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【初心者投資家の読書(6)】お金は寝かせて増やしなさい

「個人投資家にとっては、個々の株式を売買したり、プロのファンドマネージャーが運用する投資信託に投資するよりも、ただインデックスファンドを買ってじっと待っている方がはるかに良い結果を生む」

初心者の率直な感想

一冊前の「お金が増える米国株超楽ちん投資術」は【米国株】に関して全体的に解説をしてくれている本でしたが、今回は【インデックス投資】に関して解説をしてくれている本です。

名著『ウォール街のランダム・ウォーカー』で推奨されている「世界中に分散したインデックスファンドを積み立て投資して長期保有すること」をインデックス投資と定義して、”なぜインデックス投資がおすすめなのか”から”インデックス投資の際に気を付けるべきポイント”、”他ではなかなか書かれていない投資の出口戦略まで”がエビデンスなどを交えながら丁寧に解説されています。

著者がインデックス投資をおすすめする理由
1.手間がかからないから
2.実は世界標準のスタンダードな投資法だから
3.お金の基礎知識として日常生活に役立つから

基本的には、世界中の株や債券に分散したインデックスファンドを、毎月定期的に同じ金額を積み立てて、あとは寝かせておくだけ。

エビデンスの一例

金融のプロである世界中の年金基金や信託銀行、生命保険会社などの機関投資家の間では、スタンダードな投資法として積極的に採用されている。
例えば、公的年金を運用する日本最大級の機関投資家であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に運用資金145兆円のうち、77%を占める112兆円がインデックス運用されている。(2017年3月末のデータ)
日本の個人は投資信託をほとんど活用していません。米国の投資信託保有比率が43%であるのに対して、2015年時点で日本の個人はわずか8.7%しかありません。

金融商品は得られる価値も払う対価も同じ「お金」。ということは、金融商品を販売する金融機関が顧客である私たちと「利益相反関係」になってしまう。だから普通のモノやサービスと違い、投資に関してはプロに全てを任せるのではなく、最低限のことは自分で学んで行うべきだということも改めてこの本から学びました。

また、これまで読んだ投資関連の本には、「投資の終わらせ方」が書かれていませんでした。本書で初めて投資の「出口戦略」に触れられたのは大きな価値がありました。

著者の投資歴を振りかえる「涙と苦労のインデックス投資家15年実践記」も面白かった。2004年から17年までの元本と資産の動きを、その時どきの出来事と合わせて時間軸のグラフで表している。今般のコロナショックは加味されていないが、リーマンショックや震災などを経ながら積み立てた元本4000万円が150%の6000万円になっているのを見て、かなり投資へのモチベーションが上がりました。

この本のマイナスポイント

価値があるといった「出口戦略」ですが、割とざっくりと書かれているのでもう少し詳しく書いて欲しかった。また、内容はあくまでも初心者向けなので、インデックス投資が何かをわかっている人は特に読む必要はないかも。

著者

水瀬ケンイチさん
1973年、東京都生まれ。都内IT企業の社員にして下町の個人投資家。2005年より投資ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」を執筆。インデックス投資家のバイブル的なブログとして認知されている。

内容紹介(Amazonより)

金融のど素人でもプロと互角以上に戦える
インデックス投資の入り口から出口戦略まで一挙解説!
〜お金が勝手に増えていく仕組みのつくりかた全公開〜

インデックス投資歴15年の実践者が徹底した個人投資家目線で解説!
本書は投資のプロでもないフツーのサラリーマンが徹底した個人投資家の目線で血と汗と涙に滲んだ15年の投資経験をもとにプロに負けない、いや、プロと互角以上に戦えるインデックス投資の始め方から終わらせ方(!)まで世界一わかりやすく解説しました。

勉強メモ

投資信託
投資家から集めたお金をまとめて、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品。投資信託は運用先が株式や債券であり、株式や債券の価格変動によって、投資信託の値段(基準額)が変動。投資信託は個別銘柄の保有に比べて、価格の上昇や下落が緩やかになります。逆にいえば、大きな利益を上げるには、何十年といった長い期間がかかる。
投資信託の3つのメリット
1.少額でも購入可能
2.たくさんの銘柄の株式や債券に分散投資可能
3.運用する金融機関が破綻しても資金は守られる
投資信託には大きく分けて、「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の2種類ある。

インデックスファンド
各種指数(インデックス)に連動する運用成果を目指す投資信託。各種指数には、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)など株式市場の動向を表すインデックスや、野村BPIなど債券市場の動向を表すインデックスがある。

アクティブファンド
インデックスを上回る運用成果が得られるように、ファンドマネージャーが投資先や売買のタイミングを判断して運用を行う投資信託です。アクティブファンドの70〜80%はインデックスファンドに負ける。ある時期に好成績をあげたファンドも、次の時期にはひどいことになるケースが多い。
ドルコスト平均法
定期的に、同じ金額で同じ投資信託を購入し続けることで、購入価格がならされて、株価が最高値の時に一括投資してしまうことや、最安値の時に買い損ねることを防げる。世界全体が同時に崩壊して無価値になってしまうことはあり得ない。世界中に分散された株や債券のインデックスファンドこそ、積み立て投資に向いている。
証券会社の「投信積立サービス」を利用すれば、自分で買い注文を出さなくても、毎月自動的に購入してくれる。一度積立する銘柄と金額を設定すれば、それ以降は何の手間もかからない。
銀行や証券会社がインデックス投資を勧めないのは、インデックスファンドが低コストで利益にならないから。
何が起きても自分と家族を守る「生活防衛資金」を準備する必要性
災害・リストラ・長期入院など何が起きても自分と家族の生活を守るお金。目安は「生活費の2年分」を預金など流動性の高い金融商品で確保。生活防衛資金の存在は生活の安定だけではなく、心の安定も守る。

本当にあなた自身にとって最適な資本構成になっているかは、あなたがそれで夜ぐっすり眠れるかどうかにかかっている
金融では、リスクとは「将来の結果の不確実さ」のこと。損するマイナスの可能性であると同時に、得をするプラスの可能性もリスク!
資産配分が全ての勝敗を決める
銘柄選択や投資タイミングではなく、資産配分によって投資成果がほぼ決まる。自分のリスク許容度=耐えられる最大損失額を「毎年〇〇万円の損失まで」とハッキリと把握し、その範囲に収まるように資産配分を作る。
資産配分を決定する「二通りの方法」とは?

・「世界市場ポートフォリオ」
世界各国の株式時価総額と同じ比率で、資産配分を作る。ハリー・マーコウィッツから、ジェームズ・トービン、ウィリアム・シャープと続く、「現代ポートフォリオ理論」の最終到達点である、「株式市場そのものが唯一絶対の効率的ポートフォリオである」という結論がその根拠。

・「有効フロンティア」
資産クラスのリスク・期待リターン・相関関数から、リスクあたりのリターンが最も大きい組み合わせを計算する方法。
投資家が選択可能な組み合わせの中で、最も有利な選択肢をつなぎ合わせた境界線上の組み合わせを選ぶことになる。
リバランス
どんなに手を抜いたインデックス投資でも、年に一度はやってた方がいい。運用していく中で崩れてきた資産配分(アセットアロケーション)を所定の比率に戻す作業。資産配分が崩れたままだと、知らないうちに過剰なリスクをとってしまう恐れも。自分が決めた資産配分と比べて、比率が大きくなりすぎた資産クラスのインデックスファンドを売って、比率が小さくなりすぎたインデックスファンドを買う。
失敗しないインデックス投資の手順

1家計の状態を把握する
2生活防衛資金を貯める
3自分の「リスク許容度」を把握する
4資産配分を決める
5ネット証券の口座を開く
6決めた投資商品に毎月一回積み立てて寝かせるだけ

実際にやってみると、ただインデックスファンドを買ってじっと待っていることが意外と大変。

どうしても売りたくなったときに触れるべき言葉

カルガリー大学のリチャード・ウッドワード教授とジェス・チュア教授による研究の結果は、長期投資として株式を保有し続ける方が、マーケット・タイミングをはかって売買するよりもうまくいくことを示している。
なぜなら強気相場の期間に株式から得られる利益は、弱気相場によって被る損失よりも遥かに大きいからだ。両教授はマーケット・タイミング型の投資家がバイ・アンド・ホールド型の投資家のパフォーマンスを上回るためには、70%の確率でマーケット・タイミングについて正しい判断を下さなければならないとの結論を下している。7割もの打率で市場の転換点を当てることのできる人物に、私はついぞお目にかかったことがない。

「ウォール街のランダム・ウォーカー」(バートン・マルキール著)より
投資の世界では、感情は必ず間違った方向に投資行動を導くものである。気分の高揚している時(たいていは市場のピーク)は株を買いたくなり、不安を感じている時(たいていは市場が低迷している時)は売りたくなるものである。健全な長期投資にとって、直感こそが敵であり、理性こそが友である。

「敗者のゲーム」(チャールズ・エリス著)より
企業が獲得する豊富なリターンの上に作用する複利の力を過小評価してはならない。過去1世紀にわたり、米国企業はその資本に対して平均年9.5%の利回りを計上してきた。
この利率で10年間の複利計算をすると、当初投資した1ドルは2ドル48セントに増える。20年では6ドル14セント、30年では15ドル22セント、40年では37ドル72セント、50年では93ドル48セントになる。複利の魔法は、驚異的である。つまり、資本主義は、企業の成長・生産性・豊かな資源・革新を通じて富をもたらし、その所有者たる投資家にとってはプラスサムのゲームを提供する。

「マネーと常識 投資信託で勝ち残る道」(ジョン・C・ボーグル著)より
今投資しているファンドより低コストな新しいファンドが出た時
現在の低いコスト水準下では、インデックスファンドが新登場した時には、すでに投資した分はそのままで、今後積み立てる分を新インデックスファンドに乗り換えていく。

乗り換えには旧ファンドを売却する際の「信託財産留保額」(ファンドごと。大体0.1〜0.3%)と「税金」(運用益の20.315%)というコストがかかってしまう。
著者がインデックス投資を通じて学んだこと

1.最悪の事態の想定は「厳し目」に見積もるべきだった
「投資金額×{期待リターンー(2×標準偏差)}」で想定していたが、リーマンショックでポートフォリオはー53.6%になった。

2.相場は永遠に下がり続けることはない
下げ相場では、この相場下落がいつまでも続くのではないかという気分になるが、100年に一度と言われたリーマンショックも1000年に一度と言われた東日本大震災からも、2〜3年で回復した

3.インデックス投資家の仕事は「売りたくなった時に我慢すること」
気になるインデックス投資の出口戦略
投資家本人の加齢にともなう「リアロケーション」(資産配分比率の変更)
つまり出口戦略としてはポートフォリオの債券比率を保守的な資産配分に変更すること。

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