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お風呂の排水口から、たぶん神様が飛んでった

お風呂の排水口の流れが少し悪くなった気がしたので、蓋を開けてみたら思った以上の地獄絵図になっていた。

カビと髪の毛とトリートメントなんかが混ざりあってドゥルドゥルだ。最近掃除サボってるなーとは思っていたが、ここまで酷いことになってるとは思わなかった。油断した。

慌てて掃除を始めた。まずは詰まっている髪の毛をあらかた取り除いて、カビや石鹸類のヌメリを掃除用の歯ブラシで落としていく。外した蓋の裏もスポンジで擦って汚れを落とした。

ここまでで見た目は大体綺麗になったように見えたのだが、まだ奥の方から延々と髪の毛が出てくる。ティッシュを箱から引き抜いたときみたいに、髪の毛を取っても取っても奥の方からまた髪の毛が引き出されてくるのだ。

自分の髪の毛とはいえ、排水口の奥からひっきりなしに毛が出てくる様子はなかなかに気持ち悪い。というか怖い。一緒に幽霊の手とか出てきそうだ。ほっとくだけでこんなに気持ち悪くなるなんてすごい、と感心すらしてしまった。

奥の方まで何度も手を突っ込んで髪の毛と格闘すること数十分、急に大きな手応えを感じて引っ張ってみると、手のひらサイズの大きな髪の毛の塊がすぽんと出てきた。

これは結構な快感だ。「千と千尋の神隠し」の、オクサレ様の汚れが全部取れたシーンを思い出した。まさにあんな感じだ。多分いま、排水口の奥から綺麗になった小さな神様が「あーっはっはっは」と笑いながら飛び出して行ったに違いない。

このおぞましい塊を取ってからは髪の毛はもう奥から出てこなくなり、淀みもなくなった。どうやらラスボスを倒すことに成功したらしい。

最後に仕上げのカビキラーをしておしまい。もうどこからどう見てもピカピカだ。
髪の毛を排水口の奥の方に詰まらせてしまったことを反省して、今回は蓋を閉じる前に排水口ネットを被せた。これで次からは髪の毛の掃除が楽になるはずだ。また、次に防カビ燻煙剤を焚くときは排水口の蓋を開けて、排水口まで燻煙剤が届くようにしようと誓った。

そんなこんなで排水口掃除は終わった。ちょうど新年度だし、すっきりしてよかった。髪の毛の塊と一緒に、心の中の不吉な塊もすぽんと取れた気がしなくもない。掃除は嫌いでサボりがちだけど、やってみると悪くない。

指先からカビキラーの匂いが取れないのを感じながら、なんとなく気が向いたので今こうしてnoteに日記を書いている。未来の自分、もう掃除はサボるなよ、せめて排水口だけは、と念を込めつつ。




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