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あの頃の君とよく似ている後ろ姿

1‘

街角で見つけた

あの頃の君とよく似ている後ろ姿

○「あれは…」

人混みに溢れた通りを抜け出して

足早に…追いかけてた

2‘

裏路地にある小さな広場に出る

○「気のせいか…」

近くにあるベンチに座る。

○「はぁ…奈々未…っ…」

昔の僕は傷つけることでしか

自分の存在を感じられなかった

愚かな僕…

3‘

暗闇で怯えていた体を抱きしめてくれていたこと

奈々未はこんな僕でさえ愛してくれてた

それなのに君まで傷つけていた

○「もう一度会えたら君を離さない…離したくはない」

4‘

僕はベンチから立ち上がって、その場を後にした。

“ふわっ”

○「っ…この匂い…やっぱり奈々未だっ…」

気づくとその場で膝をつき、下を向いて泣いていていた

泣きながら昔の記憶を思いだしていた。

5‘

_____

6‘

奈々未「どうしたの?」

○「奈々未っ…」

奈々未「大丈夫だよ…ここにいるから」

奈々未が抱きしめてくれる。

7‘

ーーーーー

8‘

奈々未「ごめん…もう…限界…無理みたい…」

○「奈々未っ…!」

“バタンっ”

○「な…なみっ…」

9‘

ーーーーー

10‘

奈々未「何してるの…」

頭上で声が聞こえる

懐かしくて、会いたくて、謝りたくて

どうしようもなかった

11‘

奈々未「〇〇…顔をあげて…」

○「っ…奈々未…」

奈々未「酷い顔…」

○「奈々未っ…(涙)」

3年ぶりにみた奈々未は髪が長くなって

綺麗になっていた。

12‘

奈々未「ほら、立って…ここじゃなんだからうちに行こう」

奈々未に手を引かれて歩く。

僕は奈々未の手を強く握りしめた。

母親から逸れないように強く。

13‘

ーーーーー

14‘

奈々未「座ってて」

○「うんっ…」

奈々未「どうしてあんなところで泣いてたの?」

○「それはっ…」

15‘

奈々未「久々に会ったら、泣いてるし、顔は昔より痩せこけてる」

○「奈々未に似た後ろ姿を大通りで見つけて追いかけたんだ」

奈々未「だからあの路地裏の広場にいたのね」

○「でもそこには奈々未がいなくて…ベンチに座って奈々未との思い出を思いだしていたんだ」

16‘

コーヒーを僕に渡してくる。

○「ありがとう…」

奈々未「続けて」

○「それで帰ろうとしたら…奈々未の匂いがしたんだ…懐かしい匂い…」

奈々未「それで泣いていたの?」

17‘

○「うん…」

奈々未「どうして…?」

○「…嬉しくて」

奈々未「……」

○「僕のせいなのはわかってる…自分勝手に考えが奈々未に負担をかけたのもわかってる…それでも…奈々未が近くにいるってわかったら…嬉しかったんだ」

18‘

奈々未「…会ってどうしようとしてたの?」

○「謝りたかった…」

奈々未「謝ってどうするの?復縁したかったの?」

○「わからない」

奈々未「わからない?」

19‘

○「謝る以外に考えてなかった…でも…」

奈々未「でも…?」

○「もし奈々未の隣に誰かがいて楽しそうに笑っていたら嬉しいことはないなって思ったよ」

奈々未「っ…」

20‘

なぜだろう…心が晴れた気がした。

奈々未「一つ聞いてもいい?」

○「いいよ」

奈々未「今でも私のこと好き?」

○「愛してる」

21‘

奈々未の目をまっすぐと見つめる〇〇

奈々未「言い切るのね…」

○「奈々未と離れた3年間で思っていたことだよ」

奈々未「はぁ…3年も私を想っていたなんて…あなたを置いていった私を…」

○「それは僕が悪いから…」

22‘

奈々未「ううん…私が一緒にいるっていったのに、いてあげられなかった」

○「そんなことない」

奈々未「私から出て行ったから言いにくいけど…私はまだあなたが好き…」

○「本当…?」

23‘

奈々未「うん」

○「また僕と一緒に暮らしてくれる?」

奈々未「今度は離れないから」

○「今度は離さないよ」

これからは2人で…

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