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目が見えない僕と優しい君

1‘

○「僕の目が見えなくなったら君は僕を捨ててくれる?」

そんな事を言われたのがつい1週間前で

その問いに対してその時は何も言えなかった私。

〇〇とは幼馴染で中学の時からから付き合っていた。

会社の同僚にも紹介していて、よくご飯にも行く。

2‘

〇〇がこんなこんな事を言ったのは

一ヶ月前に会社の健康診断で目に異常があると言われて

詳しく検査した結果…【緑内障】

視神経がいたんで、視力が欠けていく病気と診断された。

3‘

3ヶ月前は殆ど見えていなくて

近くに寄らないと顔がはっきりしない。

そのせいで〇〇は会社を退職した。

ちょっとした事なら出来るらしく

たまに包丁など使わない料理を作ったり

洗濯物やお風呂掃除など家事をやってくれていた。

でも今では全く見えていない。

4‘

__________

5‘

真夏「ねぇ…」

○「ん?」

真夏「どうして、あんな事を言ったの?」

○「あんなこと?」

真夏「そう、『僕の目が見えなくなったら君は僕を捨ててくれる?』…って」

6‘

真夏が尋ねると眉尻を下げて困ったように笑う〇〇。

○「だって…目が見えなくなったら自分じゃほとんどできなくなってしまうでしょ?それだと真夏に大変思いをさせてしまうし苦労をさせてしまう…」

真夏「そんなこと」


○「真夏は会社員として頑張っているのに邪魔になっちゃうと思ったの」

7‘

真夏「〇〇…」

○「だからね?真夏…いつでも僕を捨てていいんだよ?」

そう言った〇〇は今度は真っ直ぐとこちらを向き

真夏に目線を合わせるように力強くこちらを見てくる。

8‘

力強いのに瞳の奥を見るとそれとは相反して

泣きそうな瞳をしていた。

真夏「私は絶対に〇〇を1人にしない!それに〇〇がいないとダメなのは私だから!」

○「真夏っ…ありがとう…でもね?真夏に捨てられても僕は幸せなんだよ?」

9‘

真夏「っ…どうして?」

○「だって…僕の最後に見たものは真夏だったからっ…真夏の笑顔だったから…」

真夏「でもっ!」

○「まぁ…そんな気持ちがあると知って欲しいだけだよ」

10‘

________

11‘

○「真夏?」

真夏「ん?どうしたの?」

○「今日って何日?」

真夏「……15日だよ」

真夏はカレンダーを見ながら答える。

12‘

○「……真夏?」

真夏「なに…」

○「本当は?」

〇〇はサングラスを外して真夏の方に顔を向ける。

真夏「本当だよ…」

13‘

○「真夏?嘘は嫌いだよ…」

真夏「20日…」

真夏が正直に言うと〇〇は申し訳なさそうな顔をする。

普段、目の見えない〇〇が日にちをあまり気にしてないのを

知っているからこそ、真夏の誕生日の当日とわかれば

プレゼントを用意してない〇〇は落ち込んでしまう。

14‘

○「ありがとうね?でもごめんね?プレゼント用意できてなくて…」

真夏「気にしないで!私は〇〇と入れるだけでいいんだよ?」

○「そっか…来年は絶対に用意するね?」

真夏「っ…うん!」

15‘

○「今年は…僕でいいかな?」

〇〇はソファーに寝転ぶと真夏に向かって手を広げる。

真夏「○○…」ギュッ

○「好きにしてね?」

真夏「今年だけ?」

16‘

○「もちろん、いつでもいいよ」

真夏「〇〇っ💕」チュッ

○「んっ…真夏」

真夏「私にはあなたしかいらない…」

17‘

○「僕も君しかいらない…」

君がいれば何もいらない…

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