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機械人形に恋をして

はぁ…今日も収穫はなかったな…

この世界は5年前に未知のウィルスにより人工の8割が死亡した。

最近では人とも全く会わなくなった。

2年も人と会ってない。

それにしても冷えるな…

最近では食料や燃料が見つかりにくい…

何日も食べてない…

○「…お腹すいた」ぐうぅぅ

いつも行かない所に食料探しに行ったら地盤沈下にあった

○「いてて…マジか…」

僕は周りを見渡す。

○「暗くて見えないな…」

手探りで前に進んでいくと“むにゅ”という感触が…

?「おい…何をする…」

○「えっ!?だれ?」

僕は驚いて手を動かす、“”むにゅむにゅ“”

?「こらっ…んっ…」

僕はどんどん暗闇に慣れていき周りが見え始めた。

そこには…

所々、機械面が見えてる機械人形が様々なコードに繋がっていた。

?「目が慣れてきたのなら私の胸から手を離せ」

僕は自分の手を見るとその機械人形の胸を揉んでいた。

○「ごめんっ!!」

?「ん…それでいい」



○「ぼ、僕は○○って言うんだ…君は?」

?「製造番号1450810」

○「名前は?」

?「名前が無いのか…んー… なら、アスカは?」

アスカ「アスカ?」

○「145だからアスカ」

アスカ「アスカ…ふっ…好きに呼べばいい」

○「アスカはなんの機械人形なんだ?」

アスカ「っ…ボソボソッ」

○「えっ?なんて?」

アスカ「恋人型機械人形だ…」

○「っ!そ、そうなんだ!」

恋人型機械人形とはいわゆるラブドールの一種だ…

アスカ「まぁ…製造されてから一度も動いたことないけどな」

○「そうなの?」

アスカ「ああ…私には不具合があったから出荷されなかったんだ」

○「不具合…」

アスカ「まぁそんなことよりお前はなんで外にいる?他の人間はコロニーにいるはずだけど…」

○「うん…僕はね…コロニーで生きるなら外で死にたいんだ」

アスカ「なんだそれ…」

○「地下で生きて…毎日食料の取り合い…些細なことで喧嘩…それなら外に出て1人でもいた方がいいさ」

アスカ「お前…変わってるな」

○「ははっ…かもね」

僕は苦笑いしかできなかった。

○「それより…“ぐぅぅぅ“…」

アスカ「なんだ、腹が減ったのか?」

○「うん、何日も食べてないんだ」

アスカ「…お前の足元にハッチがある…そこに3ヶ月分の食料があるはずだ」

僕は自分の足元にある瓦礫をどかしてハッチを開けるとそこには本当に3か月分の食料があった。

○「いいの?」

アスカ「いいよ…私には必要のないものだから」

○「そっか…でもこれは誰が?」

アスカ「私を作った人が置いていった…」

○「アスカを作った人?」

アスカ「うん…橋本奈々未って科学者なんだけど…」

○「…そんなんだ」

僕は黙ってしまう。

○「僕、ここに住むよ!!」

アスカ「はぁ?ここには何もないぞ?」

○「外も同じだよ!それにここにはアスカがいるだろ?」

アスカ「っ…好きにしろ」

それから僕はこの薄暗い地下で暮らすことにした。

最初は瓦礫の撤去や住む場所にするための工事が大変だったけど

意外とやってると慣れてくるもので日にちが経つごとに工事のスピードが上がっていった。

そんな感じで気が付くと2ヶ月が経っていた。

そんなある日…

アスカ「ッ…ま…る…○…?」

僕が寝てるとアスカから呼ばれた気がした…

起きてアスカの方を見るとアスカが何かを言っている。

アスカ「m…ro…ガガガ…」

○「アスカ…?」

アスカの言ってる言葉がわからない…

アスカ「ピッ…〇〇…」

○「戻った」

アスカ「私はそろそろ壊れるみたいだ」

○「そんな…」

アスカ「すまない…」

○「謝らないでよ!アスカは何も悪くない!!」

アスカ「ッ…」

“謝らないで?飛鳥は何も悪くないわ”

○「僕さ…君のこと…」

アスカ「言わないで!」

○「どうして?」

アスカ「〇○はこれから生きていくの…でも私は壊れていく…」

○「それでも!!」



アスカ「苦しくなるだけだよ…」

○「それでも僕は!!」

アスカ「……わかった、こんな私でもいいなら付き合いましょ」

○「っ…うん!」

そして僕たちは付き合った。

僕達は夢にようなひとときを過ごした

外に出れないアスカの代わりに僕は外に行き絵を描いてくる。



決していい風景といかないけど

それでもアスカは喜んでくれた。

彼女と初めてキスをした…僕の想像を超えるほど

唇は柔らかかった…アスカはシリコン素材だから人間に近いだとか

雰囲気もカケラもないことを言ったけど(苦笑)

アスカと暮らしてから4ヶ月が経とうとしていた。

○「ゴホッ…」

アスカ「大丈夫か?」

○「最近、咳が出るんだよね」

アスカ「疲れてるんだ…休め」

○「うん…そうだね」

今日は出かけないで休むことにした。

ー次の日ー

○「ゴホッゴホッ!!」

血を吐く僕

アスカ「〇〇っ!?」

○「あれ?僕…ウィルスに罹っちゃったみたいだ…ゴフッ…」

アスカ「嘘だろ…私より先に死ぬな!」

○「無理…みたいだね…」

僕はふらつく足でアスカの隣に座る。

○「ごめんね?先に逝く事になって…」

アスカ「ほんとだぞ!私をおいていくな!私は〇〇が好きなんだ!」

○「ははっ…やっと言ってくれたね…好きって…」

アスカ「何度だって言ってるやるから!お願いだ…逝かないで…くれ(涙)」

○「ごめん…ね」

こうして〇〇は死んだ…

私の足元で倒れてる〇〇

アスカ「うわぁぁぁぁ!!なんで私は〇〇に触れられない!!くそっ!くそくそ!!」ブチブチッ

私は体に力を込めてコードを引きちぎっていく

“警告、警告!コードが外れました…このままではエネルギーの供給ができません!直ちにコードを繋げ直してください”

“ドサッ”

アスカ「〇〇…」

私はコードを引きちぎると地面に落ちた。

手足が無いため、這いずりながら〇〇に近寄る。

アスカ「〇〇…お前を1人にはしないからな?」

私もコードを抜いた為、もう少しで電源が切れるだろう…

アスカ「〇〇…お前…奈々未の息子だろ」

アスカ「お前達…親子は優しすぎるよ…」

〇〇の胸に頭を置く。

アスカ「〇〇…機械人形の私に生まれ変わりがあるかわからないが…生まれ変わったら…私をお嫁さんにしてくれ…」

“もちろんだよ!“

アスカ「よか…った…」シューン…プツッ…



これは人間の青年と機械人形の恋の物語…

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