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【ストーリーは誰にでもある】3つのステップで仲間を巻き込む共感されるナラティブが語れる方法

こんにちは!自称ナラティブ・コーチのななみんこと河野七海です。私はナラティブにはものすごいパワーがあると信じています。そのパワーとは、あなた自身を突き動かす勇気の源になったり、コミュニティの一体感を生み出す希望であったり、社会に緊急性を訴える刺激になるものです。

2017年12月に、NPO法人コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン(COJ)のワークショップにて、私は初めてナラティブを語り方を学びました。人見知りで大勢の前でお話をするのが苦手な私ですが、2日間のワークショップでナラティブを練習し続けるうちに、最後はステージに立ち上がってありのままのナラティブを語ることができて、自分に感動しました。ここ数年間はCOJのコーチとして、社会運動に取り組んでいる人たちが仲間を巻き込むナラティブが語れるようにサポートしています。最近は社会運動だけではなく「社会を変えたい」と思っている人であれば、企業であったり、個人であったり、新しい場でもナラティブ・コーチとして活動しています。

ここでは、「共感されるナラティブの語り方」として、COJで学べるパブリック・ナラティブを簡単に紹介したいと思います。あんまり詳しくは書きません。各ステップの要点だけまとめました。何かしらのヒントになれると嬉しいです。

Step 1– Story of Self(ストーリー・オブ・セルフ)

これは自分の物語です。自分の人生にどんな出来事があって、その出来事によって自分はどんな考えや大切な想い(価値観)を持つようになったのか、を語るストーリーです。仲間を巻き込むためには、まずはなぜ自分自身がモチベーションを持って相手に呼びかけているのかを伝えなければ何もはじまりません。まあ、自己紹介だと思ってみてください。

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ポイント
これは「ストーリー(物語)」なので経歴ではないです。なので、あなたがモチベーションを持って行動をするきっかけとなったエピソードを描くことが共感を促します。

特に共感を促すストーリーには「感情の変化」が表現されています。どんな感情の変化が人の心を揺さぶるのかと言うと希望勇気が伝わる心情の変化です。例えば、ひたすらと絶望的に辛い経験談を聞き続けたら「大変なんだな」と思うかもしれないけど、そんな重大な問題を解決できるのか不安になりますよね。でも、とても辛い経験があって自分に自信が持てなかったけれども乗り越えられたことで積極的に自分を表に出すことができるようになったと言うストーリーを聞いたら、この人が克服できたのであれば自分もできるかも、と前向きになれますよね。

Step 2– Story of Us(ストーリー・オブ・アス)

これは私たちの物語です。私たちと言うのは、ストーリーを聞いている人(たち)とあなたのことです。この場にいる全員が共有する具体的な体験はどんなもので、その時どんな気持ちを感じたのかを思い出させることで一体感が生まれます。イメージで言うと、スポーツ映画で決勝試合の前にコーチが選手を集めて、こんな過酷な状況でも練習を積み重ねてきたからこそ優勝できるはずだ、とチームを勇気づけるような、うるっとくるスピーチです。

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ポイント
このストーリーは、あなたが語りかけている対象によって内容が変わります。な ぜかと言うと、人と場所によってみんなの共有体験が異なるからです。今回の聞き手はどんな経験をしてきたのかを丁寧に考えましょう。

実は、色んなリーダーのスピーチをよく聞くと、このストーリーが一番抜けがちです。一番難しいからだと思います。でも、このストーリーが無いと聞き手(特にもともと関係性が遠い人)はあなたのストーリーを自分事化できずに離れてしまいます。あなたが聞き手とどんな価値観を共有しているのかを理解させられると、あなたの活動を自分事として一緒に取り組んでくれると思います。

Step 3– Story of Now(ストーリー・オブ・ナウ)

これはの物語です。このストーリーには2つの要素があります:緊急性とアクション。緊急性と言うのは、今の社会にはどれだけ重大な問題が起きていて、今すぐ行動をする重要性を伝える要素です。そして、アクションとは、実際にあなたは聞き手にどんな行動を求めるのか、問題を解決するための道筋を示す要素です。この2つの要素を組み合わせることで、共感だけで終わらせるのではなく、連携して行動をする仲間になるまで巻き込みます。よくある例で言うと、衝撃的な気候変動のデータや、増え続けるコロナ感染者数を聞くと、自分の行動を見直したくなりますよね。

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ポイント
どんなレベルの緊急性を伝えるのかと言うと、目の前にトラックが猛スピードで迫っていてこの瞬間に動かなくては危険だ、と言う感覚です。そして、アクションはなるべく具体的に案内することが重要です。対象によって違うアクションを求めることもあります。

このストーリーがなぜ重要なのかと言うと、ストーリー・オブ・セルフ(あなたの物語)とストーリー・オブ・アス(私たちの物語)を聞いてせっかく共感してくれた人がバラバラで行動をしてしまうと問題が上手く解決されないので、しっかりと共有目的に向けて計画的に活動が行えるために語ります。誰が?何を?いつ?どこで?どうやって?を意識します。

Model— ナラティブの例から学ぼう

文章だけで説明されてもいまいちピンとこないかもしれないので、実際にナラティブの良いモデルを見てみましょう。

アメリカの事例で、「The speech that made him president(彼を大統領にした演説)」として知られている、2004年 民主党全国大会でのバラク・オバマ元米国大統領のキーノート演説を紹介します。当時まだイリノイ州上院議員で大統領選挙出馬発表前でしたが、観客(国民)の心を掴んだ瞬間が伝わると思います。

【ビデオ】2004年 民主党全国大会 バラク・オバマ元米国大統領(0:53〜8:09)

英語のトランスクリプトと和訳はこちら(Pg. 150〜)

https://americancenterjapan.com/wp/wp-content/uploads/2015/11/wwwf-obama-ownwords.pdf

他の人のナラティブを聞いて、よかったなと思ったポイントを真似して、自分のスキルを磨いていくことで、どんどん人を巻き込むようなナラティブが語れるようになります。ぜひ試してみてください。

Wrap-Up— まとめ

COJで学ぶパブリック・ナラティブは、3つのストーリーを組み合わせることで仲間を巻き込む共感されるナラティブが語れるようになります。それぞれのストーリーには重要な役割があるので、バランス良く取り入れることが意識できると効果的です。

実際に、これからナラティブを作ろうと思って、どこから手をつければ良いのか分からない、と言う方は次の順番を試してみてください。

ナラティブを組み立てる順番
まずは、あなたが求める「アクション」から考えましょう。次に、そのアクションをなぜあなたが求めたいのか過去の原体験を振り返りながら「セルフ」を作りましょう。そして、その原体験からあなたはどんな価値観を感じて、その同じ価値観が聞き手の体験と重なるエピソードを思い浮かべながら「アス」に繋げましょう。「緊急性」の語りはリサーチをしたり、求める「アクション」に立ち戻って考えることをおすすめします。

3つのストーリーそれぞれができあがったら、どの順番で語れば良いのか迷うかもしれません。定番で言うと以下の順番がありますが、絶対この順番ではないといけない訳でもないです。

ナラティブを語る時の順番
最初は聞き手を惹きつけるために「緊急性」の語りからはじめます。その後は、「セルフ」「アス」「ナウ」が交互で混ざったりしても大丈夫です。ただ、最後にはしっかり「アクション」を伝えることを忘れないようにしましょう。

最後に、3つのストーリーを組み合わせたときに、それぞれのストーリーには一環とした「価値観」が通っているのかを確認しましょう。本当にあなたが伝えたいメッセージを伝えるために、それぞれのストーリーが機能しているのかを確かめます。

以上、仲間を巻き込む共感されるナラティブの語り方の3つのステップでした。

Next— ナラティブ作りのサポートがほしい方へ

NPO法人コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン(COJ)について詳しくはHPをご覧ください。

NPO法人 COJのホームページ:
https://communityorganizing.jp/
 

パブリック・ナラティブの理解を深めたい、ナラティブを社会運動に活かす実践方法を知りたい、と言う方はCOJ共同創設者の鎌田華乃子さんが書かれた本をおすすめします。小学5年生にもわかるようにかみ砕いた説明になっているので、読みやすい教科書だと思います。

実際にワークショップを受けて、ナラティブを作る体験をしたい方は次回のCOJワークショップ開催情報を一般公開前にゲットできるウェイトリストがありますので、是非ご登録ください。次回ワークショップは2021年冬の予定です。

COJワークショップのウェイトリスト:
https://forms.gle/3mMHpt7n7TKKJLrc7
 

もし、冬まで待ちきれない!と言う方はぜひ個別で私に連絡していただけると、相談に乗ります。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。みなさんが自分にしか語れない、ありのままのストーリーが語れますように。


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