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Day7】ss8 嫌われたとしても。 〜1200字

「縺昴%縺ォ隱ー縺九>繧九?」
「やっと、君に会えた」

願いの花が群生する丘、きっとここに来るだろうと待っていた。
やっと会えた彼女の声は、もう意味をなしていない。
そして彼女にも、もう僕の声は届いていないだろう。

錆びついた音を立てる金属で作られた手足
深い赫と青の入り混じった溶けたような皮膚
コウモリのような薄く破れかけた羽
捻じ曲がったぬらりと光るツノ
頬まで裂けた口から覗く鋭利ながら牙
他とはそぐわぬつぶらな黒い瞳
ふわりと優しい風とともに彼女は目の前に降り立った。

「騾?£縺ェ縺?→豁サ繧薙§繧?≧繧」

彼女は何か口を動かしているけれど、僕には聞き取ることも意味を察することもできない。胸が悲哀でぐしゃぐしゃに押し潰された。生きる理が違ってしまったから、この声を聞き取れる人はもういない。彼女が何を伝えようとしても、もう誰も。

彼女の目から一粒澄んだ涙がこぼれ落ちる。
手を出して、ゆっくりと何かを探すように歩き回る。
ここの花畑に咲いているのは、摘んで願いを口にする、ただそれだけで多少の願いを叶えてくれる花。叶わないときは花が散っていき、成功するとチカリと光る、そんな花。彼女はその花々を求めてきたのだろう。

しかし地面に咲いている花に手を伸ばすも、眼前の花はただ枯れて行くばかり。願いが叶う、そんな希望を持ってここまできたのに挑戦することすらできない。

「蠕?▲縺ヲ縲√♀鬘倥>縲∵椡繧後↑縺?〒」

そう呟きながら彼女はギシギシと体を鳴らして花を摘もうとする。

「縺企。倥>縲∫ァ√?螳カ譌上r縲∬ソ斐@縺ヲ」

澄んだ涙をぽろぽろと落としながら。
ぽたりぽたりと崩れて行く体を進め、少しずつ試して行く。
やがてひときわ美しく咲いた大輪の花を見つけ、ゆっくりと近づき、花を摘む。
やっと、やっと、手に取ることができた。

「邯コ鮗励?√?」

大切なものを持つようにゆっくりと両手で持ち、まじまじと見つめる。
やっと手に取るものが見つかった喜びと、失敗するかもという不安が入り混じった表情で口を動かそうとしたその瞬間

はらり、はらり

願いをいう間も無く、散ってゆく花弁

その後の慟哭は胸を掻き毟られる、いや、筆舌に尽くし難い悲哀が込められていた。


人を、知り合いを、友人を、家族を、傷つけながら生きていくことはどれほど苦しかっただろうか。そして彼ら彼女らを自らの生によって殺してしまったと気がついた時、どれほどの絶望に襲われたのだろう。
こんな、僕の胸くらいの身長の、まだ幼い子供だというのに。
まだ死ぬことすら理解していないかもしれない。それでも何度だって終わらせてほしいと願ったことだろう。綺麗に澄んだ瞳に絶望を乗せて。

人を傷つけながら生きることは、どんなに辛かっただろう
これから痛い思いをさせる僕は、君には嫌われてしまうかもしれない


それでも僕は、君を終わらせよう





半分くらい、復元できるかもです。


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