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昼も夜も彷徨えば


こんな本があるとは知りませんでした。
日本の作者の小説でユダヤ教のラビの話が読めるとは。

「昼も夜も彷徨え」

それはこの物語の主人公マイモニデス(モーセ・ベン・マイモン)の言葉で、内容を言っちゃあネタバレよという重要ワードです。

この二人目のモーセは(一人目は十戒のモーセ)12世紀の人物。スペインのコルドバで有名なラビ(宗教指導者)の家に生まれたおぼっちゃまです。

しかし、彼はただのボンボンではありませんでした。

イスラーム教徒に強制改宗させられた人を見捨てておけず、

「強制でもなんでもイスラームの信仰告白をした奴はユダヤ教徒のコミュニティには戻れねえんだ!!」

という世間に反旗を翻します。当時13歳くらい。

これ、ラビの息子じゃなかったら死んでるかも。

権威を笠に着るラビが大嫌いでつい論争してしまう、正論と知識でボコボコにするスタイルですが一般の人には優しいんですよ。

とにかく地位があるからと偉そうに人を断罪するのが許せない。

というモーセがコルドバからエルサレムへ、そしてアッカへ、エジプトへと流れ流れて行き、ついには
サッラーフ・ディーンに仕えるまでを追った物語です。

ええ、リチャード獅子心王と戦ったサラディンです。

マンガ好きな方なら青池保子「サラディンの日」を読んだことがあるかも知れないですね。

中東に関心のある方はぜひ読まれることをお勧めします。
小説ではありますが、ユダヤ教の基本的な考え方や
イスラームとの関係性、ユダヤ教徒から見た十字軍などを
知ることができます。

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