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着メロは本で作る

2000年頃までの携帯電話およびPHSの“売り”の1つが、“和音”の数でした。

単音から3和音に進化したときの感動は、並々ならぬものがありました。



ガラケーにも「ルパン三世のテーマ」や「笑点」「水戸黄門」などの初めから入っている着信音はありましたが、単音の場合は単純にメロディだけというものも珍しく無かった時代です。

やがて3和音以上の機種が普及してきた頃に、一大ブームを巻き起こしたのが『着メロ本』でした。



着メロ本とは、着信音を作るためのスコアが掲載された本や雑誌のことを言います。

ストリーミング全盛期の現代からすれば信じられない程のアナログですが、当時はお金を出して着メロ本を購入し、手打ちでメロディを入力するという、それはそれは涙ぐましい努力を若者達が必死になってやっていたのでした。

メロディといっても、あらかじめプリセットされた音楽を設定することしかできず、当然、現在のように鮮明な音楽ではありませんでしたが、それでもポケベル時代から単音の着信音しか無い時代を生きてきた当時の若者からすれば、とても画期的なツールでした。


なかには、着メロ本を使わずに独学でオリジナル着メロを作成する強者もおり、一般に出回っていない着メロが鳴り響くと『どうやって作ったの?!』と心の中でつぶやいた人も少なくなかったのではないでしょうか?


また、手打ちで作成した着メロはメールに添付して送ることも可能でした。

学生時代に必死こいて作った着メロを、メールで彼女に送っては優越感に浸っていた日々が、今ではとても懐かしく思えます。

やがてiモードが登場し、月額制で着メロのダウンロードが可能になると、一時代を築いた着メロ本も徐々に姿を消して行ったのでした。

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