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人材育成の指標「資質・能力の三本柱」の解説

codeFaberというSESの会社でメンター・コーチをしながら、作家業・芸能活動をしているナナシロです。がおがお。

今回は企業が人材育成をするにあたって、指標になる
「資質・能力の三本柱」
について解説をしていこうと思います。

主には、

  • 人材育成方針を考えている人事の人

  • 部下や後輩の指導にあたっている人

  • 従業員の教育にあたっている経営者

にとって有益な内容になっています。

資質・能力の三本柱とは?

資質・能力の三本柱は、
・経済産業省が提唱する「社会人基礎力」
・文部科学省が告示する「学習指導要領」
・厚生労働省や文部科学省等が提唱する「幼稚園教育要領」
を読み解き、すべてに共通している要素を三本の柱として分かりやすくまとめたものです。

これは要するに、
「日本国民にはこんな感じで育って社会で活躍してほしいな〜!」
という国が掲げている方針。

社会人基礎力は2006年に発表されたものなので、少なからずこの数十年の世相を見て作られた国の求める人材像ですね。
なので、現代の資本主義社会の形に寄り添ってはいます。

もちろん資質・能力の三本柱の在り方自体を疑う批判性も大切ですが、今回はこれをいったん是として話を進めようと思います。

資質・能力の三本柱の内訳

では、資質・能力の三本柱の内訳について解説していきます。

入江元太さんの書籍「『人材育成』の教科書」が非常に分かりやすくまとめてくれていたので、そちらを参照させていただこうと思います。

とても良い本だったので、もし読みたい方がいたら下記リンクからどうぞ。
(Kindle版のリンクです)

主体性

ビジネスの場における主体性とは、
「自分の頭で考え、判断し、自分の意思で行動すること」
です。

典拠は下記になります。

●社会人基礎力
・専門知識・基礎学力を活かす力
・前に踏み出す力(主体性、働きかけ力、実行力)

●学習指導要領
・未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力
・理解していること・できることを使う能力

●幼稚園教育要領
・健康な心と体
・自立心
・思考力の芽生え
・豊かな感性と表現

主体性が乏しいと、

  • 能力はあるのに率先して取り組まない

  • いい人だし頭もいいが成果が出ない

  • 与えられた仕事を最低限しかこなさない

  • 当事者意識が低く問題を回避しがち

  • 「教えてもらっていないから出来ません」と言いがち

といった行動が目立ち、なんだか惜しい人材になってしまいます。

わりと多くの管理職や経営者が、この手の従業員に苦悩しているのではないでしょうか。

人間性

ビジネスの場における人間性とは、
「心身ともに健康な生活を送り、社会のルールやマナーを守り、組織の人々と協同すること」
です。

典拠は下記になります。

●社会人基礎力
・基本的な生活習慣
・思いやり
・公共心
・倫理観
・基本的なマナー
・身の回りのことは自分でしっかりやること
・チームで働く力
・発信力
・傾聴力
・規律性

●学習指導要領
・学びを人生に活かそうとする姿勢
・学びに向かう力・人間性等の涵養
・どのように社会・世界と関わりより良い人生を送るか

●幼稚園教育要領
・協同性
・道徳性・規範意識の芽生え
・社会生活との関わり
・自然との関わり・生命尊重

人間性が乏しいと、

  • 何も相談せず退職代行でいきなり飛ぶ

  • ルールを守れず、守ろうとすらしない

  • 同僚と上手くやっていくことができない

  • 会社の看板を背負っている意識が低い

  • 飲み会NG、残業NGなど権利の主張が強い

といった行動をとりがちです。

言い方はあれですが、主体性の方と比べると
「これはさすがに論外すぎるだろ…」
と感じた方も多いかもしれません。

が、昨今はこういった方をよく見かけるかと思います。

専門性

ビジネスの場における専門性とは、
「仕事において必要となる基礎学力、専門知識、技能、資格等」
です。

典拠は下記になります。

●社会人基礎力
・専門的な知識、技能、資格
・読み、書き、算数、基本的なITスキル等の基礎学力
・課題発見力、計画力、創造力等の考え抜く力

●学習指導要領
・生きて働く知識・技能
・何を理解しているか?の自覚
・何ができるか?への理解

●幼稚園教育要領
・数量、図形、文字等の関心、感覚
・言葉による伝え合い

専門性が乏しいと、

  • やり方が分からず業務が上手くできない

  • 与えられた仕事をこなせない

  • 誰でも出来る小間使のような仕事しか出来ない

  • 規則やマニュアルを理解できない

  • 出来ないのに「出来ます」と手を挙げてしまう

ということが起こります。

ただ日本では、専門性の乏しさがネックになっている例はまれだと思います。

というのも、今の日本社会にはスキルアップや技能習得を称賛する風潮があり、専門性を磨くことへの意識が高い人が多いから。

(組織や社会への貢献のためではなく、個人の人生の充実のためにやっている人が多いかもしれませんが)

資質・能力の三本柱をどう使うか?

最初にも書いたとおり、資質・能力の三本柱は国が求める人材の育成方針です。

自身の所属する組織の実態とズレていると感じる部分もあるかもしれませんが、社内の人材育成方針を立てるときの指標にはなるでしょう。

仮にこの資質・能力の三本柱を指標として人材育成をおこなうとして、大切なのは、

主体性、人間性、専門性の三領域がそれぞれバランス良く身についていること

です。

主体性だけが高くても、スタンドプレーの多い問題児になってしまいます。
人間性だけが高くても、いい人だけど能力の低い社員になってしまいます。
専門性だけが高くても、出来るのに貢献しない従業員になってしまいます。

なので、まず一人一人の従業員が主体性、人間性、専門性のどこに課題を抱えているのかを正しく評価し、把握することが肝要です。

そして、現状に合った育成計画を立て、本人の問題意識の段階に合わせたアプローチで実行していくことで徐々に変化していきます。

もし人材育成に関してお困りの管理職、経営者の方がいましたら、是非本記事を参考に現状把握をし、個別の育成計画の作成にトライしてみてください。

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