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再会

1‘

あぁ…あれからどのくらい経ったのか…

微かな光に呼び覚まされた僕…

あれは儚い夢の記憶…いや…僕は夢なんて見ない…

あれは記録だ…

2‘

遠ざかる過去のざわめきは

今では見えないあの風景を映し出してゆく

側で微笑う、君がいる

○「そう…まるで昨日のことのように覚えているよ…誰よりも深く僕に触れたその眼差しを…」

3‘

この世界は50年も前に未知のウィルスによって滅んでいる。

僕の愛した人も既にこの世にはいない

分かち合うことの喜びも…

奇跡のようなあの出会いも

2人の面影さえも置き去りにして消えていった

4‘

僕の記録回路は既に機能が破損している。

僕は君の事も…君との思い出も忘れたくなくて

薄れていく記憶の中で

もう一度だけ抱きしめたくて

切ないくらいの叫び続ける君の名を

声がなくなるまで…

5‘

○「あれ…ここは…あぁ…そうだ…ここは…君を見送った場所か…」

僕の隣に寝転ぶ君を見つめる。

君はAIロボットの僕を普通の人間と同じように扱ってくれた。

優しく愛してくれた…

6‘

○「もう少しで僕は消えるけど…忘れないよ…切ないくらいに君に包まれたあの日々を…」

目を閉じると…君の声が…笑顔が…浮かんでくるようだった…

あぁ…やっと終われる…

そして…僕の機能は停止した…

7‘

____

8‘

ん…機能は停止したはず…

なんで僕はまだ思考している?

なんで…

僕は目を開く。

9‘

○「なんで…」

目を開くとそこは人類が滅ぶ前の東京…

ビルに映る大型モニターに、“現在”の日付が…

そこには僕が製造される10年も前の日付が映し出されていた。

10‘

○「なぜ…タイムリープは理論上不可能じゃ…」

いや…そんなことより!

あの人に会いたい!

僕は走り出していた!

11‘

会ったとしても君は僕のことを知らない

それでも君に会いたい

会って伝えたいんだ!

愛してると!

伝えたいんだ!

機械の僕を愛してくれて

ありがとうって!

12‘

それから僕は飛鳥を探した

君が好きだったカフェ

お気に入りだった本屋さん

何か辛いことが起きると必ずいく公園

探し回った

13‘

でもいなかった…

僕は公園のベンチに腰をおとす。

○「はぁ…いない…」

僕は飛鳥に会えないことに項垂れていた。

14‘

?「大丈夫ですか?」

○「っ…」ピクッ

?「あのぉ〜?大丈夫ですか?」

○「っ…あ…す…か…」

飛鳥「えっ…なんで名前…どっかであったことありますか?」

15‘

顔を上げるとそこには会いたくて会いたくて

抱きしめたかった、飛鳥がいた…

記録の中の飛鳥と違って幼い…

それもそうか…今は飛鳥に出会う10年も前なのだから

16‘

○「いや…昔に少しお話したことがあるんですよ」

飛鳥「そんなんですね、すみません、覚えていなくて」

○「いえ、かなり前なので仕方ないですよ」

最初は飛鳥に会ったら伝えたかった思いも、抱きしめたかった感情も

飛鳥を見たら出てこなくて

伝えられなかった。

17‘

○「あのっ!」

飛鳥「はい?」

○「僕と!友達になってください!」

僕と飛鳥は友達になった。

それから少しづつ僕達の関係は近づき

恋人同士になり、幸せな時間を過ごしていた。

18‘

そんな時間もあと数日で終わりを迎えるだろう…

そう…例のウィルスが蔓延して、飛鳥もウィルスにかかった。

飛鳥「〇〇…ごほっ…」

○「ここにいるよ」

飛鳥「私はもう…ダメみ…たいなの…」

19‘

○「うんっ…」

飛鳥「〇〇を…っ…1人に…してしまう…私を許してっ…(涙)」

○「1人じゃないよ…僕の中に、ちゃんとに飛鳥がいるから…」

飛鳥「そうっ…よかったぁ…愛してるっ…」

掠れた声で、安心したような顔でそう囁く君に…僕は

○「僕も愛してるよ」

20‘

____

21‘

ー50年後ー

○「もう少しで僕は消えるけど…忘れないよ…切ないくらいに君に包まれたあの日々を…」

もし…もう一度、タイムリープしても君に会いにいくよ

君が死ぬとわかっていても君に出会わないなんて僕には想像できないから

○「これが走馬灯ってやつか…っ」

機能が停止する寸前に僕が見たものは飛鳥との思い出だった。

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