赤ちゃんが来る前のはなし

思わずクリックしてしまったネットニュースにしばし考え込んでしまう。

『第1子出産「30歳超」が定着 : 晩婚・晩産が少子化に拍車』 

だって。

私も同じくだ。結婚は早かったものの、キャリア、海外旅行、自由な時間を優先してきたら、あっという間に(本当に!)30代。早く子供を持ちたかった夫を散々待たせ、本当に母になる覚悟があるのか、モヤモヤを残したまま妊活スタートするも、ぼやっとしてる間に身も心も妊娠しづらい状態になってしまっていた。

不妊科で自然妊娠する確率を聞かされた時はそりゃもう愕然。脳みそが受け入れをシャットアウトした。大事な子供を先送りにしてきたことを後悔もしたし、妊活にいいといわれるものも片っ端から試したりして、(何でもやってみたがりだから結構楽しかったけど)この期間は本当に、夫婦の試練だった。

赤ちゃんを望んでもう4年がすぎていた。それでも自然に授かるのを待ちたい私と、何が何でも早く子供が欲しい夫。不妊治療への考え方も夫婦で合わず、お互い口にはしないけど日々の暮らしの中にも不安が滲み出してくるようで、二人とも疲れていた。

そんな時、東京に住む妊娠中の妹に夫婦で会いに行った。気分転換の旅行も兼ねて、妹に間に入ってもらって話し合おうと思ったのだ。(妊婦さんに会いたかったのかも。伝染するってよくいうしね!)

一見ゆったりしているけど、ピリッとした野生の感じが見えた妊婦の妹。そんな第三者を加えた話し合いでも、散々待たせた挙げ句、自分のせいで赤ちゃんができないという罪悪感でなかなかはっきりと物が言えない私。そして赤ちゃんを授かるということの「そもそもの根っこの考え方」がやっぱり夫婦で噛み合わなかった。多くの夫婦とは逆で、私の方が不妊治療を嫌がった。あぁもうめんどくさい、自分も、自分の考えを理解してもらうことも!なんでこんなに色々が絡まっているんだろう?疲れたし休憩しますか、となったとき、妹が「見て!すごい虹!」と窓を指差した。

そこにはハワイで見られるような、端から端まで綺麗なアーチの虹が、都心18階の窓から見えた。しかもダブルレインボーだ!

「飯田家(うち)に赤ちゃんが来る!」と妹が言った。

本当!?一瞬心がフワッと浮いた。もともと野生のカンの鋭い妹だったでもこっちはもう何年も待ってるんだよ、そう簡単に希望が持てないよ...それもあまり気に留めないようにして、その見事なダブルレインボーが消えたりまた現れたりする様子を、みんなでただ眺めていた。

写真 2019-04-30 8 17 05



そしたら、その次の月に、なんと本当に妊娠していることが分かった。

〜つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?