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海パンヒーローと愉快なピーヤたち


いま、私の中で最もアツい人。
それはお笑い芸人の小島よしおさん。

先日1月21日に放送された『情熱大陸』を観て、小島よしおさんについて書かずにいられない…… と、そんな居ても立ってもいられない気持ちでこのnoteを書き始めた。
まるで、好きなアーティストのライブを観てライブレポを書くときみたいな……
この胸にあふれる感動を伝えたくて残したくてウズウズとはやる気持ちに似ている。
そんな、私にとってのヒーローが、また1人増えた。


今年の1月2日
新年から震災や航空機事故といった出来事が立て続けに起こり、不安や自粛の空気が漂うSNSをただ見つめるしかできないでいたとき、突如タイムラインにあらわれた海パン姿のその人。


あっ、小島よしおさんだ。
と、なんとなく再生したこの動画に私は心をもってかれた。

イオンモールKYOTOでのイベント
「コール&レスポンス初め」と題されたその内容は、お馴染みの「そんなの関係ねぇ!」を筆頭にリズムにのって次々とギャグが繰り出されるものだった。
その一つひとつに、会場にいる子どもから大人まで大勢が全力で応えていく。そのとてつもないエネルギーに、元気な声と笑顔に圧倒された。

しかもこれは、昔の映像じゃない。昨日の今日、震災の翌日に行われたイベントの様子なわけで。
イベント自体はもともと予定されていたのだろうけれど、この状況下で予定通り行うべきか悩んだのでは…… というのは想像に難くない。
それでも、どんな状況下であっても「いつも通り」を貫き、待っている人たちのため、目の前にいる人たちのため、「自分ができること」を全うする姿はとてもカッコよくて胸を打たれた。全力で応えるオーディエンスも同じく。

日々被災地の情報などを追う合間に、動画を何度もくり返し観た。
1月頭のnote(日記)にも記したけれど、「そんなの関係ねぇ!」や「おっぱっぴー」といったギャグは私が高校生のころに流行っていた記憶がある(2007年の流行語大賞にもなった)
それらのギャグ+αが、今でもたくさんの子どもから大人までを熱狂させている様子は胸をアツくさせた。

↑1月3日 広島アルパークでのライブ
ものすごい人!元気のキャッチボール。

最初のレスポンスで、お客さんの元気の良さに驚くようなリアクションするの好き。その後も、いいぞ!ありがとう!などひとつひとつ丁寧に返して。
ライブの内容自体は毎回同じものらしいけど、1回1回、一人ひとりのお客さんとのコミュニケーションを大事にしているのが伝わってくる。


特別詳しいわけではない。でも、ときどき見聞きするエピソードがどれもいいお話だったから、なんとなく勝手に好印象を抱いている。……小島よしおさんは私にとってそんな存在だった。

次の日も、その次の日も別の会場でのライブイベントの映像が流れてきて、それを観るたび心にぱっと明かりが灯るようで。
なんとなくの「好き」が確信めいたものに変わっていくのを感じながら、気付けばご本人のX(Twitter)をフォローしていた。

そんな、自分にとって最もアツいタイミングで知らされたのが『情熱大陸』への出演だったので、これはもう観るしかない!と正座待機することに。
結果、ますます「好き」は信頼を増していった。


※以下、番組の内容に触れます。


今の小島よしおさんの活動のメインは、テレビではなくショッピングモールなどの子ども向けのイベント。年間150ほど行っているのだとか。
ステージは毎回同じメニューの30分。
実際にステージを観た人へのインタビューでは、小島よしおさんが大好きすぎて 本人に会えた感激のあまり泣いてしまった男の子がいたり。
年の瀬に身内を亡くしたと語るご婦人は、「よかった。久しぶりに笑えて。ありがとうございます。よかったですホンマに」と目を潤ませながら笑っていた。


「僕にできるのは“元気”を届けて元気になってもらうこと。イヤなことあったりとかそういう人に、ステージの時間だけでもそれを忘れて帰ってもらえたら」

情熱大陸より、小島よしおさんの言葉


この人はヒーローだ、と思った。
まるで、お腹を空かせている人のところへ飛んでいって自らの一部(あんぱん)を分けるアンパンマンみたい。
お腹はまた空くし悲しみだって根本は消えないけれど、あのとき一瞬でも救われたという事実はずっと残りつづけて、何度も胸をあたためてくれるのだと思う。

老若男女を惹きつけるヒーローの魅力。
ライブ映像をみれば言葉なんていらないくらいだったけれど、番組では本人のことばも交えてより説得力のあるものに。
小島よしおさんの信念、ゆえに愛される理由が詰まっていた。


たとえば、容姿いじりや否定は絶対にしない
それでいて、番組スタッフ?が小島さんとのやり取りの中で茶化すように笑った(そこ、笑うとこかな?という場面)ときには、「笑うのはおかしい」とハッキリ伝える一幕も。
(このシーンをカットすることだってできただろうに、放送した制作サイドもすごいなと思ったり。小島さんに諌められて、少なからず反省や思うところがあったからこそなのかな、と)

イベント会場で書くサインは、子どもでも読める字で一枚一枚丁寧に。
文字が読めない子どもにも伝わるようにとイラストを添える工夫まで。
また、(トレードマークの海パン一枚でステージに立つので)清潔感を意識して全身脱毛までしたというエピソードも。
今まであまり意識していなかったけれど、言われてみると確かに足などつるつるだ。
そういう、見えにくいところでの細やかな気配りや努力が好印象につながっているのだなぁと納得する。


イベントの他にも、YouTubeで自ら作詞した「野菜のうたシリーズ」を配信するなどの活動も。食育の観点から、子どもだけでなく保護者の支持も集めている。
また、書籍化(小島よしおのボクといっしょに考えよう)もされている子どもからのお悩み相談への回答は、クスッと笑えて心ほぐれつつもかなり具体的な解決案が提案されていて、大人でも参考にしたいことが多い。


回答の最後はいつも「……って、僕は思うんだけど、君はどう思うかな?」と締められている。
正解を押し付けず、本のタイトルにもあるように「いっしょに考えよう」という姿勢。
こんなふうに寄り添って、同じ目線で考えてくれる人がいたらうれしいよね。


小島よしおさんのギャグには、どれも前向きでポジティブな意味が込められている。たとえば、

【おっぱっぴー】
①「Osean Pacific Peace」の略(太平洋に平和を
②オール ピーポー ハッピー(みんな幸せになろう

【ピーヤ】
漢字で書くと「比止」で、「比べるのを止めよう

ピーヤは比止の他にpeer(仲間)という意味も含まれているらしい。
だからいつも「ピーヤたち〜」って呼びかけていたんだ!と納得。


これは私の勝手な想像だけれど、イベントでのコール&レスポンスをひもといてみると

「ウェ〜〜イ」は「上へ(気分あげてこ!)」
「ナイス、ナイス、ナイスタカラッタ ナイス」は「NICE(いいね!すばらしい)」というふうにも聞こえてくる。
「前へ 前へ 前へ」は、平泳ぎのような動きも相まって前向きに進んでいくような印象も受ける。
諸刃の剣的なところがある「大丈夫」という言葉も、少なくともこのライブにおける「ダイジョブダイジョブ〜」は、ホッと肩の力が抜けるふしぎな合言葉みたい。

イヤなことがあってもやもやしたり、「ヘタこいた〜!」とヘコむことがあったとしても、
「でもそんなの関係ねぇ!」「ダイジョブダイジョブ〜」
と、イマジナリーよしお(勝手に命名)が勇気づけてくれる。
心の中で、もしくは実際に大きな声を出して、なんなら身体も動かして唱えれば、強張った心身もすこしほぐれる…… 気がする。

一見意味のないように思える言葉でも、ポジティブな意味が込められているって大切なことだと思う。
ライブに参加した子どもたちが大人になっていく中で、いつか「あの日全力で叫んだ言葉」の意味を知るときがくるかもしれない。
そのとき、自分が意味も知らずに叫んでいた言葉に「こんな素敵な意味がこめられていたんだ」って分かったら、きっと温かい気持ちになる。
小島よしおさんの活動はまるで、未来へ向けて根を張るための「種まき」のようだと思う。


「お笑いの才能は本当にない」
と言い切る小島よしおさん。
才能の咲かせ方に迷い、身の振り方に悩んだ時期…… つよく惹かれたのが「雑草」の生き方だったという。
道端で、ときに踏まれて、ときにコンクリートを突き破ってたくましく生えているあの雑草たち。
でも、実は意外と競争心が弱くて。弱いけど、ライバルがいないところに行って生きている……。
そんな雑草の生き方に、自分の芸能生活を重ねたり。

その際に影響を受けたのが、植物学者・稲垣栄洋(いながき ひでひろ)先生の著書の数々(番組では、名前は出ていなかったけれど)
今では「僕の雑草の師匠」と呼び、共著も出版するほどに。


稲垣先生の本、実は私も好きで。
私が持っているのは下の写真の2冊だけだけれど(うち一冊は植物ではなく動物がメイン)
本当におもしろくて、知らなかった世界を知れるし、世界の見え方が楽しくなる。
植物の話なんだけれど、自分の生き方のヒントにもなるようで。
「なるほど〜」と思いながら付箋いっぱい貼っちゃう。

そんな好き×好きの共著なんて読まない理由はないので、そのうち手に入れたいな。

一時期、子どもたちが寝る前の読みきかせ本にしてた。またしようかな?


 強いというイメージのある雑草だが、植物学的には雑草は「弱い植物」である。弱いという意味は、他の植物との競争に弱いのである。そのため、雑草は強い植物が力を発揮できないような場所に生えている。それが、よく草取りをされる畑であったり、よく踏まれる道端だったりするのである。雑草は、弱い植物であるが、そんな困難な環境に生える強さを持っているのである。
 弱い植物である雑草は、他の植物との競争を避けている。しかし、けっして逃げているわけではない。雑草は、より厳しい環境に挑み続けているのである。要は、どこで勝負するかということなのだ。

たたかう植物 ──仁義なき生存戦略 / 稲垣栄洋


日の目を見ず、もがきつづける日々。
お笑い界において、当時はめずらしかった子ども向けイベントへの出演に踏み切った。
ライブに来ていた子どもが楽しそうにマネをしてくれたのが転機となって、今は子どもたちの笑顔がモチベーションになっていると語る小島よしおさん。

「人を幸せにするのは才能…… だけじゃない」
伸び悩んでいたあの頃の自分に伝えたい、と語る今の小島よしおさんは、自分のたたかう場所・咲く場所をついに見つけた(掴みとった)のだなぁと思う。


きょう僕を見る人が 最初で最後かもしれない
最初で最後の“おっぱっぴー”かもしれないから
全力で面白いものと思ってやる

情熱大陸より、小島よしおさんの言葉


そう語る小島よしおさんが私の中で、大好きな音楽アーティストたちの姿(ライブでのMC)と重なった。
私は音楽が好きで、普段はよく好きな音楽の話をしたり書いたりしているのだけれど、そのときみたいな熱量で彼について書く日がくるとは思っていなかった。

情熱大陸の予告動画で「スーパーヒーローでいようと思う」と語っていた小島よしおさん。
小島よしおさんはもうすっかり私の中で「スーパーヒーロー」になっている。
私だけじゃない、たくさんのピーヤ(仲間)たちのスーパーヒーローだ。

いつか、私が住む街にも訪れたら
そのときは全力で、楽しみに行こうと思う。
そのときの自分がどんな状況かは分からないけれど、どんなでも。
海パン姿のスーパーヒーローや愉快なピーヤたちと一緒に声を出せば、きっと元気になれる気がするから。



【おまけ】

ご本人のX(Twitter)でほぼ毎朝投稿される珈琲&おやつの内容も秘かな楽しみです。


おいしそ。マネしたくなる。器も素敵。


※小島よしおさん出演の『情熱大陸』は、1月28日(日)の22:59までTVerで見逃し配信中です。
私がnote書くの遅くてギリギリになっちゃったけど、間に合えばぜひ。

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