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『ぞうのマメパオ』刊行記念対談 藤岡拓太郎×村井光男 <前編>そこにいるだけのかわいらしさ

ギャグ漫画家の藤岡拓太郎と、編集者の村井光男。『夏がとまらない』『たぷの里』『大丈夫マン』を共に作ってきた二人による新しい絵本『ぞうのマメパオ』が完成しました。

「マメパオのかわいらしさについて」「本づくりで一番楽しいこと」「ストーリーについて」「藤岡拓太郎ってどんな人?」「最近はまっていること」・・・・・・LINE上で行われた約4時間のトークを、あえて誤字脱字もそのままに、対談時の句読点の有無も含めて、ほぼノーカット・ノー編集でお届けします。まずは前編からお楽しみください。

* * *

藤岡拓太郎(ふじおか・たくたろう)
1989年大阪生まれ。ギャグ漫画家。

村井光男(むらい・みつお)
1976年東京生まれ。編集者、ナナロク社代表。

* * *

<前編>そこにいるだけのかわいらしさ

2022年3月28日(月)午後1時すぎ

藤岡は大阪市内の自宅にて
村井は東京・旗の台のナナロク社にて


藤岡  村井さん、そろそろいかがでしょうか


村井  はい!あと
村井  1分、おまちを、、


藤岡  はい!


村井  (汗の絵文字)
村井  お待たせいたしました
村井  失礼いたしました、どうぞよろしくお願いいたします。
村井  電話が来てしまってすみません、、


藤岡  お願いします!


村井  はい!
村井  LINE対談の進め方ですが、ここで自由にお話をして、あとで、それっぽくつなげていくということでいいでしょうか。


藤岡  もうほぼ編集せずにというのを前提に、喋っていければなと!


村井  うわー


藤岡  わかりにくいとこだけ補足するような感じで


村井  はい!


藤岡  語尾の「、、」みたいなのもそのまま。


村井  おおお、、了解です
村井  まずは、


藤岡   「、、」って僕まだ人生で使ったことないです。なんか恥ずかしくて
藤岡  使いたい気持ちはあります


村井  初「、、」を!


藤岡  今日どこかで使います


村井  地味ですが、革新的なお初ですね。
村井  では、いきましょう。


藤岡  はい!


村井  藤岡さん、『ぞうのマメパオ』の刊行、おめでとうございます。


藤岡  ありがとうございます。
藤岡  お互いにおめでとうございます


村井  お互いにありがとうございます。刊行記念LINE対談ということで、今日は、いろいろと本について、お話をしていこうと思います。


藤岡  はい!


村井  Twitterで急遽ですが、読者の方からもご質問をいただきました。


藤岡  皆さんありがとうございます


村井  先ずは、今回の本について藤岡さんに率直にお聞きしますね。


藤岡  はい


村井  『ぞうのマメパオ』って、いったいどんな本なんでしょう?


藤岡  めっちゃシンプルな絵本だと思います


村井  196ページあるんですよね。


藤岡  絵本としては長すぎですよね


村井  描きはじめる前の藤岡さんに、最終的に196ページになるよって言ったら、驚いたかな。


藤岡  と思います。最初50ページぐらいの予定でしたもんね


村井  そうそう。途中で、これはおさまらないですね、80ページにはなりますね、でも大丈夫です!描いてください!とか言っていたのが、懐かしいです。
村井  メインの登場人物は、ふたりですね。


藤岡  4歳ぐらいの女の子ジュンちゃんと、マメパオ。


村井  一応ききますが、マメパオって?


藤岡  人間の1歳児ぐらいの大きさの子象です


村井  かわいい


藤岡  名前思いついた時、マメパオで検索しましたが無かったのでほっとしました


村井  お豆のぞう(パオ)ですね


藤岡  「豆象の冒険」というのはディズニーにありました。一応みました


村井  えええ!知らなかった。
村井  一応みてどうでした?


藤岡  いや、特に・・・


村井  特に。


藤岡  ディズニーの象といえばダンボがすごすぎて。


村井  ダンボ、藤岡さんから勧められてはじめてちゃんと観ました。


藤岡  ダンボ、かわいすぎるし映画の完成度もものすごいですよね


村井  ディズニーのファンタジアのような、音楽とアニメの実験的なシーンもあって驚きました。


村井  マメパオの愛らしい姿のイメージって、ダンボが源流ですか?


藤岡  いや、ダンボじゃないかも・・・ダンボよりもうちょっと幼い感じですもんね、マメパオ。


村井  たしかに。 マメパオ、愛らしさのかたまりです。


藤岡  マメパオは、そのへんにいる普通の人間の2歳ぐらいの子供、のイメージが一番近いかもしれないです。ビジュアルを象にしただけで。


村井  あー、うん、わかります。なんというか、ただそこにいるだけのかわいらしさがあります。


藤岡  そうそう、そこにいるだけの。


村井  絵本の中でも、マメパオがただ立っているだけの場面があるんですが、それがもうかわいいんですよね。絵がかわいいということ以上に、なんかそこにいる感じの体温もあって。

村井  そしてよく動く!勝手に走る!
村井  さっきまでただ立っていたのに!


藤岡  ただの子供ですね


村井  対して、ジュンちゃんはどんなこですかね


藤岡  年下の子の世話を焼けるようになったぐらいの子ですよね
藤岡  マメパオに出会って、面倒みることがうれしそう


村井  そうそう!
村井  小さいこがさらに小さいこの面倒をみているときの、急に大人になったようなふるまい


藤岡  うんうん


村井  ジュンちゃんはおつかいの途中でマメパオに会いますよね


藤岡  たまごを買いにたまご屋に行く途中に。


村井  たまご屋さん、絵本のなかでみなさんにも出会ってほしいです。


藤岡  皆さんからの質問、いきます?


村井  いきましょう!


藤岡  交互に質問選びましょう!
藤岡  僕からで。


村井  はい!


藤岡  ニックネーム「はもろん」さんからです。
「マメパオ作ってる時に1番楽しかったことはなんですか?」


村井  これは、藤岡さんいかがでしょう?


藤岡  これは村井さんも、本づくりの中でいちばん楽しい瞬間を、あとで教えてください


村井  はい!


藤岡  漫画描いてる時もそうですけど、ラフの時には思いついてなかったものが生まれた時がやっぱり楽しいです
藤岡  マメパオでいうと、


村井  うんうん


藤岡  ジュンちゃんがカニの動きをするところとか。


村井  カニだよ、のところですね。わたしも好きです。
村井  本づくりも結構おなじですね。


藤岡  あとはシンプルにマメパオの造形が出来た時。はやく皆に見てほしかったです
藤岡  お、同じですか


村井  もやもやとしたイメージが具体的に形をみせたとき、本づくりだと、装丁が決まったり、造本が決定したりするときに、ああ、この本はこんな姿だったんだと思います。それまで試行錯誤だったのが、カチッと生まれた!ってなる時があって、その瞬間ですね。


藤岡  タイトルの置き方ひとつで全然変わったりしますもんね


村井  ほんとうに。


藤岡  たぷの里のときも、僕は最初もっと大きい絵本をイメージしてたんですが、スタンダードブックストア心斎橋(※現在は天王寺に移転)で村井さんと打ち合わせした時に、「この本は、もっと小さいほうが合うと思います」と村井さんに言われて。


村井  うんうん

『たぷの里』(ナナロク社)


村井  たぷの里のサイズって、実は、とても贅沢で、あれは、A5サイズぐらいと思っている人も多いのですが、実際は、B5サイズの本の変形なんです。A5サイズの本より、ひとまわり大きいサイズで、実際は、同じ製作費で、大きくすることもできるんです。B5サイズぎりぎりまで。


藤岡  ほおー


村井  あのベストの大きさを形にしていて、あの本だけの大きさをもった絵本なんですよね。
村井  本の大きさって、面白いですね。


藤岡  いやー、たぷの里のサイズはベストだと思います。といいながら、ビッグサイズ版も計画してるんですよね


村井  そうそう。ビッグサイズは、ただただ大きいので、また違った味わいに。


藤岡  主に保育施設などでの読み聞かせ用に。家にも欲しいですけどね


村井  ちなみに『ぞうのマメパオ』はA5サイズ正寸です。14.8×21㎝。


藤岡  A5サイズが分からない人のために、同じ大きさのものって何かありますかね


村井  なんだろう。
村井  絶妙にないですね。


藤岡  弁当箱
藤岡  人によるか


村井  よりますね。


藤岡  村井さん毎日昼はお弁当ですか?


村井  お菓子とか、外食とか、不摂生きわまりないです
村井  今日は、ヤマザキビスケットたべてました。
村井  藤岡さんは?


藤岡  ビスケット・・・
藤岡  僕はいつも何かしらつくってます。今日の昼は、ツナマヨごはんと目玉焼きとキュウリとトマトのサラダでした


村井  おいしそう!
村井  もたれなそう!
村井  午後も快適にはたらけますね。


藤岡  もちろんです
藤岡  今ナナロク社ですか?


村井  ですです。


藤岡  社員のみなさんこの画面みてるんですか


村井  いまは私だけが見ています。声かけたら、見れる範囲にはおります。


藤岡  ゴックリ


村井  ふふふ


藤岡  では次の質問にいきましょうか


村井  はい。


藤岡  村井さん選んでください!


村井  それでは、
村井  ペンネーム ボタン さん
「拓太郎さんへ質問です。思い出せる最も古い記憶は何ですか?」


藤岡  これは村井さんも、またのちほど。


村井  承知


藤岡  僕は3歳ぐらいの時に、母親と公園で遊んでいて、転んで、草留め?のなんかギャリギャリしたやつでアゴを切って血が出たことですね


村井  いてー


藤岡  何針か塗ったのかな? 今も跡残ってるんで、今度見せます


村井  実は、ぼくも小さいころ、あごをケガして、縫っているんです!5才ごろかな。今度、見てください


藤岡  ええ!
藤岡  知らないことがまだまだありますね


村井  思わぬ共通点が。
村井  では、私の記憶を。


藤岡  はい


村井  たぶん、2才ぐらいだと思うんですが、家の玄関先で、母親に抱っこされていたら、手をすべらせて落ちた記憶があります。


藤岡  うわー


村井  でも、なんの証拠もなくて、もしかしたらはじめての夢の記憶かも。でも一応、これがいちばん古い記憶で個人認定しています。


藤岡  こういうのって、のちに親から聞いた話が自分の記憶として残ってたりもしますよね


村井  子どものときは、記憶捏造しほうだいです。良い記憶を捏造したいものです。


藤岡  そうしましょう


村井  では、続いてのご質問を!


藤岡  はい、選びます
藤岡  PN地方のパンフ さんからです。
「藤岡さん、村井さんこんにちは。
質問なんですが、「まめぱお」の名前には意味があるのですか?絵本を読めばわかりますか?
あと、藤岡さんは、ストーリーはどんな風に考えて作っているのですか?
よろしければ、どちらか教えてください。質問の仕方が下手なので伝わってなかったらすいません。」

藤岡  まず「地方のパンフ」が気になる


村井  地方のパンフ、いいですね


藤岡  旅行のパンフってことですかね


村井  ああ、そういうことか
村井  マメパオの名前は、先ほどの理由以外にありますか?
村井  お豆の象


藤岡  いや、あとはもう語感のみです


村井  語感いいですよね。ずっと昔から、知っている気持ちになります。
村井  いい捏造


藤岡  捏造だ
藤岡  そもそもなんで豆?って思ってる人もいるかも? 豆皿とか豆本とかの豆ですね。小さいという。
藤岡  豆本って作ったことないんですか?


村井  豆本は、
村井  ありますね。


藤岡  おお
藤岡  どういう本ですか


村井  ポストカード集で、1枚1枚、とっていくと、最後に豆本が残るという、、、
村井  いや、説明が下手ですみません。


藤岡  全然わからなかった


村井  はい。
村井  贈ります。


藤岡  ありがとうございます


村井  藤岡さんと豆本つくりたいですね


藤岡  豆本っていう文化って、昔はよくあったんですか?


村井  昔からありました


藤岡  流行ってた時期があった?


村井  雑誌の付録とかでもあったかな
村井  古本でも、相当昔の豆本があるので、おそらく、印刷や製本技術が発達していく過程で、こんなこともできるよと造られたのかもですね。


藤岡  ふむふむ


村井  質問なんでしたっけ?
村井  これだ、「あと、藤岡さんは、ストーリーはどんな風に考えて作っているのですか?」
村井  どうでしょうか?わたしも知りたいです。


藤岡  まずストーリーっていうものに興味がないというか・・・
藤岡  マメパオの場合は、


村井  うんうん


藤岡  作る前ぐらいにたまたまバスター・キートンの自伝を読み返していたら、キートンが自分の映画について「頭と終わりだけしっかり決めておく。そうすればあとはどうにでもなる」って言ってたんですね。マメパオもそうしました


村井  実力派の漫才師みたいです。
村井  中川家。


藤岡  中は描きながら考えていきました
藤岡  中川家。
藤岡  アドリブで進めていく感じ。


村井  たまご屋さんも、途中から?


藤岡  たまご屋さんだけは、書く前から思いついていたと思います。どこかで登場させたいなと。


村井  あの世界に住んではいたのですね。


藤岡  いました


村井  この物語がつづけば、もっと住人をみれそうです


藤岡  村井さん、ストーリーって興味あります? ざっくりすぎる質問ですが


村井  私は、ちょっと違う返答かもですが、まず、自分が物語にされることに抵抗感があるんですよね。


藤岡  おお、というのは


村井  誰かに語られることで、自分が固定されるというか、自分にとって大切なところがそぎ落とされる。それは、自分自身の物語を語るときにも、どうしても、結果的に嘘をついてしまうところがでてきてしまう。だから、お話の大事なところは、ストーリーだけでは、語り切れないと思っています。
村井  書くとすごい変ですが


藤岡  おおー。ナナロク社の本に小説がほとんどないのも、関係あります?


村井  そうですね、


藤岡  写真集とか詩集、短歌集など、瞬間をとらえるものが多いですよね。瞬間、だけではないですけど。


村井  そうなんです。詩や写真に惹かれるのはそこがつよくて、
村井  絵本というのは、絵という具体的なものがありながら、なんというか、物語からは自由ですよね。


藤岡  うんうん


村井  絵本は、詩や写真集とより近しいものに感じています。たぷの里は、詩そのものって感じがしているし、マメパオも、物語のラインはありながら、逸脱していったり、途中で動きだけでみせていくところがあったり、ジャズをそんなに知らないのにいってしまいますが、セッションのようなところがとても好きなんです。
村井  セッション? ちがうか。でもそんなニュアンスです。


藤岡  「ジャズみたいな」は僕もよくしらないのに言いがちです。笑


村井  そう!ピッタリなんですよね!笑


藤岡  全編動きの面白さだけでも作れるっちゃ作れるけど、今回『マメパオ』でストーリーめいたものをくっつけたのはなんでなのかな、と今自分に問うてました


村井  ストーリーももちろん大切ですよね
村井  補助線になるし、そこに、動きや感情をのせることもできる


藤岡  たぷの里にくらべて、マメパオには「感情」の面白さが、より加わってますね


村井  ありますあります。
村井  終盤、少しトーンが変わるところでは、BGMが聞こえるようでした。


藤岡  おおー


村井  静と動が感情ともむすびついていて、
村井  描かれている「ストーリー」以上に、受け取る感情の量がおおいんですよね。


藤岡  つぎは1ページ漫画じゃなく長めの漫画を描こうと思っているので、この話ができてよかったです


村井  ああ、マメパオをへたうえでの、長めの漫画、それはもうぜひ読みたいです。
村井  これもまた、いい質問でしたねー。


藤岡  地方のパンフさん、ありがとうございます。
藤岡  では次の質問を、村井さん。


村井  はい。では、
村井  ペンネーム かりんとう饅頭さん
「好きな動物はなんでしょうか。」
村井  シンプル


藤岡  やはり象です


村井  象いいですね。
村井  犬や猫以外でしたら、私は、


藤岡  マメパオ作る前に象みにいきたかったのですが、天王寺動物園には今いなくて。


村井  ああ、そうなんですね
村井  天王寺動物園駅は、動物の絵があっていいですよね。


藤岡  マメパオの本ができたら、それを持って神戸の王子動物園まで行ってこようと思ってます


村井  私も上野動物園にいきます


藤岡  動物園関係者の方、もしこれを読んでいたら、売店にマメパオ置いてください


村井  ぜひとも。
村井  では、すこし急ぎ足ですが、次の質問いきましょうか。


藤岡  村井さんは、好きな動物は。


村井  わたしは、ペンギンです!


藤岡  おお


(藤岡、ペンギンに関するエピソードを思い出そうとするが何も出てこず、1分ほど沈黙)


村井  藤岡さん、ご質問をお願いします。


藤岡  では、つぎの質問に・・・


村井  はい!


藤岡  もう2時間ぐらい経ちますね。つぎの質問おわったら、続き、後日またやりましょうか?


村井  もうそんなに! そうしましょう!


藤岡  「村井さんへ 藤岡拓太郎さんは、どのような人ですか?
どのようにして拓太郎さんと出逢われた、もしくは発見されたのですか?」 ファンより。


村井  後半は、「ほぼ日」の記事(2017年の対談)を見ていただくとして、、


藤岡  そうですね


村井  今日は、前半のほうをお応えしますね。


藤岡  お願いします
藤岡  ふたりきりのLINEでこういう質問に答えるのも照れますよね


村井  ですねー、きいてもらえるおかげです
村井  藤岡さんは、純粋な方です。純粋というのは、なんか弱いようなイメージがあるかもですが、本当に純度があるものは、実際はとても硬質なんですよね。美しいものや、笑いや、人間がこれまでつくってきた作品を、信じている力がつよい。その素晴らしいものに、しっかり連なっていこうとされているように思います。なので、新しい表現や、変化球のようにみえるもののなかにも、敬意があるというか、むしろ王道なんだよなと。


藤岡  おおー


村井  いろいろ書いちゃいましたが、ひと言でいえば、変わったことを実はやらない、まっすぐな人です。
村井  こう書くと、つまらない人に見えたらすみません、、


藤岡  ありがとうございます
藤岡  笑


村井  難しいですね、書くの。
村井  まだまだ書けますが、いったんはこちらで提出させていただきます。
村井  いい質問でした。笑


藤岡  ありがたく受け取りました
藤岡  僕も、村井さんはどんな人ですか、に答えるとしたら


村井  わ


(2分間沈黙)


藤岡   言葉にするの難しいですね


村井  いいオチでした。


藤岡  マメパオに関して、簡単なところでいえば、めちゃくちゃ粘って頂きました
藤岡  装丁も僕が担当したんですが、今回装丁が一番大変でしたよね?中身はわりとスムーズで。


村井  マメパオは、自由に描いていただきつつ、形にするという非常になんというかレベルが高かったです。いわゆる普通の本の作り方は、ある程度の形(本の仕様など)に作品をおとしこんでいくんですが、今回は、まず作品があって、いきいきと生まれるその作品に、どう形をあたえていくか、

村井  装丁をつくるということは、一面で語れないものを、語るようなものですが、それが今回はとくに難しかったと思います

村井  だから、著者本人の藤岡さんが、全体をひとつの作品として、みせていく手法しかなかったなと。


藤岡  そうか、意外と珍しいパターンだったんですね、今回


村井  そうなんですよね。
村井  生き物のような本です。


藤岡  装丁も、別に変なことはしてないですよね


村井  まっすぐですね。


藤岡  でもここにたどり着くのがすごい長かった


村井  大変でしたね。
村井  できてみたら、これしかないなと。
村井  自分の作品を、俯瞰でみて批評するようなことでもあります。このぐにょぐにょした、それでしか語れない、不定形なものは、いったいなんなのか。すごく難しいなぞなぞのようでした。笑


藤岡  伴走してくれる編集者がいることの心強さを改めて感じました、今回。


村井  わたしは、ジブリで宮崎駿さんが、絵コンテを連載漫画のように描いているのをドキュメンタリとかでみますが、あれのすごさをあらためて思いましたね。


藤岡  制作中にみてました、それ
藤岡  ポニョの10時間ぐらいあるドキュメンタリー


村井  DVDもってます。
村井  4枚組ぐらいのやつ。


藤岡  宮崎さんがスーパーで買い物してるシーンもあります。


村井  ありますね
村井  それでは、


藤岡  はい!今日はこのあたりで。


村井  次回もすぐやりましょう。


藤岡  了解です。おつかれさまでした。


村井  おつかれさまでした!


<後編につづく>



絵本『ぞうのマメパオ』(ナナロク社)
2022年4月上旬発売

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