開業医の残念な非協力姿勢の事実

【アンケート概要】

国と東京都が、感染症法に基づき患者受け入れや人材派遣を要請したことを受け、医療機関への協力要請についてm3.com会員に尋ねたところ、勤務医は「協力する」が最多となった一方で、開業医では「協力できないのでしない」の回答が最も多い結果となった。また、回答した医師からは「人的余裕が全くない」「民間に利益度外視は不可能」など、協力が難しい様々な背景が意見として寄せられた。

Q ご自身が勤める・又は経営する医療機関に、国や自治体から今回のような要請が出された場合、協力すると思いますか(東京都の医療従事者は、今回の要請についてお答えください)。

勤務医の42.5%が「協力する」と回答し最多となった一方で、開業医では「協力できないのでしない」の回答が42.8%で最も多い結果となった。

また、「人的余裕が全くない」「民間に利益度外視は不可能」、「その他疾患の患者さんはどうするのか」など、具体的に協力が難しい様々な背景が意見として寄せられた。



Q 「正当な理由なく応じない場合、勧告や公表の対象」になることは、協力への動機づけになると思いますか。



医師・医師以外ともに「思わない」が最多となった。一方で、「残念ながら、ある程度の強制力をもって臨まなければ協力は得られないのが実情。ただし、明確な経済的支援が必要不可欠」という意見も寄せられた。



Q 感染症法に基づく医療機関への協力要請について、お考えをお寄せください。

・現在非常事態であるので、こういうお願いベースの要請では話にならない。ある程度以上の規模の病院すべてにコロナの受け入れを強制するべきだ。院内クラスターなどのリスクも無くはないが、在宅で誰にもケアされずに人が亡くなっていくのを見過ごす訳にはいかない。【勤務医】

・本当に必要な対応をしっかりしたうえでの要請かどうか、そう感じられれば応じやすい。

地域の医師会が納得したうえでの、そこからの要請の方が、やる気になりやすいと思われる。【勤務医】

・出来る限り協力するがコロナ患者を受け入れるための人的余裕が全くない。【勤務医】

・日々の手術で手一杯なので手術件数を減らさなければ協力できない。【勤務医】

・赤字になった場合の補填や給料補償などそういったことはどうするつもりなのか。日本は高齢者が多く、またその割には在宅での看取りが進まず、ほとんど病院で看取っている。そういった人たちはどうするつもりなのか。今までの日本の医療制度が悪いのにそれを変えずにきて、今更医療制度が違う海外と比較すること自体がナンセンスである。また透析患者も非常に多く、日本独特の問題があり、今回の件でそういった問題などが足かせになっているのが目に見えている。そもそも国、地方自治体がちゃんと機能していないことが問題なのにそれを医療機関のせいにするのはお門違いである。【勤務医】

・病気は新型コロナだけではない。全病院が新型コロナの診療をして院内感染が起こったらどうするつもりなのか? 医療崩壊を促進しているようなものだと思う。【勤務医】

・国民の外出制限も同時にしないと全く意味がないと思う。無制限に増えてしまう患者さんがいる中でどのようにして協力しきれるのでしょうか?いまでも最大限協力しているのではないでしょうか?【開業医】

・それなりの労力を割くので、その協力分は診療報酬として反映してほしい。【開業医】

・現状で限界に来ている。職員でメンタルを損なっているものも出てきた。【開業医】

・感染症だけが 診療対象でない。高血圧や糖尿病、その他の通常の疾患の患者さんはどうするのか?彼らも診療が必要である。これからの感染症に対しての備えとして感染症専門の公的医療機関を直ちに作るべきである。ECMO等の医療機器や隔離病棟などの準備、利益を度外視した経営は民間には不可能である。【開業医】

・残念ながら、ある程度の強制力をもって臨まなければ協力は得られないのが実情と明らかになってきている。ただし、そこには明確な経済的支援が必要不可欠。【薬剤師】

【調査概要】

・調査期間:2021年8月25日~8月31日

・対象:m3.com会員

・回答者数:計1297人(開業医 : 187人 / 勤務医 : 628人 / 歯科医師 : 8人 / 看護師 : 44人 / 薬剤師 : 378人 / その他の医療従事者 : 52人)

【初感】
特に残念なことは、

●開業医、勤務医ともに、『協力できるのにしない』という回答が一定数存在することは純粋に残念である。

●また、自身らは非協力的姿勢を示す一方で、国民に自粛を強いる回答が存在することである。

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