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2018年8月の記事一覧
疾走、破壊、カタルシス(「ギャング・ダルク vs アルティメット桃太郎」(石田金時/「NOVELSエルジー vol.3」所収)を読んで)
冒頭から、アクセル全開。緩みない緊張感、現代と近未来がミックスされた世界観、登場人物が見せる人間の弱さと醜さ──渾然一体となった諸要素が亜光速で疾走し、読者を置き去りにしてゆく。
しかし、それらは作品の一部分にすぎない。
この作品の要諦は何か。言うまでもなく、アルティメット桃太郎そのものである。頑丈すぎる肉体、沈着なる精神、まともではない言動(良い意味で)。正攻法が通じない数々の巨悪と戦う