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【キングダムハーツメロディオブメモリー】クリアした感想

※このnoteにはキングダムハーツ3およびキングダムハーツメロディオブメモリーのネタバレが含まれます。


PSplusゲームカタログにあったので、やってみました。
元々キングダムハーツシリーズは通しでやってたんですが、ストーリー的な進展は無さそうだなと思ってスルーしてた作品でした。

1.そもそもメロディオブメモリーとはなんぞや

キングダムハーツメロディオブメモリー(KHMom)は2020年11月に発売されたキングダムハーツシリーズのタイトルです。2014年6月現在ではキンハシリーズの最新作でもあります。
キンハシリーズはこれまではアクションRPGでしたが、今回のMomはリズムゲー(音ゲー)となっています。
Mom最大の特徴は、キングダムハーツシリーズの世界観そのままをリズムゲームで体感できるという点にあります。
譜面の背景はこれまでのシリーズで冒険してきたワールドに。ノーツはシリーズで戦ってきたハートレスやノーバディなどの形に。そして何より、楽曲はこれまでのシリーズで使われてきたものそのままが使用されています。

2.音ゲー部分のはなし

私は今まであまり音ゲーをやってこなかった人間です。プレイしたのはたぶんPS2版の太鼓の達人ぐらいです。他はダンレボとかのプレイ画面を見たことがある程度。なので音ゲーのプレイ感はほぼ素人目線からの感想です。

んで、まず真っ先にプレイして思ったこと。

譜面がメチャクチャ見にくい。

ノーツ、つまり音楽に合わせて叩くアイコンなんですが、前述の通りMomのノーツはこれまでのシリーズで戦ってきた敵の姿をしています。もう少し詳しく言うと、敵の形に重なる形で円形のガイドアイコンが表示され、このガイドアイコンの外周から内側に重なるようにもう一つの円が狭まっていき、2つの円が完全に重なった瞬間にコントローラーのキー(PS4版は◯、R1、L1)を押すことで可否判定が行われます。
これが超・分かりにくい。
太鼓の達人とか、他有名な音ゲーだとダンレボやビーマニだとかは判定部分が譜面の左側や上部、下部で固定されています。
一方、Momは判定部分が常に画面内で動き続けています。
ノーツは画面奥から流れてきて、画面手前にいるキャラクター(主人公のソラと仲間たちの三人組とか、合計4組のプレイキャラクターのグループがあります)の手前で判定が出てきます。
ただ直線的に流れてくるだけなら敵の形をしていようがまだそこまで視認性は悪くないと思うんですが、このノーツが動き回るのでともかく見にくい
これに加えて、そもそも譜面自体が背景(それまでのシリーズのマップ画面)に合わせて上下左右に曲がるので余計に視認性が悪いです。
難易度が選べるのでクリアできなくなるということはないのですが、難易度を上げるとノーツ密度が増すので画面がごちゃごちゃします。

とはいえ、そもそも音ゲーなのでいちいち画面を見ずに音で覚えろと言われればその通りなのかもしれません。

それと、音ゲーで重要なのが収録楽曲。10作品以上は続いてるだろうシリーズなので流石に楽曲を全部が全部収録することはできていません。人気の曲はちゃんと収録されているなという印象です。曲自体は当然のごとくものすごく良いので文句はありません。
ただ、収録楽曲は基本的に原曲が使用されています。言い換えると、音ゲーのために書き下ろされた曲を使用しているわけではないということでもあります。これのせいなのか、ノーツが楽曲のどこを基準に置かれているのかがちょっと分かりにくいなという印象です。メロディ部分なのかベースやドラムパートの部分なのか、裏打ちとかそういうやつなのか、そもそも音ゲーに詳しくないのでそう感じるだけなのかもしれませんが……。

個人的には専用アレンジというか、描き下ろし楽曲がもうちょっと欲しかったなというのが正直な感想です。
あと流石にホロウバスティオンが多すぎる。好きだけど。

他に曲に不満点があるとすれば、KH3の楽曲が少なすぎることでしょうか。
KH3の曲はそれまでのシリーズ作品のアレンジが多いですが、新規曲もあるしそもそもバージョン違いのアレンジ曲もいくつかMomには収録されています。せっかくKH3の直後に発売された作品なのだしKH3の曲はもっとあっても良かったんじゃないかな。ここは明確な不満点ですね。

3.ストーリーのはなし

※ここからネタバレあり

前もって言っておくと、私はMomのシナリオは評価していません

まず、そもそもシナリオの導入というものがこのゲームには存在しません。
プロローグというものが無いわけです。何故このゲームは始まったのか、そもそもシナリオはあるのか?というところが一切不明なままに始まります。
そんな中でステージ(楽曲)を進めていきます。ステージはシリーズ最初の作品、KH1から順番に始まります。そして1作品分の楽曲(正確にはステージクリア条件)をクリアしたら、作品の回想が挟まります。
この回想が、キングダムハーツシリーズのヒロインであるカイリの視点で語られるのですがこの内容が薄い
回想といってもカイリ視点での語りなのだから、そこには当然カイリの心情描写がある――ということもほぼ無く。淡々とカイリが状況説明をしてくれています。カイリさんはノーバディか何かか。
最初のうちは真面目に見ていたのですが、途中で面倒くさくなってスマホ見たりしてました。

とはいえ、回想シーンのみというだけならストーリーに対して低評価なんてものはつけてません。外伝作品の音ゲーなのだからそういうものだろうと思って終わりだったでしょう。

ですがこのゲーム、最後の最後にとんでもなく重要な情報が開示されます

まず、これまでのモノローグはカイリ自身が自分の記憶の世界に入って回想していました。
何故そんなことをしていたか、というとKH3の最後で消えてしまった主人公ソラの行方、その手がかりを探るためです。
最後の最後まで来てようやく、今までのカイリの回想に意味や目的があったことが分かります。
で、自分の記憶の中をカイリが探った結果、最後に宿敵でありKH3のラスボスであったゼアノート(ジジイのすがた)が現れます。こいつと戦って自分の無力さだとかを痛感しつつも重要なことをカイリは思い出します。
思い出したのはソラやリクといった幼馴染がいた世界よりも前に、カイリが住んでいた世界・レイディアントガーデンでのこと。
カイリはアンセム(ゼアノート(けんきゅうしゃのすがた))に捕らえられ、彼の実験のために何らかの装置に入れられてレイディアントガーデンの外の世界に流されたことが語られます。この時に研究者アンセムから、光の心がキーブレードの勇者と引き合うといったようなことが語られます。このへんは確か過去作で語られたことではあります。

問題はここからで、カイリの記憶世界の研究者アンセムがソラの居場所についてヒントを教えてくれます。その場所というのが「こちら側の光でも闇でもない場所、裏側の世界」というもので、そこにいたら見つけ出すのは難しいよ~というような内容です。
これだけでもかなりデカい新情報です。
そして、裏の世界の話がでたところでカイリの幼馴染であるリク、そしてフェアリーゴッドマザーが現れます。リクは自分が頻繁に夢で見る世界にソラがいるのではないかということ。そしてそのビル群の未知の世界こそがソラが今いる裏の世界ではないか?という話になります。

で、さらに問題が増えます。これが一番デカい問題です。

フェアリーゴッドマザーの紹介で、カイリとリクはKH3の最後の方でソラが訪れていた世界に来ます。そして、ここでソラと会話した『誰か』の心と会話し、その人物を介して裏の世界に行くことになります。

あとついでに、カイリは自分の力不足を実感して修行に出ます。裏の世界に先行するのはリクということになりますね。

さて。要約すると、ここで次回作(KH4)につながる重要な設定が開示されたということになります。ソラの居場所、そこにどうやっていくのか、誰が行くのか、そして裏の世界への道となってくれた『誰か』の存在です

今後のシナリオ的に超重要な要素が最後の最後に出てきます。いや、最後の最後に出てくること自体はいいんですが、それまでのシナリオの薄さ、というかもはやストーリー性皆無のところからいきなり大量の情報がお出しされるのです。
外伝でやるなと言いたくなるような情報の開示です。
とはいえ、シリーズの傾向を見ると外伝作品として出された作品に重要な情報があるのは当然のようなものだし、重要な情報はちゃんと作品内で再び「こういうことがありましたよ」と補足されていることが多いです。このゲームをやっていない人に対しても分かるように、おそらく再び情報が開示されるんじゃないか、とは思います。後で改めて説明する情報を出すんなら、じゃあこのゲームは何だったんだということになりそうですが。

そもそもシナリオで大事なのは情報ではなく、それに付随するキャラクターの情感だと私は思っています。明かされた情報そのものではなく、それに触れた物語の登場人物が何をどう感じるか?ということの描写こそがシナリオの良し悪しを生むんです。

Momラストで見せたカイリの気迫は素晴らしい描写だったと思います。ソラのために強大な敵に立ち向かいたい、でも自分は力不足だ……という流れは作劇として良質です。

しかし逆に言うと、それを見せられたのは本当に最後の最後になってからということにもなります。それまで延々ソラの旅を回想していたのに、心情描写があまりに少なすぎる。
もちろん、今までのシリーズがあるのだからカイリのソラに対する思いというのは既知のことではあります。ただ、プレイヤーが知っているからといって描写を省くことで良いシナリオになるかと言われると、よっぽど上手くやらないとそうはならんやろ、と。

それに加えてラストもラスト、次回以降のカイリの動向についての描写です。カイリは「今の自分では足手まといだから修行する」ことになります。
まあ、流れとしては必然的ではあります。
ですがこの流れ、KH3でもやったんですよ。
光の守護者のキーブレード使いになるため、物語の最初からカイリは修行をしています。その後は終盤までソラと直接会うこともなく、たまに修行シーン(というか一緒に修行しているリアとの会話シーン)が挟まって、最後の決戦前で合流する感じですね。このシナリオも個人的にはもうちょっと何とかならんのかと思いますがこれ以上言及するとKH3の愚痴になるので割愛。

ともかく、足手まといだから修行するねの流れはもうやったんですよ。
何なら足手まといだから私待ってるねはKH1でやってます。

シナリオは好みの問題だと言われればそれまでなんですが……。

もう個人の感想言う場だから言っちゃいますけどね。

そこは「私がソラを助ける」って言って率先してソラのとこへ行こうよ。

分かるよ? KH3でキーブレード墓場以降は足手まといだったっていうのは。活躍の場なんてなかったし明らかに力量不足だったのは。
現実的、理論的にはこの話の持っていきかたになりますよ。
けどそういうものを見たいかって言ったら別に見たくないんですよ。
理屈で組み立てられた話とかどうでもいいんでともかくカイリの心がそのまま動いてるところが見たいんですよ。

ソラは力不足だって分かってもともかく前に進んでましたよ。リクだってそうでしたよ。BBsだとヴェントゥスも修行中の身で飛び出したし、2.8ではくじけそうになりながらアクアも奮戦してましたよ。
何でカイリだけ待ちの姿勢やねん。
別に修行パートが悪いわけじゃないですよ。自分の心と向き合う描写入れたりだとかもできますよ。でもそれはKH3でもう済ませておけよと。これまでに何作品キングダムハーツのシリーズ作品が出てるんですか。10作品以上は出てますよ。
正直無理に戦わせるぐらいだったらもう島に待たせとけとすら思います。

別ゲーの話になって申し訳ないですが、ゼルダの伝説あるじゃないですか。そのヒロインのゼルダってそんな序盤から終盤まで出ずっぱりじゃなくて、序盤とか終盤のすごい重要な地点で出てきて、他は回想シーンとかにしかいないみたいなことが多いものの、それでも印象深いキャラじゃないですか。シリーズの全員が同一人物ということはなくて、シリーズごとに別のゼルダがいるわけですが、それでも心に残るヒロイン像を残してるわけですよ。

でもカイリは未だに、戦うヒロインにしたいのか待ちのヒロインにしたいのかすらよく分からないんですよ。
戦うヒロイン、待ちのヒロイン、あるいは最後に力を発揮するヒロインと、世には色んなヒロインがいます。どれが悪いというわけでなく、描写によってどれも素晴らしいキャラクター像を生むことができると思っています。
じゃあカイリはどういう方向性にしたいのかっていうと、よく分からない。
私、ソラの力になりたい!って言って飛び出していくタイプじゃないのは確かですが、それはそれとして力になる(戦う)ことを求めてはいるわけで。
今のところのカイリは、強い思いはあるがそれはそれとして、かなり理性的なキャラクターなんですよ。もうそういうキャラならそれでいいんですが、じゃあそういうキャラをキンハの主人公やヒロインに求めるかというと、私はそうじゃありません。……というハ・ナ・シ。

4.おわりに

結局、音ゲーなのにシナリオのことについて延々話してしまった気がします。音ゲーとしての部分はそもそも私が音ゲーに詳しくないのでなんとも言えないという部分もあります。
んで長々話したシナリオ部分ですが。簡単にまとめると、
『最後に重要な情報や考察要素を出してくるわりにシナリオのヒロイン(Momにおいては主人公)のカイリの心情描写が少なすぎる。あと次回作以降のカイリの扱いが心配』
という感想でした。

もちろんこれは私個人の感想であり、人によってまたカイリやMomの印象も変わってくると思うので、気になる方はプレイしてみてください。冒頭でお伝えしたようにPSPlusのゲームカタログにもある他、PSPlus未加入でも定期的にセールで安くなったりしてるので、プレイ自体は気軽にできます。


※追記(書き忘れとも言う)
カイリの扱いについて言いたいことが多すぎて忘れていたのですが、Momはここまで延々話した通り音ゲーです。
……が、作中では『何故音ゲーをしているのか(どうしてカイリの記憶が音楽として流れてくるのか)』という説明は一切なかったんですね。音ゲーする理由なんて音ゲーに求めるのか?と思われそうですがカードゲームやってたcomでさえ何故カードで戦うのかの理由付けは一応やっていました。
(記憶を抜き取ってカードの形にしているためとかナントカ)
しかし今回は一切そういうのもナシ。もうリコデやキーバックカバーみたいに映像作品でもイインジャネ?というぐらい音ゲーとシナリオの内容に相関関係が存在しません。
記憶と音ゲーにどんな屁理屈で設定付けするんだと言われそうですが、DDDでまさに音楽に重点を置いたステージが出たのでどうとでも理由が付けられたような気がしないでもないです。岡目八目と言われればそれまでですが。

以上、本当に感想おわり。

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