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推しが卒業する話

#観劇レポ

大変だ!!私向きのハッシュタグあるじゃん!!
……と、筆を執り始めましたが、今回は私の人生を変えたミュージカルに出演していた、大好きな役者さんが役を卒業した話を書こうと思います。

この夏、私が大好きなミュージカル作品の、最も好きな役を演じていた役者さんが、その役を卒業しました。

どういうことかというと。
観劇ファンの間で言うキャス変(キャスト変更)というものです。作品はシリーズとして今後も続いていきますし、キャラクターもいなくなる訳ではなく、今後は役者さんが作品に出演しなくなり、新しい役者さんがキャラクターを演じるということになります。

これは、アニメのキャラクターの声優さんが変わり、キャラクターの声が変わる感覚と少し似ているような気がします。

彼は2018年から2021年の夏までの約3年間、同じ役を演じていました。驚きと寂しさも物凄くて、キャスト卒業の知らせを受けた時、喪失感でいっぱいでした。

この8月、運良く彼が演じる最終公演に行くことが出来ました。少し心の整理がついたので、このタイミングで感じたことを書き留めておきたいと思います。

【推しの卒業という概念】

女性アイドルグループの〇〇さんが卒業、というニュースはよく見ます。私は女性アイドルグループを好きになったことがないです。色々なグループから多くのアイドルが抜けていく…言い方は悪いけれど「みんなすぐ卒業するじゃん」とすら思っていました。

また、少し話はズレますが、男性K-popアイドルにも、兵役制度があります。友達が「推しが兵役行っちゃう😭」と嘆いてたのを数多く耳にしていました。

これまで好きだったグループから誰かが抜ける、居なくなるという経験をしたことがなく、"卒業"や"不在"が高い頻度で発生するコンテンツを好きでなかった私にとって、自分が好きな人がもう見られなくなる、という状況があまり考えられませんでした。

それと、私が好きなミュージカル作品の場合、原作があるシリーズものの作品なので「これからもその"役"が無くなることはなく、物語が続いていくけれど、私が好きな"役者"はいなくなってしまう」という状態にあります。

BさんがAという役を演じていて、これからはCさんがAを演じる……
Bさんが好きだった私にとっては、かなりショッキングな出来事でした。

私は、Aという役を通じて、Bさんのことを好きになりました。今回取り上げているミュージカル以外にも、彼が出演する他のミュージカルや、ストレートプレイの舞台は必ず足を運びました。

私にとって、この作品は自分の人生を変えた作品であると言い切ることができます。

【"キャス変"について】

じゃあ、そのキャス変ってどの程度の頻度で起こるの?という点についてですが、結論から言うと「作品によって異なる」が答えになります。

例えば、有名な2.5次元ミュージカルであるテニミュと呼ばれる「ミュージカル テニスの王子様」については、キャストの卒業が前提になっている作品かと思います。
1代目〇〇、2代目〇〇、というように、同じキャラを別の年で演じている人が複数人いる状態になります。
ただ、卒業が慣習化している作品なので、ある程度その役を離れる時期が分かっていることが多い為、ファンにとって心の準備はできる期間があるのではないかと考えられます。

その他にも、グランドミュージカルと呼ばれるような作品であっても「新キャストを迎え再上演!」という文言で宣伝されていることもあります。勿論キャストが変わることがファンにとって前向きな意味を成すとは限りませんが、2015年版、2020年版、という風に「それはそれ、これはこれ」と分けて考えられる部分もあるかと思います。

しかし、今回取り上げている作品に関しては、2018年から上演し、20人ほどメインキャストがいる中で、キャストが初めて卒業することとなりました。
約3年間、その役を大切に思っていることがキャスト達のブログやSNSでの発信、イベントでの発言などから読み取れたり、キャスト同士の仲も良く、多くのファンとカンパニーにとって愛されているからこそ、キャス変へのショックが大きかったのではないかと思っています。

【ファンの気持ちの整理】

私は正直なところ、ショックで少し気を病んでいました(笑)
「あの時あんなに大事な役って言ってたのに」とか「20人、誰も卒業してないのに、どうして私の推しだけ?」となんで、どうして、を繰り返していました。
でも、公演終了後、ひとしきり泣いた後で「この作品のおかげで、俳優さんのおかげで、幸せな2年間を過ごさせてもらったな」という、幸せに満ちた感情でいっぱいになりました。
それは、この状況で、この8月に、誰ひとり欠けることなく最後まで公演ができたことに対する安堵や、キャスト達が「卒業しても、いつまでもカンパニーの一員」という風に言葉にしてくれたことで、救われた気がしていたのです。

これからもきっと、様々な事情で推しが卒業する、見れなくなることで落ち込んだり、寂しくてどうしようもなくなることがあるかもしれないけれど、それを救ってくれるのはキャストの言葉やこれまでの観劇にまつわる思い出、今後の観劇体験です。
(同じような理由で落ち込んでいる方に、これを伝えたい!笑)

私はこの作品に触れた2年間で、観劇の素晴らしさや、ミュージカルへの愛を知りました。より多くの人にこの体験を知って欲しいと強く思うようになりました。いつか、この感謝を伝えられたら、伝えられるようには何が出来るのか、少しずつ考えていきたい。言うだけじゃなく、実行していきたい。強い想いとして、ここに残しておきます。


卒業する前、最後に「今日の歩みを思い出すように」と歌う彼が、大好きだったなぁ。

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