![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/18770020/rectangle_large_type_2_91b8d6456254828756caa18b80b7abd1.png?width=1200)
SS2020コレクションの解説
こんにちは。
今回は自身のブランドAkihide Nakachiで発表した、SS2020コレクションについて少し詳しく話をしていきたいと思います。
テーマ"Afterdream -yumenoato-"
このシーズンのテーマは "Afterdream -yumenoato-"です。
2度と会えない最愛の人に夢で再開するが、夢は覚め厳しい現実と向き合っていくというストーリー仕立てのテーマになっています。
着想はたまたま見かけた下記リンクの「 夢 」という南島原市の観光ショートフィルムです。
素敵な作品なのでぜひ見ていただきたいのですが、美しい映像と音楽が作る世界観に私は引き込まれました。
インスピレーションと聞くと有名な文豪の書いた小説からだとか、偉大な作曲家の曲だとか、美術館にあるような彫刻をイメージするかもしれませんがそれだけではありません。
もちろん才能ある人の生み出したものには、人を魅了するそれだけのエネルギーがあります。
そのため影響を受けるのは当然なのですが、何にセンサーが働くかは人それぞれで、
例えばそれが何気ない子供の一言だったり、道端の花であってもなんらおかしいことはありません。
話は逸れましたが、先ほどの映像作品からリサーチを重ね、派生させた結果Afterdreamというテーマに辿り着きました。
このAfterdreamという言葉は尊敬するデザイナーの一人であるHussein Charayanのコレクション"Afterwords"から、
yumenoatoは松尾芭蕉の有名なおくのほそ道の俳句"夏草や 強者どもが 夢の跡"からきています。
”2つのキーワード”
そして今回のテーマの中で重要なキーワードが2つあります。
それは”夢”と”涙”です。
”夢”に関しては夢を見ている際の姿勢、つまり睡眠時の横になっている姿勢と覚醒時の直立姿勢に注目をしました。
寝ている状態と起きている状態を対比させ、これを平面と立体で表現する目的から制作されたのが下の服です。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/18770166/picture_pc_4cc4582d2b1212afe975aa6fb5a1b540.png?width=1200)
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/18770129/picture_pc_f9a8bfaff016ce91d47c73eb9e87ac40.png?width=1200)
平らな状態から、ボタンの組み合わせにより服として機能する形(=立体)に変形させることができます。
これにより寝ている状態、起きている状態を可能にしました。
またボタンの掛け方次第では下のような個性的な着こなしも可能になるため
着用者次第で何通りも楽しむことができる服となっています。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/18770500/picture_pc_1f605dd7d8cb7848a19770559b396499.png?width=1200)
そして”涙”ですが、これは幸せな夢から覚めたことで現実を理解した悲しみの涙です。
今回は液状モチーフの付いたリングを制作し、それを指にはめた状態で顔を覆うことで涙を流す画を作り出しました。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/18770537/picture_pc_468277e8d04f133c1dfb68153b9f0569.png?width=1200)
この涙によって伝えたかった部分は、泣くことによる作用を知ってもらうことです。
涙を流すことは、コルチゾールというストレス物質を体外に排出することでもあり、体内の浄化、健康への役割も果たします。
そして、泣いた後にはエンドルフィンという痛みや悲しみを和らげる効果を持つホルモンが増加します。
泣いた後にスッキリとした気分になるのはこの作用によるものだそうです。
悲しみにより泣くことは必ずしも悪いことばかりではありません。
リングのゴールドと散りばめられたパールはそのポジティブな側面を表すためのデザインになっています。
”まとめ”
以上2つのキーワードを含むテーマによって構成されたのがこのシーズンのコレクションとなっています。
これまでは深く話すことは少なかったのですが、伝えておきたいことではあったのでここで説明させて頂きました。
私自身の考えとして服は、直感的にかわいい、着てみたい、から袖を通すで十分だと思っています。
服は着るためのもので、服そのものの魅力を身に纏うものだと思います。
たださまざまな側面で作られている服が世の中にはあります。ふんだんな装飾、派手すぎる柄、異形のシルエット、テクノロジーを組み込んだ服…
そういう服に限って、
こんなの服じゃない
どこでこんな服を着るのか
誰がこんな服を着るのか
世の中の人は口々に言います。
実際そうかもしれません。
もちろん無駄だと思える服もあったでしょう。
でもそういう服がこれまでのファッションの歴史を更新してきたことも事実です。
前に進めてきたことも事実です。
間接的に私たちが着ている服はその人たちの影響を受けているもので、全く関係のない話でもありません。
いろんな側面があることはファッションの魅力の一つだと私は思います。
私は着てその人が美しく見える服をもちろん作りたいですが、ファッションという領域を広げるためにも、前に進めるためにも服を作っています。
Akihide Nakachiの服は着るだけではなく、別の側面からも楽しんでもらえるそんな服でありたいと思います。
長くなりましたが、今後もコレクションの補足としてこのように解説をしていけたらと思っているので、楽しみにして頂けると幸いです。
それでは。
online store : https://store.akihidenakachi.com/
instagram : https://www.instagram.com/akihidenakachi/
web : https://akihidenakachi.com/
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?