人が、楽器が吠えていた。
水曜日、初めて大好きなアーティスト、
カネコアヤノのライブに行った。
ライブハウスで、どこを見ても人、人、人。
歌っている姿が見えたのは、ほんの一瞬だった。
その分、耳で彼女や演奏する人達のありのままを味わえた。
あの時間に感じたことをできる限り、言葉にしたい。
言葉を見て、後からいつでも思い出せるように。このnoteはそんな場所にしたい。
上手く言葉にならない部分は、ちょっぴり悔しいけれど心のどこかにスペースを作って留めておくとして。
人と、楽器が吠えていた。
これがまず感じたこと。
そしてその姿が羨ましいと思った。
「吠える」
自分の中にある言葉で表すなら、この表現。
野性的で、強くて、繊細で、人間くさい。
自分の中にあるものを思いっきり表現する、
全身全霊の鳴き声のようなものを感じた。
自分で再現は全くできない、その人の声、
その人の楽器の扱い方じゃないと出せない音。
すべて理解することはできなかったけれど、
あの瞬間、あの場にいた人みんなでその声を
全身で浴びて、受け入れていた。
声が一度落ち着いたら、観客のとびっきり大きな拍手が起こる。
観客みんなで、思いっきり表現する彼女、彼等のことを思いっきり抱きしめて、
よしよししているイメージをした。
その場の空気は暖かくて、優しさを感じた。
あの声を感じながら、羨ましいとも思った。
あれだけ自分自身を表現して、
大好きな人に抱きしめてもらえたなら、
どれだけ幸せなんだろう。
自分も、なんとかして自分の中にあるものを思いっきり表現して、形にしたい。ずっと思う。
使うのは、言葉、絵、音、どれで表現できるか分からないけれど、
いつか自分も吠えたい。
いつの間にか、深呼吸をしていた。
次に感じたこと。
実は初め、人のいろんな香りに囲まれて、
それが少し不快で、息をひそめようとしていたんだけど、
気づいたらふと自分が深く息をしているし、
周りの人の深呼吸も感じた。
なぜなのか、分からない。
時に彼女の優しい声に心を撫でられている感覚を感じて、
「大丈夫」という言葉が脳に浮かんだ。
彼女の気持ちを深く自分に取り入れて、
抱えていたものを吐き出せた、
そんな瞬間だったのかもしれない。
ずっと立っている足は辛くて
なんとかしたくて、
精神的にも疲れはあったんだけど、
あの空間は心地よかった。
じわっと涙が出そうになることもあった。
不思議な感覚。
初めて、音楽で人の心とつながる経験をした。
あの場にいたすべての人の、心に少しずつ触れたような気がする。
表現できるって素晴らしい。
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