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みもじの話

こんにちは。夫婦でボードゲームを制作しているナナワリです。
この記事は、私たちの3作目である「みもじ」というゲームについてで、妻の方が書いています。(2019秋の作品)
みもじは、じっくり遊ぶパズルっぽいワードゲームです。

マンガを書いた人は、きりんなべさん
もっと知りたい人は、NANAWARI Website へどうぞ

夫の思いつき

私たちは、それぞれがゲームのアイディアを考え、実現に近そうなゲームの種を2人で作品に仕上げていくスタイルで制作をしています。

「みもじ」の種は夫が持ってきました。パズル好きな私はこのゲームを最初に説明された時から絶対に面白くなると確信を持って、時には発案者である夫より力強く制作を押し進めて行ったのでした。

当初は単にタイルを動かした"後"の盤面を何パターンも想像する頭の動きが面白いという思いでした。しかしテストを繰り返しルールが固まっていく中で、「面白さとは違う軸」でも魅力を感じるようになりました。私が特に強く自分にとってのこのゲームの魅力として感じたことは2つあり、このnoteではそれを書きたいと思います。

思考する体力

私がみもじの魅力として感じたことの1つ目は、記憶力はいらないが思考体力が要るということです。
思考体力とは、最近の啓発系の造語なのではないかと思いますが、長時間思考し続ける脳の体力のようなものと定義されています。

私には2人の子どもがいて、乳幼児の子育て期間は9年を数えます。乳幼児の子育て期というのは長時間集中して何かを考えるという時間を非常に取りにくく、脳内はいつも反復横跳びしているような状態にあります。そういう短い思考に慣れてしまった結果、いつしか自分が長い時間集中して一つのことを考え続けることを苦手と感じるようになっていることに気づきました。

もともと近視眼的なものの考え方をする方でしたが、それが顕著になり、ゲームでも2手先くらいまで考えたらもう「やっちゃえ〜〜」というような姿勢が多くなったように思います。そして、私はそれを良いこととは感じられなかったのです。

みもじは、運要素のない確実な情報から、何パターンもの1手先を想像して最善手を選ぶゲームです。長く時間をかければかけた分だけ報われる(可能性が高くなる)し、何手も先を読むのと違って記憶力がほとんど要りません。ですから、自分でも不思議なくらい集中して、納得いくまで考えることができたのです。

みもじをやると、じっくり型思考のリハビリをしている感覚になりました。これが1つ目の魅力です。

片手間にゲームすること

自分にとってみもじの魅力の2つ目は、片手間にできることです。

私たちは家で、夫婦でボードゲームを遊ぶことがほとんどで、その頃は特に夕食〜入浴前の30分しか遊べる時間がありませんでした。家のことをやったり、子どものことをやったり、とにかく家にいても落ち着いて座っていられる時間というのはそんなにないものです。

みもじは、一人がじっくり言葉を探した後に、周りの人が見つけ忘れを指摘するようになっています。岡目八目とはよく言ったもので、どんなに時間をかけてじっくり探し切った後でも、パッと横から見ただけの人が新たな答えを見つけてしまうのが面白さの一つです。
このようなゲームの進行のため、一人がじっくり探している間には隙ができます。ダウンタイムというやつで、通常ゲーム設計上は歓迎されないやつですね。

でも、私は家で家族とゲームをやる場合、実はダウンタイムというのはあまり気にならないことが多いです。誰かが長く考えているならコーヒーを入れたり、ちょっと洗濯機を回したり、明日の準備をしたり、とにかくちょこっとやることなら売るほどあるからです。

ですからこのゲームはなんとなく机で始めて、いつも一人がうんうん唸っているのを家族がちょっと覗いたり口を出したりしつつ、「できた!」が聞こえたらみんなが集まって見落としている単語を指摘して、また次の人が唸り始めたら各々好きなところに散らばって、というような、付かず離れずの程よい距離感と時間の使い方で遊んでもらうのも嬉しいな。そうしたら、〇〇が残っているから参加できない人がいる、みたいなことが起きなくていいなぁ、などと個人的には思っています。

贅沢な時間の使い方

もちろん、家で家族で遊ぶ訳じゃない方が多いでしょうし、そういう場合はある程度焦ったり、途中で諦めて答えを出したりもするでしょう。そうなってもダウンタイムがただの暇にならないようにはしたつもりです。
とはいえ、このゲームは結局しぶとく考え尽くした先に見つけた時の発見の喜び、だとか、それでも見落としていた時の驚き、だとかが面白いところなので基本的に長考を許すというスタンスで行くことにしました。(そう決めるまではだいぶ悩みましたが)

そもそもボードゲームを遊ぶのは余暇なのですから、せっかくならどうかゆっくり、お茶でも飲みながら、贅沢な時間にして頂きたいなと思ったりしているわけです。

蛇足

みもじのご購入は……