世にも奇妙な量子の物語

謎多き超ミクロの世界、今回は量子論について書いていきます。ただし私は物理学者でもなければ本をかじった程度の知識しかありませんので、量子世界の入り口にある謎ルールを私たちが生活している世界に当てはめるとこんな変なことが起きるよ、ということを説明したいと思います。

それだけ量子の世界は特殊で我々の常識が通用しないヘンテコなルールが支配しているのです。不勉強ゆえに例えが適切でない可能性もありますが、興味を持っていただけるきっかけになれば嬉しいです。

ヘンテコ現象その一 量子重ね合わせ
量子の世界では観測することによって我々の世界の物理ルールが適応されます。観測されるまでは複数の事象が重なり合っている状態にあり、これを量子重ね合わせ状態にあるといいます。小難しそうだなぁと思った方、安心してください、穿いてますよ。じゃなかった今から例えますよ。

我々の生活の中で例えるとこんな事です。

あなたは犬のポチを飼っています。外出が多くて心配なので家にカメラを設置し、いつでも様子を確認できるようにしていました。仕事の合間にスマホを立ち上げるとぐっすり眠っているポチの姿が確認できます。

ここでカメラを切った状態でポチがどうなっているか覗いてみましょう。常識で考えるとポチは寝ているはずですが、そうはなりません。なんと起きているポチと寝ているポチが同時に存在しており、ゆらゆらとうごめいている状態にあるのです。まるで寝ているポチと起きているポチのホログラム映像が重なって投影されているかのように。

再びスマホの電源を入れ様子をみてみるとポチはぐっすり寝ている状態になります。

お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、この不可解な現象を例えてこんな事ありえないだろ、と主張したのが有名なシュレーディンガーの猫の話です。しかし現代では様々な実験と数学的な解釈により、この現象が事実であるということが確認されています。

さて、ここで問題になるのが観測という行為です。意思のある生物が認識した時点で結果が確定されるの?世界はホログラムでできていてプレイヤーの私たちがみていないと世界は存在しないの?とオカルト的な解釈をしてしまうかもしれませんが、それは違います。

「量子力学で生命の謎を解く」では観測とは原子の物理干渉であると書かれています。原子の飛び交う環境に置かれる事で干渉が起き、その影響で性質が変わるということのようです。

ヘンテコ現象そのニ 量子ゆらぎ
生き霊とは肉体は存在しているものの精神が霊体となって抜け出し様々な場所を彷徨っている状態のことですが、量子ゆらぎは正に生き霊によく似ているかもしれません。ただし生き霊は本体が存在しますが、量子ゆらぎは観測されることで初めて存在する場所が確定します。

例えるとこうなります。

あなたは高校の同窓会に出席し、そこで不可解な話を耳にします。同窓会の前日にあなたは仲の良かったAさんと街でばったり出会います。久しぶり〜すごい偶然だね!明日の同窓会楽しみだねというような会話をして別れました。その事をAさんに話したところ、Aさんはこんな事をいうのです。

「昨日は偶然だったね!でも私昨日の記憶が曖昧なの。あなたと新宿で会った記憶はあるのだけど、同時にローマのコロッセオにもいたし、バルセロナでサグラダファミリアもみていたのよ。」

こんなことを言われるとAさん大丈夫かなと心配になりますが、なんとAさんはあなたと新宿で出会うまでローマにもバルセロナにも存在していました。存在という表現は正しくないかもしれません。正確にはローマにもバルセロナにも存在する可能性があり、まるで霊体が身体から抜け出して幾つもの場所に分かれて彷徨っているかのようにゆらゆらとうごめいていたのです。そしてあなたと出会ったことにより新宿で存在が確定します。

ちなみに何も知らない妻にこの例え話をしたところ、何かに洗脳されているのではないかと怯えられてしまいました笑

ヘンテコ現象その三 量子もつれ
すでにお腹いっぱいになってしまった方がいらしたら申し訳ありませんw

最後に最も不可解な現象、量子もつれについて説明したいと思います。量子もつれとは離れ離れになった二つの量子の一方を観測すると瞬時にもう一方の特性が確定する現象をいいます。新宿で青と観測したら、瞬時にローマでは赤になるという不思議な相互リンクが量子世界にはあるのです。

例えるとこんな感じです。

母の日、あなたは群馬の実家と、新潟の義母にそれぞれカーネーションを送ることにしました。カーネーションはオンラインショップで購入しましたが、そこであなたは不思議な注意書きを目にします。「ふたつ目に注文したカーネーションのリボンはひとつ目のものと反対の色になります」カーネーションが届けばいいやと、あなたは特に気にせず決済を済ませました。

贈り物が届くと真っ先に群馬に住む母から電話が来ました。その会話の中から赤色のリボンが届いたことがわかります。そうなるともう一方の新潟には赤の反対色である緑色のリボンが届いたことが自動的に確定します。ここまでは何ら不思議ではありません。

ここで発送前の倉庫で起きている不可解な現象をのぞいてみましょう。倉庫の中で箱詰めされたカーネーションには赤でも緑でもない透明のリボンが結ばれています。ひと足先に届いた群馬の実家で母親が梱包を開けると鮮やかな赤いリボンが目に飛び込んできました。遅れて新潟に到着したカーネーションを妻の母が開けると、そこには明るい緑のリボンが慎ましく結ばれています。

この時リボンは群馬で観測された瞬間に新潟の色が確定するという現象が起こります。2つのカーネーションに結ばれたリボンがまるで何かの糸で結びついているかのような相互作用が起きる、これが量子もつれの不可解な現象なのです。

かのアインシュタインもありえねえだろといって様々な反論をしたといわれていますが、書いている私も頭が混乱してきます。しかし、こうした現象がミクロの世界では起きているそうです。

まとめると、量子は事象が重なったまま確定せず、様々な場所に存在する可能性があり、繋がって作用し合う特性があり、観測という原子の干渉により私たちのマクロ世界の物理ルールが適応されるようになります。

以上が量子世界の不可思議なルールを私たちの世界に当てはめてみた結果です。このルールを用いた量子論は今や半導体やMRIなど様々なテクノロジーに使われ、私たちの生活を豊かにしてくれています。しかしなぜこんな現象が起きるのか、あまりにも小さなスケールのため誰も観ることが出来ず、ただただ結果を受け入れているに過ぎないというのが現状のようです。

全てが解き明かされた時、世界はどのような姿を現してくれるのでしょうか?

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