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999本の薔薇の意味

1‘

君を見送ってこれで何回目なんだろう…

あやめ「〇〇……」

○「…………」

遥香「あやめちゃん…」

2‘

静かに棺の中に眠る〇〇。

2030年に突如発生したウィルスに感染した者は不老になった…

更にその中から変異したウィルスがあって

それに感染すると不老不死になる。

3‘

これはかなり少ない。

私はそれに感染した。

そして遥香さんも…

もう何百年前だったか忘れたけど

私と〇〇は元々は兄妹だった。

4‘

私がウィルスに感染した時もあやめはいいなぁ~なんて言っていて

私も最初は歳取らないからいいなぁーなんて安易な考えだった。

だけど〇〇が死んで…それでも私は生きていかなくちゃいけなくて

悲しかった…苦しかった…

5‘

でも…〇〇が亡くなる3ヶ月前くらいに

突然、沢山の抱えきれない程の薔薇の花束をプレゼントしてくれた。

今回の60歳で亡くなった〇〇。

病気だったらしい。

6‘

そんなことを知らずに私は

どうしたの?って聞いたら

「あやめが寂しくならないようにまじないだよ~」って言っていた。

7‘

最初は何の事かわからずにその時は気にも止めていなかった。

そして〇〇が死んで悲しみに暮れていた私

だけど、〇〇を火葬して何週間したある日に

〇〇に渡された薔薇が枯れていることに気づいた私

片付けようとすると薔薇の花束から一枚の紙が落ちてきた。

8‘

その手紙を拾うと文字が書いてある、そこには

『あやめへ

これを読んでいるってことは僕は死んでしまったんだね?

多分、あやめにとっては突然だったと思う。

だけど、永久の時を生きる事になるあやめに

僕の病気の事は言えなかったんだ…

9‘

だってあやめは誰かを失いながら

生きていかなきゃいけないから…

僕じゃない誰かを好きになっていく

かもしれないし

そうじゃないかもしれない

10‘

だけど、あやめは案外寂しがり屋だから

これだけは知っていて欲しい…

999本の薔薇には"何度“生まれ変わっても

あなたを愛する"って意味があるんだ?

11‘

だからもし僕が生まれ変わったらあやめを見つけにいくよ!

その時に僕をまだ好きでいてくれたなら

僕にあやめを抱きしめさせて欲しい

筒井〇〇より』

12‘

あやめはその手紙の言葉を胸に生きて行くことを決めた。

〇〇は手紙の言葉通り、私を見つけてくれる。

そして毎回〇〇を見送る。

その度に遥香さんも来てくれる。

13‘

遥香「大丈夫?」

あやめ「うん…今回も私を見つけてくれて愛してくれた、それにいつも待った?って聞いてくるの」

遥香「うふふっ…〇〇らしいね?…優しい人だから」

あやめ「優しすぎるよ」

14‘

遥香「それは死んでも治らないね(笑)」

あやめ「だね…(笑)遥香さんはさぁ…」

遥香「ん?」

あやめ「…さくらさんの側にいなくて苦しくない?」

15‘

さくらさんの生まれ変わりを何百年も

見守り続けている遥香さん。

遥香「苦しくないって言ったら嘘になるけど…」

あやめ「けど…?」

16‘

遥香「耐えられないのよ、さくちゃんを失うのが…」

あやめ「そっか…」

遥香「でも、たまに思うよ?さくちゃんを抱きしめてしまおうかって」

あやめ「っ……」

17‘

遥香「だけど…やっぱり気が引けてしまうの」

そう言った、遥香さんは少し寂しそうだ

遥香「だけどね?あやめちゃんを見てるとさくちゃんを見送るのもいいかなって思うよ」

18‘

あやめ「どうして?」

遥香「だって、〇〇を見送るあやめちゃんは凄く優しい顔してる

あやめ「……」

遥香「絶対に〇〇が見つけてくれるって信じてるからだろうけど」

あやめ「私、そんな顔してたんだ…」

19‘

そう呟く私は棺の中で眠っている〇〇に口づけをする

あやめ「〇〇…また、私を見つけて愛してね…そして…"待った?"って言ってね?その度に私は…"待ってないよ"って言うから」

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