちんと満足してもらえるものが作れるのだ。それは持続的な経営に繋がる。「データやシステムなき経営は、カンと運で経営しているようなもの」なのだ。
 マーケティングに役立つデータについても、良質ながら無料で取得できるものがあるので紹介する。

【T-POINT Price Index】
https://mk.ccc.co.jp/tpi/data1.html#graph
 TSUTAYAのTポイントが、どこでどれだけ使われているかが公開されている。性別・年齢でソートができ、スーパー・コンビニ・ドラッグストア毎にも動向を見ることができる。

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【TKC経営指標(BAST)】
https://www.tkc.jp/tkcnf/bast/sample/
 これは、税理士・会計士が中小企業24万社の決算書データをベースに経営成績と財政状態を分析したもので、速報版は無料で見ることができる。損益分岐点比率や平均売り上げなど、かなり具体的な数字を業種別に細かく確認することができる。

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【RESAS】
https://resas.go.jp/#/13/13101
 地方創生の様々な取り組みを情報面から支援することを目的とした、経済産業省と内閣官房が提供する情報システム。産業構造や人口動態、人の流れなどの官民ビッグデータを集約し、可視化している。地域別や産業別にかなり幅広い情報を見ることができる。

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4.特定班スキルをマーケティングに応用する

 SNSに下手に写真を載せてしまうと、1枚の写真からでもいろんな情報が読み取られてしまう。所謂「特定班」と呼ばれる人たちは、写真の窓の外にチラッと写った建物から、撮影場所を特定できる(ほんとコワイ)。
 こうしたスキルは悪用されると恐ろしいけど、その「情報を読み取る技術」を鍛えることで市場調査に応用することができる。

 例えば、スーパー。駐車場、お客さんの持ち物、かごの中身、レジの会計の様子などから商圏エリアを推測することができる。ロードサイドのお店(外食チェーン、コンビニ、ドラッグストア)なども観察ポイントとヒントがたくさんある。
 こうした「目」は一朝一夕には習得できないが、日常の些細なところでゲーム感覚で人間観察をして鍛えていくといい。例えば、ショッピングモールで目の前を歩く人がどのお店に入るか、予測するゲームなど。日頃からの意識で、人間観察の精度を上げられるのだ。

 このレポートに挙げたように、情報は取りに行こうと思えばいくらでも取ることができる。現在、農林水産省が様々なデータの統合と共に、共通申請サービスによるDXを推進しているそうだ。これからは農家も、データを持っているだけではダメで、データを活用して生産性と採算性を高める時代になるのだという。データへの感度を上げるだけでは足りず、どう活用するかのアンテナも高く張らなければいけないということだ。学んだことをどう活かすか、私も考え続けて、動き続けなければいけない。

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