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紛れもない滝本竜彦だった。『超人計画インフィニティ』

大学生のとき、滝本竜彦の小説『NHKにようこそ!』を読んだ。
大学を中退した引きこもりの主人公の元に、岬ちゃんという少女が現れ、
引きこもりからの脱却を口実になんやかんや交流していくという物語。
当時、大学の授業は行くが、ほぼ漫画を読んだりニコニコ動画を見て過ごしていたので、この小説の世界観や主人公に共感でき、面白くて一気に読んだ。
夜のアパートで一気読みした情景は今でも覚えている。

それから、立て続けに滝本竜彦の『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』『超人計画』も読んだ。
やはり、好きな小説だった。

『超人計画』は私小説的な構成で、ほぼ引きこもりの作者と脳内彼女のレイ(モデルはエヴァンゲリオンの綾波レイ)と「超人」を目指すというものだった。
退廃的なところが好きだった。

滝本竜彦は一時期小説を書いていなかった時期がある。
どうしたのだろうと、時々状況を覗いていたところ、スピリチュアル的なものにハマっていた。

もう小説は書かないのかと思っていたとき、Twitterで、NHKにようこそ!の続編『新・NHKにようこそ!』が同人誌で出ると知り、買って読んだりした。

そして先日、超人計画の続編『超人計画インフィニティ』がWEBで連載されていると知った。

読んでみたら、間違いなく超人計画で、紛れもない滝本竜彦だった。
超人計画から20年後。結婚や離婚もあったが、相変わらず半引きこもり的な生活を送っている著者。
そんな著者の元に、再びレイが現れる。

元祖『超人計画』では、最後に「レイちゃんの知恵袋」という章があり、
「幻覚剤の正しい飲み方」「ベストセラー小説の書き方」などがレイによって記されていた。
『超人計画インフィニティ』では、1話ごとにレイちゃんの知恵袋がある。
『部屋を掃除する』『友達を作る』『習慣を育む』など、無印超人計画のレイちゃんの知恵袋に比べて、実用的で、優しい&易しいものになっている。

昔の滝本竜彦が帰ってきた。
私自身が、大学生当時から10年ほど経っても何も変わっていないように思えるのも考えものだが、今滝本竜彦が帰ってきてくれたことがうれしい。

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