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#三島由紀夫

コメントを書くのが苦手なひとへ 『三島由紀夫 レター教室』

紙とペンを取り出して手紙を書く機会の少なくなった今日この頃ですが、誰かのことを想い、言葉を届けるという意味で現代のお手紙に代わる存在が、noteのコメント欄ではないでしょうか。 note記事に対する的確な理解、小気味良い軽快な読み口、ユーモアある返答、そこはかとなく漂ってくる知識と経験、そして相手を思いやる自然な気持ちが伝わってくる、そんな素敵なコメントのやり取りがnoteには多いなと感じます。 記事の内容がさらに深まる新たな視点、鋭い問いかけ、エスプリ溢れる丁々発止のや

『美しい星』 三島由紀夫 X 宇宙人

まさか三島由紀夫がSFを書いているとは!と驚いて手に取ったのが『美しい星』。三島由紀夫といえば”高尚な純文学”というイメージでしたが、意外にも『美しい星』の主人公は宇宙人一家。筆者、実は日本空飛ぶ円盤研究会の会員だったそうです。そう聞くと一気に親近感が湧きます。 とは言ってもテレパシーや瞬間移動はなし。科学的根拠がゴリゴリの設定に凝ったSFではありませんし、奇想天外な宇宙旅行物語でもありません。 地球に住む何人かの宇宙人が登場するのと空飛ぶ円盤が出てくる以外は心理描写に重

三島由紀夫入門

三島由紀夫は『金閣寺』を始めとして、何冊か挑戦したのですが 今まで一冊も最後まで読み切ることができていませんでした。 海外に住む日本人として、三島由紀夫の一冊も読んでいないようでは 恥ずかしくていたたまれない。 そんな私のような方、これ、おすすめです。 三島由紀夫がこんな軽いタッチのエンターテイメント小説を書いていたなんて! 『命売ります』 三島由紀夫 自殺に失敗した青年が、新聞に 「命売ります」と広告を出すところから始まる物語。 命を買いに来るお客さんたち