ふと思い出した「性被害」のこと

はじめに

わたしはぽりえちゃんの書く記事がとても好きだ。
書き殴るように、怒鳴り散らすように、でも情景がまざまざと浮かぶ丁寧な描写とか、感情表現とか、リアリティとファンタジーの狭間でふわふわしていてこれが芸術かぁって思ったりする。

で、こちらの記事を読んで、ふと思い出した。

性被害。
性を売り続けているわたしにとっては、毎日どこかで警戒している反面、毎日どこか諦め続けてきていて、純粋に「こわかった」と思えたことなんてあっただろうかって考えていたらあった。
あってしまった。

こどもの過ちって罪なのかな

高校一年生のとき。
健全な時給810円のバイト先で仲良くなったのが、当時いくつくらいだったんだろう、お父さんより歳上だったと思う。ハゲのおじさん。
当時のわたしはギリギリ処女だったと思う。たぶん。忘れちゃった。
椎名林檎が好きなのとか話が合うとかで仲良くなって、チケットを取ってくれてライブを二人で見に行ったりもした。好きな人の話もたくさん聞いてくれた。こっそりちっちゃな居酒屋へ飲みにいったりもした。

その頃わたしは、ラブホテルが好きだった。よくひとりで入って、オナニーして、眠って、何でだろう、ラブホテルは誰にも邪魔されなくて静かで、ぼーっと天井を見つめてるだけで癒されるし、そもそもわたしは密室が好きで外出がきらいなのだ。
「休憩」の名に恥じない休憩をしていた。だからラブホテルへ入ることへの抵抗がなかった。

その日

わたしとおじさんはいつものちっちゃな居酒屋で経営している老夫婦や常連さんたちとワイワイ楽しく飲んで、そろそろ帰ろっかってなって、でもわたしが「帰りたくないなあ」って言ったんだったっけな。
「ラブホテルいこーよ!」って、なーんの気もなしに、なーんも考えずに、わたしが言ったような気がする。この辺も曖昧だ。

だって、まさか、40歳くらい歳が離れてる女子高生のことを性的に見るだなんて純粋なわたしが考えるはずもないじゃん。
今どきの子は知らないけれど。もっと貞操観念がキッチリしてる子は知らないけれど。もっとちゃんと常識的に生きてきた子は知らないけれど。わたしが悪いんだけど。

そんで、ずっと気になってたちょっとお高いホテルにるんるんしながらそのまま寝ようとしたら、わたしの身体を触り始めたから、辞めてって言った。そんなつもりじゃなかった、と。
ここで気付くわけだ。こういうところに来るってのはそういうことなんだ?って。
そしたらおじさんは怒鳴った。初めて声を荒らげた。「こんなところに来といて"ダメ"はないだろう」みたいなことを。
だから身体を触らせたり、舐めさせたりした。気持ちいいわけない。「けっこうじょうずでしょ」みたいなことを言われた気がするけど、なんて返したか覚えてない。

よく分かんなかった。でもわたしが悪いんだと思った。それでもずっと嫌で嫌で仕方なかったから泣きじゃくった。泣いてるわたしを宥めながらおじさんは、「じゃあ挿れなくていいから口でして」って言った。
へたくそだったから、やり方もあんまり分かんなかったから、ちゃんとこうしろって教えられた。気持ち悪かったから早く終わりたかった。

おじさんは、出すもん出して、また怒りながら2万円か3万円かを置いて「このことは誰にも言うな」って言って帰った。

このこと

このことは今まで誰にも言ったことがない。だって恥ずかしかったから。自分の無知さとかバカさとか、批難されることとか、「男のほう悪くないじゃん。」って言われるの怖かったから。そして記憶の隅に閉まっていた。

ぽりえちゃんの記事にもあった、「なんとなく罪悪感で泣き寝入りすることが多い」みたいなの、絶対あって。
わたしの場合、わたしが悪いんだけど、でもさあ、16歳の女の子の無知さを正すのがおとなでしょう?やっぱりわたし、わるくないと思うんだよね。

でも怒られるかもしれないし。
呆れられるかもしれないから。
悲しませるかもしれないし、恥ずかしい。
そんな大人とほんの一時でも一緒に遊んでた時間とか、全部恥ずかしい。愚かだ。自分の愚かさと向き合うのは、自分が被害者だって言うよりよっぽど恥ずかしい。わたしは。

今はそんなおとなたちを相手に飯を食ってる。
仕事でも嫌なのに、頑張ったなあ、16歳のわたし。
そんときも結果お金もらったんだけどさ、何に使ったかとか全然覚えてないなぁ。

根本にある「性」への嫌悪感って、こういうところからきてる。
例えわたしが悪くても、性被害って言えなくても、なんだか裏切られちゃったみたいな。被害者ヅラしてるわけ。
そんで、当てつけに自分の性を売ってるのかもしれない。こんな価値のない、何の意味もない、くだらない性を。

まあ、そうじゃないかもしれないし、そうかもしれないし、分かんないけど。
おとなたち、未成年はたべちゃだめですよ。
理性がないなら人間やめてください。

情けない話してごめんね。
ぽりえちゃん、書かせてくれて、言わせてくれてありがとう。
終わりです。

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