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ほうきもろこしの種選別 -2024-


4月、岩手県九戸村にある「南部箒」の里山では、畑のあぜ道に淡い緑の蕗(ふき)の薹(とう)や黄色い花の福寿草が芽吹き、春が訪れます。

この時期「南部箒」の高倉工芸では、全国各地で展示販売会やミニ南部箒制作体験のワークショップを開催しながら、南部箒の大切な材料「ほうきもろこし」の種の選別をおこなっています。

「ほうきもろこし」の種の選別は、夏の終わりに種の収穫用「ほうきもろこし」から種を収穫する時と、この時期の2回行います。
最初の選別は種の大きさで選別します。大きい種のほうが、発芽率が良くなり丈夫に育つため、大きいものを残します。
そしてこの時期の選別は、種に芒(のぎ)がついていないものを残します。芒は種の殻から出ている細い毛のようなものでイネ科の植物の種によく見られます。これがあると種まき機の中で種の詰まりが発生してしまいます。
芒は穂先と種を繋いでいる部分で脱穀の過程でほうきもろこしの穂先から種を取り、脱毛の過程で種から埃や芒を取りますが、今回の選別で残った芒を取り除いていきます。

芒のある種 と 芒のない種


昔は種まきを手作業で行っていました。しゃがみこんで行う作業はとても大変で、何とか解決しようと市販の播種機(種まき機)をメーカー様の協力を得て改良を加えてもらい試行錯誤した結果、オリジナルの「ほうきもろこし」種まき機が完成しました。

ほうきもろこし種まき機


種まき機は種を吸い上げて落とす構造になっていて芒があるとうまく蒔くことができないため、トレーに種を広げ選別し、芒のある種をピンセットで1粒1粒取り除いていきます。
今年は3人で20日ほどかけて選別を行い、芒のない種が一斗缶1つ半、およそ27リットルほどの量となりました。とても集中力と根気が必要な作業です。

種の選別


「ほうきもろこし」の種の選別は、丈夫で繊細な「ほうきもろこし」を育てるための重要な作業の一つです。高倉工芸のスタッフ全員の力を合わせて5月の種まきに向けて準備を進めていきます。

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2024年3月6日にPRESIDENT Online様に記事を掲載していただきました。

▼URL『ダイソンより高いが、すごく便利…「撫でるだけで毛玉が消える」幻の工芸品・南部箒の奇跡の復活ストーリー』
https://president.jp/articles/-/79075?page=1
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これからも南部箒や高倉工芸の情報を発信していきますので
お楽しみに!


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