Solankeの後釜を考えよう

唯才是挙 

こんにちは。七シノです。
Solankeのお別れ記事を出した数時間後、スパーズから正式発表が出ました。これ以上彼のことを考えると脳細胞が破壊されていくのでもう切り替えて後釜について考えましょう。来るもの拒まず去るもの追わず。これからやってくる選手を楽しみにできる方がよっぽど楽なんですから。

さてさてフォワードの補強についての噂はSolankeの退団が現実味を帯びる前からちらほら見かけていました。今回はこれまでに噂の上がっている選手をピックアップして話していこうと思います。`

その前に…

本編に移る前に、ボーンマスのストライカー事情について軽くおさらいあいましょう。Solankeが抜けた前線は一体誰が残っているのか?どのくらいの補強が必要なのか?

Solankeが去った今、ボーンマスに在籍するストライカーは二人。一人はEnes Ünal。ラ・リーガで2年連続二桁得点の経験があり、トルコ代表でも33試合に出場している実績あるストライカーですが、一昨季に靭帯断裂の大怪我を負い、昨季はリハビリに前半戦の大半を費やし、冬の移籍市場でヘタフェからボーンマスに加入しました。ボーンマスでは主にスーパーサブとして起用され、短い出場時間で十分なインパクトを見せることに成功し、今季はスタメンの座を狙う一年という立ち位置でしたが、EURO直前に足のつま先を骨折し、現在も回復半ばという段階で八月中の復帰は難しい模様です。

もう一人はDaniel Jebbison。現在21歳のストライカーは、各世代別イングランド代表に選ばれ、2022年のU-19W杯で優勝したメンバーの一人でもある期待の若手で、今夏シェフィールドユナイテッドから加入しました。まだトップチームでの実績はありませんが、パワーとスピードを兼ね備えるスケールの大きな選手で、PSMでアピールできた選手の一人ですが、今季はローンでの武者修行が既定路線のはず……です。

さてこの二人がいればストライカー事情は大丈夫か?単刀直入にいえばノーです。間違いなく補強は必要です。前述のようにÜnalは大怪我経験者な上に現在も負傷中、Jebbisonは経験不足と一抹どころではない不安があります。PSMでは本職の二人の他に本来は二列目の選手であるPhilipやSemenyo、Dangoが一時前線で起用されましたが、皆本来のポジションの方が輝けるはず。Solanke資金を得た今彼に勝らずとも劣らない、頼れるエースは必要不可欠。しかもSolankeはゴールだけでなく献身的な守備やポストプレーでも存在感抜群でしたから、ただのボックスストライカーなどでは分不相応なわけです。

今言ったことを踏まえた上で、現在出てきている候補者について考えていきましょう。








Edward("Eddie") Nketiah

  • 誕生日:1999年5月30日(25歳)

  • 身長:175cm

  • 所属チーム:アーセナル

  • 国籍:イングランド

  • 昨季リーグ戦成績:27試合(1073分)5ゴール2アシスト

https://fbref.com/en/players/a53649b7/Eddie-Nketiah

一人目は同リーグの優勝候補アーセナルのストライカー。21−22シーズンの後半戦に頭角を表し、レジェンドHenryなども背負った背番号14を継承。そのままこの2シーズン一気に復権を果たした強豪でそれなりの出場機会を得ています。昨年にはイングランド代表にも選出されました。

このような実績の一方で、実際の得点数は芳しくありません。過去3シーズンでのリーグ通算ゴールは14と苦しく、昨季は開幕10試合で5ゴールを上げながら28戦ゴール無しとまさしく竜頭蛇尾といったシーズンを過ごしました。またx Gやx GOTを見ても優れた数値ではありません。

一方、これは正直意外なのでしたがデュエル勝利数や勝率に関してはなかなか優秀で、ロングボールの的として機能できる余地があり、Artetaと同じくハイプレスを志向するIraolaの戦術へも適応できるでしょう。ただ結局他の人の話だとフィニッシュ専門職寄りということなので、先ほど言った得点力に欠けるというところは大きな懸念点。果たしてSolankeの穴を埋めるに足る人材なのかは確信がありません。

またすでにNketiahはマルセイユが関心を示しており、交渉もかなり進んでいるみたいなので、ボーンマスに加入する可能性は低いでしょう。個人的にも彼の獲得には懐疑的です。£40mだかそれくらいの要求額もネックですしね。

Cameron Archer

  • 誕生日:2001年12月9日(22歳)

  • 身長:181cm

  • 所属チーム:アストン・ヴィラ

  • 国籍:イングランド

  • 昨季リーグ戦成績:30試合(1839分)4ゴール1アシスト

https://fbref.com/en/players/05e8ca6d/Cameron-Archer

二人目はArcher。昨季はシェフィールドユナイテッドでプレーしましたがチームは降格、今季は降格時の買い戻し条項が発動し元所属のヴィラへと帰還しています。「Archer」という名前らしく、得点時に見せる弓矢パフォがSolankeと同じで好きです。

まだ22歳と若くポテンシャルがあり、また移籍金も£15m程度と他の候補者と比べると安価な点が魅力。ピッチ内では推進力と技術を兼ね備えたドリブルと、それを活かしたチャンスメークがグッドポイント。昨季のシュート創出数はHamer、Mcateeに次ぐチーム3位でした。

欠点としては決定力。パンチ力のあるミドルも見せるのですが、降格組のブレーズとはいえ4ゴールは少し寂しい。実際のゴール数がx Gよりも下なこと、x GOTとx Gの差がそれなりにあることもまた彼の獲得を躊躇わせる要因の一つ。デュエル面の数値もかなり悪いです。

決定力不足な点はNketiahに似ているのですが、Archerには加えて実績も不足。プレミアでのプレーは昨季の一年しかなく、二桁得点を挙げたシーズンは22ー23シーズンのチャンピオンシップでのみと、即戦力としての活躍を見込むのは少々厳しいものがあります。

今日未明に出た報道では、ボーンマスは現在Archer獲得を計画していないとのこと。この二ヶ月関心の報道があったのですが、ここも獲得の線は薄くなっています。

Tammy Abraham

  • 誕生日:1997年10月2日(26歳)

  • 身長:190cm

  • 所属チーム:ローマ

  • 国籍:イングランド

  • 昨季リーグ戦成績:8試合(240分)1ゴール

10代の頃から将来を嘱望されていた大器。残念ながら未完気味ですが。18−19シーズンにローン先の当時はチャンピオンシップにたヴィラで25ゴールを奪い昇格に貢献すると、翌シーズンは保有元のチェルシーで15ゴールを記録。しかしその活躍は続かず、21−22シーズンにローマへ移籍。すると17ゴールを奪い復活を予感させましたが、翌シーズントーンダウン。そして昨季はほとんどを怪我で棒に振りました。

Abrahamの魅力はそのスケールの大きさ。長身を生かしたポストプレーに加えスプリント能力も水準以上で裏を取ることもできるほか、足元の技術も高い万能型です。またすでに紹介した二人よりも実績が十分にあり、能力も一回り高いと思います。Solankeと同世代かつコブハム出身ということでボーンマスファンの中でも彼を推す声は少なくありません。

https://www.transfermarkt.jp/tammy-abraham/verletzungen/spieler/331726

一方で懸念点としては継続性。確かに爆発したシーズンはありますがなかなかその状態を続けることができません。またその一因には負傷癖もあり、毎シーズン細かな怪我を繰り返してたり、復帰に数ヶ月を要する大怪我も経験しています。この怪我耐性の低さは彼の理想的なキャリアの進歩を妨げる大きな原因でしょう。

ボーンマスが彼に興味を持っていると報道が出たのは5月下旬から6月上旬にかけてとかなり早かったので、補強のリストの中でも上の方にいるのではないかと思っています。スペックやポテンシャルを考えれば悪くない選択肢だとは思いますが、やはりスペ体質は少し不安。Ünalとの靭帯コンビでどっちも再負傷とかになったら笑えません。

El Bilal Toure

  • 誕生日:2001年10月3日(22歳)

  • 身長:185cm

  • 所属チーム:アタランタ

  • 国籍:マリ

  • 昨季リーグ戦成績:11試合(386分)2ゴール

昨季のEL王者アタランタに所属するストライカー。一昨季ラ・リーガのアルメニアで7ゴール、90分換算だと2試合に1ゴールを決めるペースを記録しイタリアへと渡りましたが、昨季リーグ戦は400分に満たぬ出場に留まりました。

いや〜候補者の中では正直一番ないかなと思います。キャリアの中で二桁ゴールの経験はなく、30試合以上に出場したシーズンはランスでの20−21シーズンのみと、とにかく実績と経験に欠ける。両利きで空中戦にも強く、ハマればとても面白そうなロマンある選手ですが、そもそもハマるのかが疑問。

実は昨季にも噂が出ており、ボーンマスは一年たっても彼をマークしていたみたいですね。お値段もリーズナブルだと思います。ただアタランタが彼に10番を与えていることから彼への期待が伺えますし、昨年活躍したScamaccaの長期離脱がどう影響するのか。保険のため残しておくと判断してもおかしくないんじゃないでしょうか。

Santiago Gimenez

  • 誕生日:2001年4月18日(23歳)

  • 身長:182cm

  • 所属チーム:フェイエノールト

  • 国籍:メキシコ

  • 昨季リーグ戦成績:30試合(2384分)23ゴール6アシスト

https://fbref.com/en/players/37337aea/Santiago-Gimenez

オランダの名門フェイエノールトのエース。上田綺世のライバルです。欧州に上陸したのは2年前ですが、2シーズンで公式戦49ゴールと大爆発。ELやCLといった欧州カップの大舞台でもしっかりと結果を残しています。

欠点の少ない万能型で、スピードや両足での精度の高いシュートを活かした多彩な得点パターンを持つだけでなくロングボールの的として立ち回れたり、守備でも今季からリヴァプールの指揮を執るSlotのチームにいただけあってプレスをかけられる選手。それだけでなく上記のデータからわかるように自らボールを運んでチャンスメークもこなせる。

これだけ聞くと完璧やん!と思われるが、評価が高い分値段も高い。Transfermarkt算出の市場価格は€40m。実際の移籍金はもっとかかるでしょう。それにオランダリーグでの実績がないのも気になります。近年のプレミアリーグにやってくる「エールディヴィジの点取り屋」って個人的によくないイメージ。ユナイテッドのMenphisとか、スパーズのJanssenとか、ブライトンのJahanbakhshとかみんなリーグ得点王とかだったはずですが失敗と言わざるを得ない結果。Bergkamp、Van Nistelrooy、Kuyt、Suarezなどエールディヴィジ出身のレジェンドもいますが、近年に限れば地雷が続いています。万能型のGimenezですがより高いレベルだとむしろ勝負できる強みがなくなって器用貧乏となってしまうのかもしれません。

ボーンマスとの明確なリンクはありませんが、有力記者がGimenezを狙って2つのプレミアリーグのクラブが動いているとの報道がありました。おそらく片方がボーンマスなのではと思っています。ちなみにもう片方はフォレストらしいです。フォレストに獲得競争負けるわけないな!?

Jonathan David

  • 誕生日:2000年1月14日(24歳)

  • 身長:175cm

  • 所属チーム:リール

  • 国籍:カナダ

  • 昨季リーグ戦成績:34試合(2637分)19ゴール4アシスト

https://fbref.com/en/players/ce50fd99/Jonathan-David

リーグ1で活躍を続けるカナダのエース。2年くらい前にはアーセナルの噂も出ていました。継続的な活躍という面ではこの中では一番。18歳のヘント時代からずっと二桁得点を続け、5大リーグの一つであるリーグ1では4シーズンで71ゴールを挙げており、24歳ながらキャリア通算ではすでに100ゴールを超しています。

彼の長所はやはり得点力。両利きで、味方と連携できて、スピード活かして裏にも抜けられて、ゴール前で冷静さを保てて、ゴールパターンが多彩という頼れる点取り屋。フランスのレジェンドHenryも太鼓判を押すワールドクラスの素質を持つストライカーです。小柄ゆえ空中戦は得意ではないですが、その短所を補ってあまりうる長所を持っています。

実績、能力共に申し分のない選手なので、実際の噂はありませんがボーンマスサポの中ではSolankeの後釜として推す声多数。しかし彼は人気銘柄。市場価格は£50mで移籍金は非常に高額になるでしょう。またチェルシーのようなクラブ規模や資金力でボーンマスを遥かに凌駕するビッグクラブからの視線もあるので、獲得は正直に言ってしまえば夢レベルでしょう。でもアプローチくらいはご自由に。

ここまで候補者を挙げてきたわけですが、実際ボーンマスはどんな行動を獲るのかはまだ不明瞭と言ったところ。流石に補強しないことはないでしょうが、もしかしたらこの記事にいない選手に目をつけているかもしれません。ちなみに私はKaneが欲しいです。

最後に

後漢時代の英傑曹操は自身の詩「短歌行」でこんなことを言っています。

 月明星稀 烏鵲南飛

 繞樹三匝 何枝可依

 山不厭高 海不厭深

 周公吐哺 天下歸心

 月、明あきらかに星、稀まれに、烏鵲南に飛ぶ。

 樹を繞ぐること三匝さ、何の枝にか依るべき。

 山は高きを厭はず。海は深きを厭はず。

 周公は哺を吐きて、天下心を帰せり。

「古代の偉人周公旦は優れた人材に会うため食べていたものを吐き出してさえすぐ人に会ったそうだ。まだ主を求めている有能な人間を見つけたならば努めて私のものにしたい。」(ガバガバ要約)

曹操は三国志を聞いたことあるならば彼の名も聞いたことがあるのでは無いでしょうか。「超世の傑」とも評された怪物ですが、彼の下には数多くの名将、猛者、賢者、名士が揃っていました。そんな人材マニアな曹操がこんなこと言うんですから説得力が違います。ちなみにこの詩の最初の部分は人生いろいろ辛いことあるけど酒飲んで忘れろって言ってます。今のボーンマスサポにピッタリな詩だね!

何が言いたいかというと単純にSolankeは攻撃の大黒柱だったんだから、後釜はしっかりお金かけて獲るんじゃぞってことです。中途半端な補強は許しません。誠心誠意交渉しなさい。曹操の宿敵劉備だって自身に足りぬ存在だった軍師を得るため孔明に三顧の礼をしたんですよ。

誠意は言葉ではなく金額

これで以上です。最後までご覧いただき、ありがとうございました。


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