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夏、君に、恋を、する

ねぇ?僕は君に恋をしてしまったみたいなんだ。

君の横顔が綺麗すぎて、初めてみた時は声も出なかった。



奈々未「で、いつから私の事が好きだったんですか?」

○「あの崖で君の横顔を見た時から」

奈々未「横顔?ふっ(笑)なんですかそれ(笑)」



○「君と初めて会った日、僕は君の横顔を見て恋に落ちた…それから僕は君を忘れられなかった」

そう君と初めて会ったとき僕は大学生だった。
サークルのみんなと旅行に来ていて僕だけ別行動で海が見える崖に来ていた。
そこで君を見つけたんだ。

君を見たのはその一度きり…
それから5年の月日が経ち、僕はあの時の崖に来ていた。

そこでぼくたちは再会した。

僕は5年前に出来なかったことをした。

○「お茶に行きませんか?」

意外にも君は了承してくれた。

僕たちは崖を離れ駅に向かって歩いた。
歩きながら少しだけ自己紹介がてらに話をした。

彼女の名前は橋本奈々未、年齢は今年で23歳らしい。

てことは5年前は18歳か…



君と喫茶店に入って飲み物を注文する。

そして冒頭に戻る。

奈々未「5年前も会いましたよね?」

○「覚えていたんだ」

奈々未「ええ…雰囲気が他の方と違うなって」

○「雰囲気?」

奈々未「なんていうか…大学生の割には大人びているというか…達観してるようにみえました」

まさか君が僕を覚えているとは。

でもまぁ、大人びているといったら君には勝てそうにないよ。
それから僕達は4時間も話をした。

それはまるで遠距離恋愛の恋人達が会えなかった分を埋めるかのように。
そう思えるほどに君と僕はごく自然と仲良くなっていた。

奈々未「あ、バスはもう来ないみたいですね」

○「マジか」

奈々未「歩きます?」

○「そうしよう」

こうして僕達は歩くことにした。
僕はこの後に来るバスの存在に気づけなかった。



奈々未「どうして、5年ぶりにあの場所に?」

君は僕の先を歩いていたかと思うと急に振り向き問いかける。

○「……君に恋したのを思い出したから」

奈々未「……」

○「変な話だけど忘れていたんだ…いや…夢では君の顔を思い浮かべていた、でも夢から覚めると君を忘れてしまう」



奈々未「ふーん…」

○「この前君を夢でみた時、起きても覚えていたんだ、そしたらね?君に恋をしていたことを思い出した」

奈々未「続けてください」

○「それから君と会った、あの崖に行ったら君がいた、だから5年前出来なかったことをしたんだ」

奈々未「それではなしかけてきたんですね?」

○「そう…ねぇ、僕と東京に行かないか?」

奈々未「え…」

○「僕は明日、東京に帰るんだ…だから一緒に来てほしい」

奈々未「急ですね」

○「それほど君を愛してる」



奈々未「……私でいいんですか?私は読書が好きです」

○「うん」

奈々未「だからずっと本を読んでいて貴方に構ってあげられないかもしれません」

○「終わるまで待つよ」

奈々未「私は体が弱いです、貴方に迷惑をかけてしまうかもしれません」

○「その時は支えるよ」



奈々未「意外と嫉妬深いです、だから束縛してしまうかもしれません」

○「君になら大歓迎さ」

奈々未「私は…私は…」

○「奈々未っ!」チュッ

奈々未「んっ!?」

○「全部…全部受け入れるよ…君を愛してる」

奈々未「っ…強引です///でも嬉しい…///」

○「来てくれるかい?」

奈々未「はい…よろしくお願いします」

○「よかった」

それから5年後…

○「奈々未ー!!」

奈々未「遅い…」

○「ごめん!飛鳥がぐずっちゃって」

奈々未「お義母さんはなんて?」

○「飛鳥の事は心配しないで楽しんでらっしゃいだって」

奈々未「感謝しないとね」

○「だな」



奈々未「今日はエスコートよろしくね?」

○「おう!任せろ!今日は結婚記念日だから楽しもうな!」

奈々未「そうね」

君と出会ってから何年も経ったけど、君の横顔を見るたびにあの日の事を思い出す。

そしてあの時の感情も思い出すんだ

夏、君に、恋を、する。

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