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意識研究会 第一回開催報告

ちょうど1ヶ月前のことになるが,以前お知らせしていた「意識研究会」の初回の研究会が行われた.これから毎月一回のペースで行われていく.

この研究会は,ある支援者と信原幸弘の出会いによって実現したもので,お二人の,アメリカの「Closer to Truth」のような究極問題を問う文化を日本に根付かせるべきだ!という熱いおもいから生まれたもの.まずは,信原幸弘の専門である「意識の哲学」を基礎に,「意識とは何か?」を問おうということになり,昨年まで七沢と共に議論を重ねていたお三方をお呼びし,活発な議論を行なった上で,書籍の形でまとめる方針となった.

以下の計画になっている.

意識研 令和五年度 計画

意識研の詳細はこちらのサイトにまとめている.

初回の意識研は,信原幸弘と渡辺正峰のお二人の立場の違う意見がぶつかることで,発展的な議論を行うことができた.マインドアップローディングは原理的に可能だという共通の立場はとりつつも,そこに至る考え方の違いから意見が対立し,その違いを明らかにしようとする中で,発展的に意識の本質に迫ることができた.

詳細は追って報告するとして,以下に代表の信原幸弘の所感を掲載しておく.

意識研究会第1回(230411) 代表信原幸弘 所感

 意識について究極の問題を問う「意識研究会」がスタートした。初回は、意識を脳からコンピュータに移す「マインドアップローディング」について、その可能性を問うた。意識は生物的な素材からなるアナログ的な脳に宿っているが、それをシリコンからなるデジタル的な機械に移すことは可能だろうか。そもそもデジタル機械に意識が宿るのだろうか。

 この疑問を多少なりとも鎮めてくれるのがチャーマーズの「フェーディングクオリアの思考実験」だ。生体脳の神経細胞を1つずつそれと同じ機能をもつシリコンチップに置き換えていけば、意識は次第に消え去るのではなく、もとのまま維持されるであろう。つまり「哲学的ゾンビ」にはならないだろう。そうだとすれば、意識を生体脳から機械に移すことは原理的には可能だ。

 しかし、脳の神経細胞は膨大な数にのぼるから、それを1つずつシリコンチップに置き換えるのは実際上不可能だろう。そこで、渡辺正峰氏は生体脳半球を機械脳半球に接続して、生体脳半球の意識内容を機械脳半球に移すというもっと現実的な方法を考案した。

 この機械脳半球の方法で、意識ははたして機械に移るであろうか。この点をめぐって活発な議論がなされた。生体脳半球から機械脳半球に意識の内容が移るのではなく、逆に機械脳半球から生体脳半球に移ることはないのか。このような疑問が出たが、何らかの対処法がありそうだということで落着した。

 マインドアップローディングはけっして不可能ではなさそうだ。しかし、アップロードした私は本当にもとの私と同じなのだろうか。別の私になってしまう恐れはないのか。このような疑念が当然起こってくるが、これは次回探究する。


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