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【映画レビュー】ブラッド・レッド・スカイ

Netflix独占の映画「ブラッド・レッド・スカイ」をレビューします。

イギリス・ドイツ製作の映画みたいで、出てる役者さんもあまり馴染みなく、話のコンセプトもあまりハリウッド映画ではやらなそうなものなので、少し新鮮。

ひとことで言うと、バンパイア物+ハイジャック物。空の上で起こるパニック物としては、ゾンビやヘビのは見たことあるが、バンパイアものは初めてでした。

見始めたのが、夜遅かったので、今日は出だしを少し見るだけにしよと思っていたんですが、ハイジャック犯が行動開始してからはどうなる?どうなる?と釘付けになってしまい、結局最後まで一気見してしまいました。観客を引き込む構成のうまさがありましたね。

あらすじ

空港に着陸してくる旅客機。軍が周囲を包囲している。旅客機はテロリストにハイジャックされているため、すぐに突入はできない。1人の少年が旅客機から脱出してきて、軍に保護される。コックピットには1人の男の姿。無線で自分はテロリストではないと伝えてくる。その男と少年以外、旅客機には何の動きもなく不気味に静まり返っている。
 
時間は遡り、少年が旅客機に搭乗する前。空港でチェックイン手続きをする少年の名はエリアス。母親は後から来るのだと話す。母親の名はナディア。彼女は部屋でカツラとサングラスをつけ、人目を忍んで空港へ向かう。日が暮れた空港で合流したエレナとエリアスは飛行機へと搭乗する。
 
飛び立った飛行機でハイジャックが発生。副操縦士と客室乗務員として乗り込んだ男性2人を含む6人の犯人グループはまず、航空保安官3人と機長を殺害し、飛行機内を制圧する。
 
エリアスはナディアに機内の貨物室に隠れることを提案。犯人グループの隙をついて席を立つ。慌てて、追いかけるナディアだが、犯人グループの1人、エイトボールに見つかり撃たれてしまう。
 
死んだかと思われたエレナは息を吹き返し、階下の貨物室に逃げ込む。貨物室に爆弾を仕掛けにやってきたテロリストの1人がナディアと出くわすが、ナディアはバンパイアの姿を現す。

良質のハイジャックもの

航空保安官がサクッと殺されてしまうことで、旅客機が制圧されてしまうが、そこまでの過程が手際良くかつ残虐に描かれる。これによって犯人グループの脅威が強く印象づけられて旅客機の乗客やナディア、エリアスが行く末が気になり、目が離せなくなってしまう。

その後も密室の旅客機内のみでストーリーが進んでいき、展開も二転三転してダレることなく進んでいくので、緊迫感が途切れない。

ここからはネタバレ

ここからはネタバレも含めて書いていくので、未見の方はご注意下さい。

状況に翻弄される登場人物たち

バンパイア化したナディアはテロリストの1人を噛み殺してしまうが、貨物室の犬がやったように偽装して難を逃れる。

ナディアは元々は普通の人間だったのだが、エリアスを産んだ後にバンパイアを夫に殺され、自分も手を噛まれてバンパイアになってしまった。ナディアはアメリカに行き、骨髄手術を受ける予定だった。

テロリストグループは旅客機が墜落するよう工作して脱出しようとする。その間、入れ替わるようにナディアはコックピットに飛行機の操縦が可能な乗客を連れ込んで、テロリスト脱出後に飛行機の進路を変えようとする。しかし、貨物室内の状況から不審に思ったエイトボールにバレてコックピットを開けるように脅される。

ここから、生き残ろうとするエレナ、テロリストグループ、乗客が複雑に絡み合って転がり落ちるように状況が悪化していく。この構成を緻密に組み立てているのが、この映画の面白いところ。単純にナディアがバンパイアでナディアvsテロリストの対決というだけではないのがミソ。

コックピットを開けないと乗客を1人ずつ殺していくと脅すテロリストグループのリーダー。たまらず、コックピットを飛び出して、リーダーを殺すナディア。

リーダーを殺されたことで脱出後の逃走方法がわからなくなり、飛行機を着陸させなくてはならなくなるテロリストグループ。

乗客はエレナの姿に怯えて、ナディアを殺そうとする。

そして、キレキレのキャラ・エイトボールが事態をさらに混迷させていく。

キレキレのエイトボール

テロリストグループの中でも特にキャラが際立っていたのが、エイトボール。

最初は客室乗務員の1人でオネエキャラとして登場するエイトボールだが、その後、テロリストグループの仲間からもサイコ野郎と呼ばれるくらいにクレイジーな面を見せていく。

航空保安官を殺害する時もナイフを何度も突き立て、返り血を浴びた状態で乗客を脅す。また、コックピット内のナディアにドア開けさせようとした時も脅迫のために殺害する人質に幼い少女を選んだりと、サイコっぷりを全開にしてくる。

更に極め付けは、自らをバンパイア化させちゃう。ナディアの正体がバンパイアと知った後に紫外線ライトで怯ませて、押さえつけた後にナディアの血を採取する。その後、貨物室に追い詰められたエイトボールは自分にナディアの血を注射する。

これによって、バンパイア化したエイトボールはテロリストの仲間や乗客に噛みつき、飛行機内にバンパイアが増殖していってしまう。

このエイトボールという悪役が本作を面白くする要素としてストーリー構成上も機能し、かつ、キャラとしても強いインパクトを与えている。

加速する危機

バンパイア化したエイトボールたちはエレナの活躍で貨物室に閉じ込めることができたが、そこまでの混乱の中で乗客の中で負傷者が出てしまう。内臓破裂となり、重症を負った乗客はこのままでは死んでしまうと思い、貨物室を開けてエイトボールたちを解放してしまう。ここで、噛んでほしいと懇願する負傷者を噛まずに殴り倒すだけにするエイトボールがまたサイコしててイイね。

機内の増殖していくバンパイア。このまま着陸してバンパイアが地上に解き放されてしまうのは避けなければならない。テロリストがしかける爆弾を利用して着陸した後に生存者の脱出後、爆破しようとするが、爆弾のリモコンはバンパイアだらけとなった貨物室に残されていた。

ラストまで状況がどんどん変わっていき、全く目が離せない。誰が生き残るのかは、映画の冒頭でエリアスとコックピットの男性の姿が確認できるので、この2人以外はどうなるのか読めない。逆に言うと飛行機が着陸することもわかっているので、バンパイアが増殖していくにつれて、どうやってこの状況に対処するのかという点も視聴者を惹きつける。

この辺、見ていて飽きさせない作りがしっかり出来ていて、良質のエンタメ映画になっている。

バンパイアものが浸透してる欧米

近年はゾンビものが良く流行るが、欧米では加えてバンパイアものが市民権を得てるよね。日本ではそこまでバンパイアは普及はしてないけど。

この映画もバンパイアがいる事が前提のお話になっているのが、少し面白い。映画の尺の都合かもしれないけど、バンパイアなんているの!?みたいな会話は一切出てこない。そこはもういいだろうってまで浸透してるんかね。

「ブラッド・レッド・スカイ」の中でもナディアは骨髄移植手術を受けにアメリカへ向かうという話しになっていたが、骨髄移植でバンパイアは治るってのも常識なんかな?

日本ではバンパイアとか系より、幽霊関連のホラーが多いよね。最近でも「牛首村」や「貞子 DX」がある。お国柄や文化的なものもあるんでしょうけど、逆に欧米の幽霊ものって少なめで「死霊館」シリーズくらいな気がする。

以前、友人と話していた時に「エクソシスト」とかの悪魔系はあんまりピンとこなくて怖さはもう一つだそうで、それよりも「呪怨」みたいなの方が怖いっていう話も聞く。たぶん、バンパイアものも日本ではホラーとしてはピンときにくいでしょうね。

ちなみに僕は逆に悪魔とかの方が怖いんですよね。幽霊って恨みを買うとか、そう言うことをしなければ襲われない気がして、悪魔は無差別にくるから怖くない?って話をしたんだけど、あんまり理解されない。同じ思いの方いますかねぇ?

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