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いくつ嘘を並べて

1‘

僕の幼馴染は嘘をついている

別に本人から直接きた訳でも

他の人から教えてもらった訳でもない。

なんていうのかな?

2‘

幼馴染の勘?ってやつ

別に嘘くらい誰にでもあるじゃないかって?

それはそうだけどさ、史緒里のは違う気がするんだ。

なぜだか胸騒ぎがする、何もないといいけど

3‘

〜〜〜〜〜

4‘

私は嘘をついている。

それは家のこと…

父が事業に失敗して、多額の借金を負ってしまった。

しかも父はそれをたて直そうと闇金からもお金を借りてしまい

5‘

借金がさらに増え続けている。

私もその借金を返す為、強制的に

闇金業者の経営してる地下風俗店で

毎日、知らないおじさんに抱かれている。

6‘

こんなこと絶対に〇〇くんには知られたくない…

だって、〇〇くんが好きだから

知られてたら軽蔑される。

嫌われる…汚い女だって…

7‘

そんなのやだ

どんなことがあっても隠し通したい…

だから私はいくつもの嘘を並べて、

今日も〇〇くんの隣に立つ。

8‘

〜〜〜〜〜

9‘

女「あんたさー、〇〇くんに近づくのやめてくれない?」

史緒里「え?」

女「あんたみたいな女が〇〇くんに近づくなって言ってんの!」

急に放課後に呼び出された。

史緒里「意味がわからないよ」

10‘

女「私、知ってるんだよ!あんたがいかがわしいお店で働いてるの!」

史緒里「っ!?」

な、なんで知ってるの?!

誰にも見られないように注意を払っていたのに

11‘

女「たまたまさ、地下にあるお店に入るの見ちゃってさ、店の名前調べたらそういうお店って、どうせお金がいいからお小遣い稼ぎで体売ってんだろ?不純な女が〇〇くんに近づくなって!」

言いたい放題…そんなの私が1番知ってる

私が1番…

史緒里「知らないくせに…」

12‘

女「あぁ?」

史緒里「何も知らないくせに言いたいことばっかり言わないでよ!!!」

女「?!?!」

大声を出す史緒里。

13‘

史緒里「私だって好きで抱かれてるんじゃない!!!父親の借金の為に無理やり働かさせられてるの!!どうしたらよかったの?!知らない顔して、父を見放せばよかったの!?ねぇ!教えてよ!!うぅっ…」

お店で働かせられてから半年、

今までの悲痛な思いを泣きながら言葉にする史緒里。

全て言い切ったところで膝から崩れてしまう。

14‘

女「だ、大丈夫か?」

史緒里の心配をする。

史緒里「……」

女「なんだ…悪い…」

史緒里「え…」

15‘

女「事情を知らなかったとはいえ、勝手なことを言った、ごめんなさい!!」

頭を下げる女。

史緒里「いいよ…あなたが言ってることは間違ってないもの…」

美波「私、梅澤美波って言うんだ!久保に聞きたい!〇〇くんのことはどう思ってんだ!」

16‘

史緒里「…どうして、そんなこと聞くの?」

美波「〇〇くんのことが好きだから!」

史緒里「っ…」

美波「どうなんだ?」

史緒里「私は…」

17‘

美波「…好きなんだな」

史緒里「っ…」

美波「そっか…(心:〇〇くんが好きな子って、久保か…)」

史緒里「……」

18‘

美波「よし!〇〇くんに本当にことを言おう!」

史緒里「え!?む、無理だよ!嫌われたくない!!」

美波「怖いのはわかる…でも、〇〇くんはそんなことで嫌ったり、軽蔑したりしねぇ!」

史緒里「…そんなのわかんないじゃん」

19‘

美波「〇〇くんを思い出してみろよ!そんな人じゃないだろ?ほら行くぞ!!屋上で待たしてんだ!」

史緒里「ちょっ!!」

腕をひいて、屋上に向かう美波。

“バン!”

20‘

美波「〇〇くん!」

〇「あ、梅澤さん!…史緒里?」

史緒里「…」

美波「久保から話があるって!」

21‘

史緒里「え、ちょっ!」

美波「じゃあ!」

屋上から立ち去ってしまう美波。

〇「話しって?」

22‘

史緒里「え…と…」

〇「先に伝えたいことがあるんだ、いいかな?」

史緒里「う、うん」

〇「史緒里が何を隠してるかわからないけど、僕は史緒里が好きだ」

史緒里「えっ?」

23‘

〇「史緒里が好きで、好きでたまらない、だから僕と付き合ってほしい!」

史緒里「…無理だよ」

〇「僕のこと嫌い?」

史緒里「ううん、好きだよ」

24‘

〇「なら」

史緒里「無理なの…私は汚れてるの」

〇「え…」

史緒里は全てを話す。

史緒里「わかった?私は汚れてるんだよ」

25‘

“ぎゅっ“

〇「辛かったね…苦しかったね、頑張ったよ」

史緒里を抱きしめる〇〇。

史緒里「っ…うぅ…〇〇くん!」

しがみつくように抱きしめ返す史緒里。

26‘

〇「史緒里は汚れてない、僕と付き合ってくれ」

史緒里「私でいいの?本当にいいの?」

〇「史緒里じゃなきゃだめなんだ…史緒里じゃなきゃ」

史緒里「私も〇〇くんがいい!〇〇くんじゃなきゃ嫌だ!」

27‘

僕達は付き合った。

史緒里のことは両親に相談した。

父は有名な検事だし、母は刑事。

すぐに動いてくれて、その風俗店はもちろん

28‘

闇金業者も捕まった。

知り合いの弁護士にお願いして、

史緒里のお父さんの借金も無くなった。

僕達は史緒里のこともあったので

高校を卒業した後に、人が少ない街に引っ越した。

29‘

今は両親の手助けも借りながら、

2人で雑貨屋を経営してる。

今でも梅澤さんは遊びに来て、史緒里の心配をしてくれる。

ありがたいなって思う。

30‘

〇「史緒里、大好きだよ」

史緒里「ふふ、どうしたの、急に?」

〇「言いたくなっただけだよ」

史緒里「私も大好きだよ」

31‘

この作品はフィクションです。

実際の人物や団体とは関係ありません。

またこの作品内の表現や行動はあくまでも、

作品としてなので、実際に行っても、

責任は取りかねますのでご了承ください。

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